Windows 7の“サポート終了”でXP狂想曲再び?:半径300メートルのIT
2015年1月13日、Windows 7のメインストリームサポートが終了しました。延長サポートに移ったわけですが、5年後を見据えた準備はできていますか?
2015年1月13日、Windows 7のメインストリームサポートが終了しました。2014年4月のWindows XP延長サポート終了時には、それに伴うあれやこれやが一般のニュースやテレビでも取りあげられました。次に来るのは「Windows Server 2003」のサポート終了だと思っていたら、今でも現役で使われているWindows 7のお話……。「そんなバカな!」と思う読者も多いのではないでしょうか?
マイクロソフト製品、サポート終了は「2段階」
マイクロソフトのOSに対する「サポート」姿勢を振り返ってみましょう。同社は2段階のサポートを提供しています。
まず、製品の発売日から最低5年間提供される「メインストリームサポート」。この期間であれば、セキュリティ更新プログラムだけでなく、新規機能追加のリクエストや仕様変更も受け付けてくれます。
そのメインストリームサポートが終了すると、「延長サポート」がスタートします。最低5年間提供される延長サポートでは、セキュリティ更新プログラムは提供されるものの、無償サポート、仕様変更、新機能のリクエスト受け入れは終了。
そして、延長サポートが終了すると、それ以降はセキュリティ更新プログラムも提供されません。もし新たな脆弱性が発見されたとしても取り残されてしまうため、大変危険な状況になります。
2014年に大きな話題となったWindows XPの「サポート終了」とは、正確にはこの「延長サポートの終了」でした。OSに脆弱性が発見されるとき、実はかつてのバージョンにも影響を及ぼすことが多いのです。だからこそ、アップデートが行われないWindows XPを使ってはいけないのです。
当時の報道では、まだまだ現役といえたWindows XPのサポート打ち切りというマイクロソフトの姿勢を疑問視するコメントも散見されました。実際のところ、マイクロソフトはさまざまな方法でサポート期間を告知しているだけでなく、Windows XPでは最低5年間としていたメインストリームサポートも7年以上提供したわけですから、個人的には「さすがはマイクロソフト」と思っていたものです。
Windows 7のリプレースを視野に入れる日
とはいえ、このタイミングでWindows 7を次のOSにリプレースするというのもピンとこない話です。これから新入社員向けのPCを、Windows 7でそろえようという企業も多いのでしょう。筆者は個人的にWindows 8.1を利用していますが、企業でこれを使うにはあまりにも変化が大きく、情報システム部の負担が大きすぎるのでそれも仕方のない選択です。
今回終了したのはあくまでWindows 7のメインストリームサポートで、ほとんどの企業は仕様変更や新機能のリクエストなど無関係でしょう。セキュリティ更新プログラムはこれまで通り出てくるし、有償でもサポートが継続できるなら関係ないやと考えることもできます。
しかし、「その日」はいつかやってきます。企業に大量に投入されているWindows 7の「延長サポート終了」は2020年1月14日となっています。さすがにWindows 8.1への全面移行ではなく、2015年秋に登場するといわれる「Windows 10」がターゲットになるでしょう。システム管理者はWindows 10の情報を手に入れ、準備を始めるべきです。
追記(2015年1月26日):
本記事を公開後、マイクロソフトはWindows 7、8.1を対象に、Windows 10の発売後1年間の無償アップグレードを発表しました。これにより、アップグレード費用面でのハードルは低くなりました。あとは利用しているアプリケーションが新しいバージョンに対応しているかを考え、スムーズな移行ができるよう準備しましょう。
今回のメインストリームサポート終了の報は、リプレースの準備を行うための小さな号砲でした。Windows XPで苦労した管理者は、この合図を見逃さないように準備していきましょう。ところで、Windows Server 2003の「延長サポート」が2015年7月15日に終了するのですが、みなさん、こちらは大丈夫ですか?
著者紹介:宮田健(みやた・たけし)
元@ITの編集者としてセキュリティ分野を担当。現在はフリーライターとして、ITやエンターテインメント情報を追いかけている。自分の生活を変える新しいデジタルガジェットを求め、趣味と仕事を公私混同しつつ日々試行錯誤中。
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