日本初の“卓上IPテレビ電話端末”――「i-See」ってなんだ

先日NTT-MEから発表された日本初のIPテレビ電話端末,「i-See」の詳細に迫る。画質はどれくらい? どんな相手と通話できる? そもそもIPテレビ電話って何?

【国内記事】 2001年11月15日更新

 今月はじめ,NTT−MEよりIP対応テレビ電話端末「i-See」が発表された(主な仕様は過去記事参照)。もともと台湾Leadtekが販売していた製品だったが,NTT-MEが日本向けにローカライズして販売する。価格は12万8000円。

 一見普通の卓上電話にも見えるが,後ろにつなぐのは電話線でなく10BASE-TのLANケーブル。これまでもPC上でテレビ電話機能を実現するサービスは多数存在していたし(10月24日の記事参照),ISDNのケーブルを利用してテレビ電話を実現する卓上電話も「Phoenix mini」などがあったが(過去記事参照),LANケーブルに接続してテレビ電話機能を実現する卓上端末としてはi-Seeが日本初の製品だという。

 仕様はITU-Tの勧告する規格「H.323」に準拠しており,同規格に準拠したIP電話と通話が可能。ISDNを利用したテレビ電話端末のような,「H.320」準拠のIP電話とも通話できる。ほかに,Microsoftのビデオ会議ソフト「Netmeeting」をインストールしたPCとも通信することが可能だ。ちなみに話題の次世代携帯電話「FOMA」もテレビ電話機能を備えているが,こちらは「3G−324M」という規格になっており,残念ながらH.323と接続することはできない。

実際につないでみよう

 さて,それではi-Seeで電話を実際にかけてみよう。今回はNTT-MEの池袋オフィスにお邪魔して,すぐ隣のIP電話に対して通信を行った。

 もちろんこの場合,かける番号は相手のIP電話の「IPアドレス」ということになる。いままでの電話に慣れたユーザーにはちょっと面食らうような話だが,IPアドレスは電話帳に100件登録しておくことが可能。いったん入力してしまえば短縮番号1つで電話をかけられるようになる。

 普通の電話と同様,受話器を耳にあてて待っていると,相手が電話に出て映像が開いた。画質については,大きさ重視の352×288ピクセル(CIF)で秒間24フレーム,動き重視の176×144ピクセル(QCIF)で秒間30フレームの2種類から選べるようになっている。

ちなみに映像を送信しない「プライバシーモード」も備える

 画質だが,やはりそのきれいさは素直に認めるところ。写真は384Kbpsで通信したときのものだが,ISDN回線を利用して64Kbpsのテレビ電話を行った場合より,はるかにクオリティが高い。i-Seeでは「64〜128Kbps」「128〜192Kbps」「192〜256Kbps」「256〜320Kbps」「320Kbps以上」の5段階の画質が用意され,環境に合わせて選択可能になっている。

 見とれているのも何なので,しゃべってみた。すぐ隣にいる相手の声が,インターネットを経由して受話器に届く。この時,国際電話のように実際の声と受話器の声で「声の遅れ」(ディレイ)が起きた。今回の通話では自分と相手,それぞれオフィスにひきこまれた別々のADSL回線につなげたため,インターネット網にのってだいぶ遠回りして声がとどいた可能性がある。社内LANなど閉じたネットワーク内で利用する場合は,声の遅れはないという。

 声のクオリティに関しては,まずまずといったところ。とくにきれいというわけではないが,「声のゆらぎ」(声がふるえる)も問題ないといった感触だ。「理論的には,通常の電話回線より特に声のクオリティが落ちるということはないはず」(NTT-ME)という。

ケーブルテレビユーザーには難点も

 このIPテレビ電話i-Seeだが,価格が12万8000円と高めなこともあって,主に企業向けの利用を想定している。NTT-MEでは企業向けに付加価値を付けたイントラネットサービスも提供しており,こうしたものを利用すればオフィスなどの閉じたネットワーク内で内線として利用できるという。

 もちろんグローバルにひらかれたネットワーク,いわゆる“インターネット”上で利用することも可能だ。ただしこの場合は,少しやっかいな問題も生じてくる。

 まず挙げられるのは,オープンなインターネット上ではどういった経路をたどって相手にデータが届くか分からないこと。上の例でも分かるように,相手はすぐ隣にいるのに,ネットワークを通るデータはとんでもない大回りをして相手に届くかもしれないのだ。このため,声が届くのに遅れが生じる可能性がある。これが問題の1つ。

 2つめは,インターネット上で利用するには固定のグローバルIPアドレスが必要になるということだ。CATVのユーザーなどは,プロバイダ側で変換したプライベートIPアドレスを割り振られている場合がある。またADSLユーザーにしても,接続毎に動的にIPアドレスが割り振られるため,各プロバイダに対し固定IPアドレスをもらえるサービスに申し込まなければならない。これにより,“追加料金”が発生してしまうわけだ。利用にあたってはどういった網内で利用するのか,注意したほうが良さそうだ。

テレビ電話のさまざまなニーズ

 とはいえこのi-See,現場のニーズは少なからずあるという。利用に積極的な姿勢を見せているのが地方自治体。大画面テレビに出力すればテレビ会議などに利用できるため,i-Seeを求める声が上がっているという。また,聴覚障害の人たちからも要望がある。映像付きの電話なら,距離が離れたところでのコミュニケーションに道を開いてくれるからだ。

 取材のほんの2,3時間前にあった電話では,ある英会話学校から問い合わせが入ったという。これまでPhoenix miniで映像を流しつつ英会話スクールをやっていたが,i-Seeに乗り換えるかもしれないとのこと。英会話のレッスンに使用するユーザーなら,常時接続環境にすることで電話料金を気にせず,テレビ電話を使えて有効だろう。英会話のようになんらかの付加価値をつけることで,IP電話の利用方が広がるということの表れでもある。

 いずれにせよ,今後の本格的な普及のためにはもう少し価格が安くなることが欠かせない。NTT-MEは「技術者のあいだでは,2年以内に価格を2分の1,あるいは3分の1にしなければ,という意識でいる」と語ってくれた。

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▼ NTT-ME

[杉浦正武,ITmedia]

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