知っているようで実は知らない――「総務」ってどんな仕事?:新人・若手担当者のための総務の仕事術(1/2 ページ)
どんな会社にもあるのに、その具体的な仕事の内容は案外、分からない――そんな総務の仕事をひもとき、総務担当者に必須の知識や仕事の進め方を紹介する連載がスタートします。
月刊誌「企業実務」とは
「企業実務」は、経理・総務・人事部門の抱える課題を解決する月刊誌。仕事をすすめるうえで必要な実務情報や具体的な処理の仕方を正確に、わかりやすく、タイムリーにお届けします。1962年の創刊以来、理論より実践を重んじ、“すぐに役立つ専門誌”として事務部門の業務を全面的にバックアップ。定期購読はこちら。
本記事は企業実務のコンテンツ「疑問、悩みを解消! 新人・若手担当者のための総務の仕事術」から一部抜粋・編集して掲載しています。
よく「総務は何でも屋」などと言う人がいますが、決してそうではありません。それなのになぜ、そんな風にみられてしまうのでしょうか。
中央職業能力開発協会がまとめた「職業能力評価基準」には、50業種、248職種の能力評価が挙げられています。そして、この248職種のなかで、業種を問わずほとんどの企業に共通する事務系職種を網羅するものを、次の9職種、16職務に区分して整理しています。
- 経営戦略
- 人事・人材開発・労務管理
- 企業法務・総務・広報
- 経理・財務管理
- 経営情報システム
- 営業・マーケティング・広告
- 生産管理
- ロジスティクス
- 国際事業
総務の仕事は会社の規模や業種によって異なりますが、この事務系職種の分類でいくと「経営戦略」「人事・人材開発・労務管理」「企業法務・総務」の3職種、6職務という広い分野に及びます。このあたりが「総務は何でも屋」と称されるゆえんかもしれません。
狭い意味での総務の仕事について、同じく「職業能力評価基準」では、「社内管理、社外対応、全社的活動の推進など企業活動全般をサポートする仕事」と定義づけています。
つまり総務は、会社という組織とそこで活動する人が、より動きやすく働きやすいようサポートするサービス部門ともいえます。
「仕事」と「人間」のサイクルを回す
ひと口に「企業活動全般をサポートする仕事」といっても、企業活動の土台である「組織」を知らなければ、本当の意味で総務の仕事を理解することはできません。
組織には実にさまざまな形態がありますが、「営利(利益)」を追求し、営利によって結び付いているのが会社という組織です。そして会社という組織は、利益を実現するための「仕事」と、仕事を行なうための「人間(関係)」から成り立っています。
仕事には、最少コストで最大の利益を上げるための「合理性」が求められますし、人間(関係)には、チームワークを保つための協力・協調性を高める「合意性」が求められます。
これを図式的に表すと、次のようになります。
つまり、総務が行なう企業活動全般のサポートとは、会社組織の中の仕事と人間(関係)について、より円滑にマネジメントサイクルを回すための支援・サービス活動なのです。
そして、会社の中の仕事には、それぞれの役割があります。この役割は、大きく次の3つに区分することができます。
- 製品の生産・製造を行なう人や、でき上がった製品や商品を販売する人など、直接的に会社の収益に関わる仕事を分担している人たち
- 「ヒト・モノ・カネ」などを効率的に管理することにより、間接的に会社の収益に関わる仕事を分担している人たち
- 製品の新規開発や新商品の企画を行なうなど、会社の将来の収益に関わる仕事を分担している人たち
つまり、その役割によって「直接収益部門」「間接収益部門」「将来の収益部門」に区分することができます。総務とは、これらの部門にまたがり、会社の「総=すべて」に関して、「務=つとめる・サービスする」部門なのです。
冒頭に挙げた3職種、6職務にまたがる総務の仕事を分かりやすく表現すると、「会社の将来にわたる方針の策定から事務用品の調達まで、社内サービスを広い範囲で提供するセクション」ということになります。
総務の善し悪しが、会社の「要(かなめ)」になります。
総務は、会社全体の活動を合理性と合意性を追求しながら、より効率的かつ発展的に進める大切な役割を担っているのです。決して「何でも屋」ではありません。
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