Streaming Now!〜流れをつかめ! 第1回:「Streaming Media West」に見る次世代フォーマット競争(1/2)

【国内記事】 2001年7月4日更新

 ブロードバンド時代に最も期待されている分野の1つに,ストリーミングがある。今さらいうまでもないが,ストリーミングというのは,いわゆるインターネット放送のことだ。あるコンテンツをダウンロードしてから再生するのではなく,パケットごとに送り込まれてくるデータをリアルタイムで受信するという仕組みである。ダウンロード再生と違って待ち時間が少なく,データもローカルディスクに残らない。  当然,バンド幅をそれなりに必要とするコンテンツであるだけに,「ブロードバンドにしたらストリーミングを楽しむゾ!」と心に決めているユーザーも多いかと思う。が,ご存じの通り,わが国はまだまだブロードバンド化が進んでいるとは言い難い状況である。

 ということで,この連載では,ブロードバンド先進国の事例を参考にしつつ,「ストリーミングって,どうなのよ?」という話をしていきたい。タイムリーなことに,ストリーミングに関する展示会「Streaming Media West」が6月20〜22日,米国ロングビーチで行われた。そこである程度,最新事情を見てくることができたので,まずは報告しよう。

ストリーミングって盛り上がってるの?

 さて,まず気になるのは,「米国でストリーミングは盛り上がっているのか?」という話であろう。これについては,いろいろな見方ができるが,私は「落ち着いた盛り上がりを見せている」ということにしたい。  というのも,実は私,昨年の同じ時期にニューヨークで行われた「Streaming Media East」という展示会にも参加したのだが,その時は「中身の伴わない,うかれた盛り上がり」を見せていたからだ。「とにかくストリーミング市場に参加しよう」と焦ったオッサン達がブースを構え,よく分からない無料サービスなどを展開し,空騒ぎしていた。それらの会社の多くは,もう淘汰されてしまっている……。そういうものを見てきたので,私の目には「ようやくまともなビジネスになりつつあるなぁ」と映ったのだ。

 とはいうものの,ビジネスに直結するコンテンツはそれほどない。実は,企業内研修や教育現場がいちばんの稼ぎ所なのである。何となくつまらないが,ストリーミングの利点というのを冷静に考えていくと,どうしてもそこに辿り着いてしまうのだ。 1.コストがかからない 2.どこにいても見られる 3.オンデマンド型であれば,いつでも見られる

 この3つのメリットをわかりやすく生かせるのが企業内研修や教育機関だからである。例えば,社員を研修センターに集めて何かするっていえば,それだけでコストがかかるでしょ? それがなくなるだけでも素晴らしいという話である。でも,あまり面白いコンテンツじゃありませんね。

面白いコンテンツって何だ?

 では,今,何か面白いコンテンツがあるのかというと,これがまた難しい。結局,メジャーなTV局のニュース番組,映画の予告編,レコード会社のプロモーションビデオなど,結局,大手が発信するコンテンツが一番充実しているのだが,結局テレビの2番煎じである。これも面白くないし,宣伝のためのものでしかないのだ。

 というわけで,私は,米国においても「これぞストリーミング向けコンテンツだ!」というものはまだ見つけられないままである(あるとすればアダルト系なのかもしれない)。

 そもそも,われわれは勝手に米国=ブロードバンド大国と思ってしまったりするが,まだブロードバンド普及率は10%程度でしかない。日本よりは進んでいるが,まだまだ活用されていないのだ。

 そこで気になるのが,本当のブロードバンド大国であるシンガポールや韓国の動向である。実は今回のイベントでは,韓国企業もいくつか出展していたし,シンガポールなどは政府絡みでエリアを借り,その中にシンガポール企業のブースを並べたりしていた。

 ちょっと取材したところ,ブロードバンド普及率20%のシンガポールでは,ストリーミングで映画などを楽しむ例が多いという。韓国ではテレビ局が番組のアーカイブを置き,好きな時に見損なった番組を見られるという。うーむ。後者の韓国の例などは,活用方法としてはいいと思うのだが,日本のテレビ局の考え方,タレントの肖像権などのことを考えると,なかなか難しいだろうな……。

 ということで,日本においてストリーミング用のコンテンツがどうなっていくべきなのか,私にはまだ分からない。ただ,この先,日本独自のヘンなものが出てくるのではないかと期待を持って見ているのである。

「御三家」はもうこりごり……

 今回,私が注目したのは,ストリーミングにおける「次世代標準フォーマット競争」である。御存じのようにストリーミングには「御三家」と呼ばれる(というか,私が勝手に呼んでいる)3つの技術があり,それぞれに互換性がない。このことが業界発展のための最大のネックになっていることは,この業界の常識である。それぞれが一長一短であるため,同じコンテンツを3回もエンコードしなければならないという厄介な現実があるためである。この御三家をちょっと整理してみよう。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.


モバイルショップ

最新CPU搭載パソコンはドスパラで!!
第3世代インテルCoreプロセッサー搭載PC ドスパラはスピード出荷でお届けします!!

最新スペック搭載ゲームパソコン
高性能でゲームが快適なのは
ドスパラゲームパソコンガレリア!