IIJ,管理・課金機能も含んだCDNプラットフォームを4月より提供

IIJは動画など大容量のコンテンツを配信する企業向けに,広帯域のコンテンツ配信ネットワークを提供する。

【国内記事】 2002年2月12日更新

 インターネットイニシアティブ(IIJ)は2月12日,ブロードバンドを利用しているユーザーを対象とした,広帯域のコンテンツ配信ネットワーク(Contents Delivery Network:CDN)プラットフォーム事業を4月より開始することを発表した。このプラットフォームは,動画など大容量のコンテンツを国内の拠点に配信したいと考える企業向けにも提供される。

 同社は昨年11月に,シスコシステムズや日本オラクルなど8社共同で「CDN JAPAN」を立ち上げ,今年4月までの計画で実験的にCDNサービスを行っている。今回発表された新プラットフォームは,これら実験の結果を踏まえ,改めてIIJより正式に提供されるものだ。

 この事業は,プラットフォームという名称が示すとおり,コンテンツの置き場所や高速に配信を行うための回線,経路制御をはじめとするネットワークインフラの運用,そして,特に有料サービスには不可欠となるユーザー認証や管理,課金といった機能をまとめて,コンテンツ所有者や配信事業者に提供するものだ。

 ただし,いわゆる「インターネット」への接続については,まだ検討中である。事業開始当初は,コンテンツ配信に特化した,閉じたIPネットワークが提供される見込みだ。コンテンツの置き場所から配信,ラストワンマイル(場合によってはその手前まで)の回線をひとまとめに提供することで,コンテンツ配信の品質を維持し,同時にユーザー管理や課金処理,セキュリティといった問題を解決することを狙っている。

 同事業に備えIIJでは,国内に展開している9カ所のデータセンターを,同社およびクロスウェイブコミュニケーションズ(CWC)のバックボーンで高速に接続する。また,これまでCATV事業者向けに提供してきたネットワークであるHSMN(High Speed Media Network)も接続・統合されるほか,地域IP網との接続も行う。つまり,同社がこれまで整備してきたバックボーン回線やデータセンターを,ブロードバンド向け配信に向けて再構成するものと言える。

 4月の事業開始時点では,全ブロードバンド接続ユーザーのうちまず100万世帯を対象とする計画だ。これには,HSMNに接続しているCATV事業者のうちの30局および東京,愛知,大阪という大都市圏のフレッツ・ADSL/Bフレッツユーザーが含まれる。その後もアッカ・ネットワークスやイー・アクセスなど,複数のブロードバンド接続事業者と相互接続することで対象ユーザーを拡大し,2002年末の時点で,600万世帯を対象にする計画である。

 アクセス回線料金,および有料とされるコンテンツの料金は別途支払うことになるが,コンテンツ受信者がCDNプラットフォームにアクセスする分は無料となる。また,コンテンツホルダーや配信事業者,企業ユーザーがこれらプラットフォームを利用する際の料金は,個別見積りという。

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[高橋睦美,ITmedia]

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