“8秒ルール”を死守せよ! 正しいコンテンツ配信ネットワークの作り方ISPやコンテンツプロバイダにとって,ユーザーにいかに早い体感速度でコンテンツを届けるかというのは死活問題だ。コンテンツ配信のシステムは,どう構築するのがいいのだろうか?
インターネット業界には“8秒ルール”というものがある。これは,あるリンクをクリックして8秒待ってもコンテンツが表示されないと,ユーザーはそのコンテンツの閲覧をやめてしまうという意味だ。 「eコマースの業界ではこの“8秒ルール”を守れなかったために,43億ドルの損失が出ているという報告もある」と語るのは,日本ルーセント・テクノロジーズのテクノロジー&ソリューションズシニアマネージャー,伊藤敦氏。同氏は11月2日,台場で開催されているe-Drive 2001において講演を行った。 ブロードバンド時代でも8秒ルールを守るには,いかにすればよいか? 同氏の語るところを聞いてみよう。
伊藤氏は米Dataquestの資料を引用し,「米国ではストリーミングメディアを利用する企業は2000年には9%だったが,2001年には30%に増加した」と紹介した。高まるストリーミングコンテンツの人気と共に,コンテンツ・デリバリー・ネットワーク整備の必要性が高まっているという。 こうした高まる需要の中で「従来のコンテンツの250倍の容量」(伊藤氏)ともいわれるストリーミングコンテンツを,ユーザーにストレスなく提供するのは困難になりつつある。コンテンツを配信する側は,ユーザーの体感速度を速めるためにCDN(コンテンツ・デリバリー・ネットワーク)の整備が急務だ。しかし,ひとくちにCDNといっても日々,進化しているのだという。 「単にキャッシュとロードバランサーを備えていればいいという話ではない。キャッシュにもいろいろあるし,その中で付加価値を付ける必要がある」 最近のトレンドは「エッジ寄り」?伊藤氏はCDNに欠かせないキャッシュの技術について,最近はコアネットワーク側に配置するより,ユーザーに近い側,すなわちエッジ側に配置するようになってきていると語った。 「サーバとクライアントの間には,プロキシサーバを置く。クライアントからのリクエストに対してプロキシにキャッシュがあれば,その時点でレスポンスを返す。クライアントにすれば本物のサーバではない,なりすましたサーバにアクセスしているわけだ」 プロキシにキャッシュがなくても,わざわざサーバ本体に取りに行くのではなく最寄りのノードから取得する。こうして,データ経路の最適化を進めるのだという。しかも,このプロキシサーバを上手く使えば,いろいろなことを実現できる。 伊藤氏が挙げたのは,ユーザーがアクセスしたプロキシサーバに個人情報を登録しておき,キャッシュにユーザー固有のカスタマイズを施してからレスポンスするような使い方だ。 「たとえばスポーツが好きというユーザーがいたら,キャッシュにスポーツの広告を自動的に加えて送信することもできる。また子どもがいる家庭向けに,アダルトコンテンツは表示させないように設定することも可能」 ほかにもプロキシ側でコンテンツ変換して,アクセスした機器に応じた表示(たとえば携帯電話なら携帯電話用コンテンツの表示)を返したり,キャッシュに暗号鍵を管理させる機能を付けて,SSLキャッシュにするといった付加価値も考えられる。エッジ側にキャッシュを配置するとともに,こうした分散型のソリューションを構築することが大切なのだという。 平均9秒から4秒へ日本ルーセント・テクノロジーが提供するCDNソリューション「imminet」は,サーバ―クライアント間にわたるエンド・ツー・エンドの分散型ネットワークだ。コンテンツ配信の高速化とともに,IPネットワークの付加価値サービスを提供する。 伊藤氏によると,先日ある企業がCDNを再構築するにあたり,imminetは3社の競合で最も良い結果を出した。「従来のサーバのレスポンスタイムが平均9秒であったところを,平均4秒にまで短縮することに成功した」(Keynote Systemsのツールで測定)。
「ストリーミングメディア事業には,いまやプロバイダや通信キャリアが積極的に参加してきている」(伊藤氏)。高まる市場の需要を見越し,同社は今後,ISPやコンテンツプロバイダ,データセンター向けに導入を目指す。 関連記事 関連リンク [杉浦正武,ITmedia] Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved. モバイルショップ
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