2.4GHz無線LAN,IEEE 802.11gへの準備は万端?総務省は16日,2.4GHz帯を使う無線LANシステムでOFDM方式の利用を許可する方針を固めた。これは,昨年11月に暫定承認されたIEEE 802.11gを念頭に置いたものだ。
総務省は,2.4GHz帯の小電力データ通信システム(無線LAN)でOFDM方式の利用を許可する方針を固めた。これにより,昨年11月にIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)で暫定承認(2001年11月の記事を参照)された「IEEE 802.11g」が国内でも利用できるようになる。 総務省は,情報通信審議会が昨年9月に答申した「2.4GHz帯を使用する無線システムの高度化に必要な技術的条件」を受け,電波監理審議会に関係省令などの改正案を諮問していた。その背景には,「産業界の強い要請があった。もちろん,IEEE 802.11gを念頭に置いたものだ」(総務省総合通信基盤局の徳生裕人システム開発係長)。 1月16日,電波監理審議会は「改正が適当である」旨の答申を出した。総務省では,早ければ2月にも関連省令などを改正する構え。 OFDM方式は,複数の搬送波を干渉することなく密に並べるため,狭い周波数の範囲を効率的に利用できるのが特徴だ。総務省では,20Mbps以上の通信スピードを実現できるとしている(IEEE 802.11gは最大54Mbps)。合わせて,高指向性アンテナの使用も認められるため,通信距離が伸びることも期待できる。
製品はいつ?しかし,当のIEEE 802.11g対応製品はまだ市場にはない。というのも,802.11gがIEEEで正式承認されるのは,「早ければ今秋,遅くなると来年春」(機器メーカー)と見られており,チップメーカーからも対応チップが出荷されていないため。 2.4GHz帯を使った高速無線LAN製品としては,メルコの「AirStation 2x」が発表されている(11月1日の記事を参照)が,こちらは米Texas Instruments(TI)独自の2xモード(PBCC方式)を搭載したものだ。転送スピードは最大22Mbps。 TIは,同じチップベンダーの米Intersilと規格争いを演じていたが,勝ったのは当初不利といわれていたIntersil方式(OFDMを採用)だった。IEEEは,OFDM方式を標準規格の中心に据え,PBCC方式をオプションとして規定した。つまり,PBCCを実装しなくてもIEEE 802.11g対応を謳えるわけだ。
TIは,PBCCもサポートした802.11g対応チップを計画しているが,結果として,AirStation 2xは“標準”になり損ねてしまった。なお,メルコは「開発の遅れ」(同社)から,AirStation 2xの出荷を1カ月延期している。
ソニーも開発中一方,OFDM方式の2.4GHz無線LANシステムは,ソニーも開発を進めている。同社は,2月より品川区の「大崎ゲートシティ」で日本テレコムと共同でホットスポット実験を行うが(12月20日の記事を参照),ここで使用するのが「情報通信審議会の答申に準じた技術」(同社)だ。 ソニーの無線技術は,「1チャンネルあたり最大18Mbpsで7チャンネル」,あるいは「1チャンネルあたり最大36Mbpsで3チャンネルを配置する」など,帯域幅の割当が柔軟に行えるのが特徴で,マルチパスに対する耐性も高いという。マルチパスとは,建物などに反射して受信される電波のこと。これが多くなると,本来受信すべき電波信号がひずみ,通信品質の低下につながる。 ただし,今回のホットスポット実験は,プロトタイプを持ち込んでの「接続実験」という色合いが濃く,製品化にはまだまだ遠い。ソニーでは「環境が整えば(製品化)も検討する」と話している。
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