周りの人にどんどん見せる:困っている人のための企画術(1/2 ページ)
新しい企画を立てるとき、完璧にしようとして1人で考え込んでしまうと感覚が閉じてしまいがちです。思いついたそばから周りの人にどんどん見せて意見を聞いたほうが、多くの人に受け入れられるものができるのです。
連載:困っている人のための企画術
この連載は書籍『困っている人のためのアイデアとプレゼンの本』(日本実業出版社)から抜粋、再編集したものです。
すごいアイデアを思いついて自信満々で発表したのにスルーされてしまった……。こういうケースは少なくありません。アイデアが支持され印象に残るかどうかは、内容の善し悪しに加え、段取り、流れやタイミング、そしてプレゼンのしかたなど、さまざまな要素に左右されます。
本書は、BOSS「宇宙人ジョーンズ」やジョージア「明日があるさ」などのヒットCMを生み出した著者が、アイデア出しとプレゼンの方法で困っている人のために書いた本です。
今でこそ多くの人気CMに携わっている著者ですが、「人とのコミュニケーションをとるのが苦手」と公言するように、実は著者自身がアイディアやプレゼンで「困っている」人でした。そんな著者が伝えるのは、
・「プレゼンがうまそう」という感じを出さない
・人は、自分にできることしか、できない
・説得しないで説得する
など、ダメな人、苦手な人、困っている人でも、自分なりのやり方を見つけられます。数々のほろ苦い経験をもとに、そのままま役立つ「アイデアの出し方」と「伝え方」を紹介します。
「開いた企画」にしていく
自分には才能がないので、誰かがいいことを言って企画をよくしてくれるのではないかと期待して、「企画を人にどんどん見せる」ということも心がけています。
よく、企画を誰にも見せずに1人でずっと考えて、自分の中で完璧に完成されたところで、やっと周りに見せる――という人がいます。そういう人は、自分の中で検証に検証を重ねて結論がでた企画なので、他人に何かを言われたとしても、直したり変えたりしたがりません。
その企画のままで、最後まで完成させることにこだわります。それだけ自分の企画に自信があるということでもあるし、完成イメージをきちんと持っているということでもあるので、むしろ優秀なクリエイターに多いタイプだと思います。
私の場合はその逆で、思いついたそばから、どんどん周りの人に見せてしまいます。そして、その反応を見たり意見を取り入れたりしながら、企画を直していくのです。
まず、「自分には才能がない」と決めてますから、さほど完成度が高くない企画を見せても、他人に「才能がないと思われるんじゃないか」と恐れる必要がありません。もし、そう思われても、「ええ、だって才能ないですから」と開き直ればいいだけです。
しかも、なかなか企画を見せないでいると、「それだけ考えているからには、すごい企画がでてくるんだろうな」と、ハードルがあがっていくのでイヤなのです。
それよりは、まだ途中ですから――という感じで、どんどん見せたほうがプレッシャーがかかりません。もしダメだと言われても、「まあ、まだ途中ですから」と、言い訳ができるのです。
そもそも、いろんな人の意見を取り入れたほうが「閉じた企画」にならない気がします。自分1人で全部考えてその通りに作っていく人の企画というのは、もちろんその人が優秀であれば優秀であるほど、ものすごくレベルが高いものができる可能性は高いと思いますが、どこか「閉じている感じ」になるのではないかとも思います。
ある人が、「これはどこからどこまでも欠点がない、完璧なものだ」と思うようなものというのは、1人の人の感性にピッタリはまりすぎているがゆえに、ちょっと感性が違う人にとっては、なんとなくズレた感じになるのではないでしょうか。
とくにCMというのは、全国津々浦々の老若男女すべての人に受け入れられないといけないことが多いですから、1人の人が磨きあげたピュアな表現より、いろんな人の意見が入って、ちょっと雑然とした表現のほうが、向いているような気がします。
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