Streaming Now!〜流れをつかめ! 第1回:「Streaming Media West」に見る次世代フォーマット競争(2/2)

1.Windows Media Technology(Microsoft)
 Windowsマシンにプリインストールされているというのが最大の強み。画像圧縮などもなかなか研究されているが,サーバはWindows NTベースでなければならない。また,Macバージョンの出来がよくない。

2.Real System(Real Networks)
 ストリーミングに関しては最も歴史のある技術。当然,さまざまなノウハウを持っているワケだが,サーバソフトウェアが高価。WindowsにおいてもMac OSにおいても「サードパーティのツールである」というのが弱点。

3.QuickTime(Apple Computer)
 作成から配信までトータルで考えられた,柔軟性がある技術。Mac OSには標準搭載されているが,Windowsユーザーはダウンロードしなければならない。

といったところである。

これからはMPEG-4フォーマット?

 そこで,どのフォーマットに集約されるかということが注目されていたわけだが,今回,ISO準拠の「MPEG-4フォーマット」をプッシュしていこうという会社が多かったのである。

 え? 「MPEG-4はWindows Mediaで既にある」って?

 いや,全然,違う話なのである。

 ここでいうMPEG-4フォーマットとは,ISOがQuickTimeをベースに作り上げたファイルフォーマットである。このMPEG-4という規格,1つのファイルの中にインタラクティブな仕組みやらなんやらを全部持たせることができる,よく考えられたオブジェクトベースのフォーマットなのである。携帯端末などでの使用も考慮に入れられたものである。

 そこで,このフォーマットを標準とみなし,MPEG-4ベースのプレイヤー,エンコーダなど作っていこうという会社がかなりあった。蘭Philips,米PacketVideo,米Envivio,そして韓国のSerome Technologyなど……。また,アップルはQuickTime Playerを使ってのMPEG-4ファイル再生のデモを行い,「これからは標準で行こう!」と力強くアピールした。

 私はこれは正しい方向だと考えているし,この動きに大いに期待したい。この話はパソコンだけでなく,携帯端末同士の互換性にも響いてくるからである。

 だのに,日本では,「圧縮部分でだけMPEG-4の規格を使ったマイクロソフトの独自規格」のことを平気でMPEG-4と言ってしまう人達が多すぎる。で,それが勢力の中心になりつつあるという話も聞く。このままいくと,日本だけ勘違いしたまま推移していくことになってしまうゾ……。そろそろ気付いてほしいし,Web上で「MPEG-4対応!」を謳っているメーカーの皆さんにも,書き方を改めていただきたいものだ。

 とはいうものの,この世界,ISOよりもシェアのほうが偉かったりする。まだまだ,どうなるか分からない……。

 そこで,標準化とは別のアプローチをとっている会社がある。米Generic Mediaである(2月27日の記事を参照)。この会社のGeneric Media Publishing Serviceを使うと,配信側がエンコードに気を使わずにメディアファイルをアップロードすれば,あとはユーザーの環境に合わせて,リアルタイムで御三家のいずれかのフォーマットに変換しながら再生してくれるという,優れたサービスである。

 この方法を使えば,世の中が1つのフォーマットに集約されなくても,あまり困る人はいなくなる。これもアリである。

まとめ

 本当はフォーマットに関してはほかにも動きがあるが,今回はMPEG-4にフォーカスしてみた。ちょっとマニアックな話から入ってしまったような気もするが,これはストリーミングの普及のためには避けて通れない箇所なのである。私は,制作者がフォーマットで悩むことなしにコンテンツ作りができれば,コンテンツも面白くなっていくはずだと信じている。やっぱり,いくら動画が見られても,コンテンツがつまらなかったら,見てもしょうがないでしょ?

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[姉歯康ITmedia]

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