ほかから見えにくい“経理仕事”の評価を上げるには?:頼られる人になる「経理アタマ」の鍛えかた(1/2 ページ)
複雑な経理の処理を正確に、効率よくこなせるようになっても、ほかの職種の人には、そのすごさがなかなか伝わりません。正当に評価してもらうためには発想を変えてみることも必要です。
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本記事は企業実務のコンテンツ「頼られる人になる「経理アタマ」の鍛えかた」から一部抜粋・編集して掲載しています。
最近、子供同士でパパの仕事について話をする機会があったようです。
うちの息子は「○○君のパパは、おうちをつくる仕事をしているんだって」と、お友達からお父さんの仕事を教えてもらいました。
息子が私の仕事をどう説明したのかが気になったので、「『パパの仕事は?』ってお友達に聞かれたら、なんて答えているの?」と聞いてみました。ちなみにわが家は、子供が小さいときから私の職場に数回連れて行って、社会科見学をさせています。
息子から返ってきたのは、「イスに座って、PCでなんかやる仕事でしょ」という返事でした。確かに息子が見学に来ているときでも、家で仕事をしているときでも、いつでもPCでなんかやっています。今もこうしてPCで原稿を書いていますし……。経理の仕事は、子供から見たら「PCでなんかやっている仕事」と感じられるようです。みなさんはどうやって自分の仕事を子供に説明していますか?
“分からない人”に評価される
さて、経理の仕事は、子供が見ると「よく分からない仕事」であることが分かりました。でも実は、経理の仕事は大人が見ても分かりにくいのです。
「経理が何をしているのか、よく分からない」と、クライアントの社長から言われることがあります。時には、「うちの経理の○○は、ちゃんと仕事をしていますか?」と、担当者の仕事ぶりを尋ねられることもあります。
特にいつも現場に行っていて、経理の人に会社の留守番まで頼んでいる社長の場合は、普段の仕事ぶりを見ることもないのですから当然です。
私はそのように社長から聞かれたときには、無難に「○○さん、きっちりしていますね」とか「担当者が○○さんになって、経理回りの資料が早く出てくるようになりました」と、なるべくいい評価だけを言うようにしています。
皆さんは経理の仕事をしていて、自分の仕事のことを社長に分かってもらえない、と感じたことはないでしょうか。悲しいことに、現実はそんなものなのです。
そしてここからが重要です。経理担当者の仕事の評価は、その仕事を理解していない社長が行っているケースが、中小企業では圧倒的です。
仕事の内容が分からないのにどうやって評価しているのでしょうか? 疑問ですね。
私の周りの経理担当者は、経験年数という基準で評価されている場合が多いようです。管理職的な立場の場合は、別途管理職手当がついたりしています。
一方、例えば一生懸命勉強して簿記の資格を取ったとしても、資格の取得は給与には反映されていないようです。
難しい経理処理ができるようになっても、「(経理以外にはそもそも難かしいかどうかすらわからないので)そうなんだ、すごいね」で終わってしまいます。
そんな現実を経験したからなのか、経理の経験年数が長い人は得てして、「仕事は仕事」と割り切って、最低限求められている仕事のみを行い、17時になったら途中でも切り上げてプライベートの時間を大切にする。新しい仕事が入ってきそうなら抵抗する――という感じです。
「社員が新しいことをしようとしても経理が反対する」と、社長から悩み相談を受ける場合の典型例が、このパターンです。
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