嘘はついてないか:困っている人のための企画術(1/3 ページ)
広告というのは、その企業や商品のいいところを描きますが、いいところしかないものなんてこの世の中には存在しません。どんな広告にも嘘はあります。だからこそ、リアルを心がけるのです。
連載:困っている人のための企画術
この連載は書籍『困っている人のためのアイデアとプレゼンの本』(日本実業出版社)から抜粋、再編集したものです。
すごいアイデアを思いついて自信満々で発表したのにスルーされてしまった……。こういうケースは少なくありません。アイデアが支持され印象に残るかどうかは、内容の善し悪しに加え、段取り、流れやタイミング、そしてプレゼンのしかたなど、さまざまな要素に左右されます。
本書は、BOSS「宇宙人ジョーンズ」やジョージア「明日があるさ」などのヒットCMを生み出した著者が、アイデア出しとプレゼンの方法で困っている人のために書いた本です。
今でこそ多くの人気CMに携わっている著者ですが、「人とのコミュニケーションをとるのが苦手」と公言するように、実は著者自身がアイディアやプレゼンで「困っている」人でした。そんな著者が伝えるのは、
・「プレゼンがうまそう」という感じを出さない
・人は、自分にできることしか、できない
・説得しないで説得する
など、ダメな人、苦手な人、困っている人でも、自分なりのやり方を見つけられます。数々のほろ苦い経験をもとに、そのままま役立つ「アイデアの出し方」と「伝え方」を紹介します。
広告は消費者との約束を描く
企画を判断するときのチェックポイントとして、「嘘をついていないか」ということも、私は重視しています。
私の名前は「真一」といいます。親からは山本有三の名作『真実一路』からとったともいわれているぐらいですから、真実や嘘とかには敏感です。
もちろん、どんな広告にも、嘘はあります。広告というのは、たいていその企業や商品のいいところを描きますが、世の中にいいところしかないというものなんて存在しないでしょうから、その時点で、必ず嘘はある。
また、広告にはタレントという名の、美男美女やらが登場します。そんな美男美女ばかりが飲むビールも、着る服も、使うケータイもないわけですから、そこにだって嘘はある。
そこまで固苦しくなくてもいいかもしれませんが、嘘の部分でそこまで気になる人は、ちょっと広告には向いてないかもしれません。「この現代社会、すべてが何から何まで嘘っぱちだ」というところにまでいってしまいそうです。
前回、私は、自分の企画法として「その商品と人の人生がどうかかわるか、というところから企画していく」ということを述べました。そうすると、広告というのは「その商品があなたの人生にどういうことをしてくれるか」ということを描くことになる。いわば、商品から消費者への「約束」を描くことになるのです。
昔から、「嘘ついたら針千本飲まされる」といいます。ですから、消費者をだまして針千本飲まされないためにも、「できる約束だけをし、できない約束はしない」というのが大事だと思うのです。
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