撃墜王を目指せ! 日本上陸のオンラインエアーコンバットゲームに参戦してきました

米国発の,本格的オンラインゲーム「Fighter Ace III」が発表された。プレス会場で実際にゲームに挑戦した記者のゆくえは……?

【国内記事】 2002年2月27日更新

 オンラインゲームは本当に楽しいのか? 日頃あまりゲームをする時間のとれない記者にとって,これを再確認する機会が巡ってきた。パシフィック・センチュリー・サイバーワークス・ジャパン(PCCW ジャパン)は27日,米Microsoftのゲームサイト「MSN Gaming Zone」で人気のオンライン・エアーコンバットゲーム「Fighter Ace III」を4月から日米同時リリースすると発表した。

 ここで重要なのは,プレス発表会場が“オンラインゲームカフェ”「Necca」だということだ。さては取材陣にもプレイさせてくれるに違いない。大阪府高槻市の中学に通学していたころは,ゲームセンターで「高槻の撃墜王」と異名をとった記者の胸は大いに高鳴った。シューティングゲームならいささか腕におぼえがある。

 最新のオンラインゲームで,人間相手に空中戦を繰り広げるのはどんな感覚か,いざ取材会場に乗り込んでみた。

名人も油断するとアブナイ,Fighter Ace

 「Fighter Ace III」は第2次世界大戦が舞台の,MMP(Massively Multi-player)オンラインゲーム。米国では既に7000人のプレイヤーがいる,「Fighter Aceシリーズ」の最新作だ。ユーザーは日,米,英,独,露の5カ国,全80機の軍用機から好きな搭乗機を選択してプレイする。

 ゲームに参加した瞬間,360度周りは敵である。飛んでいる飛行機(ほかのユーザー)を見つけたら,挨拶代わりに弾丸を打ち込むという,単純明快なゲーム。ゲームモードによってはチーム戦や,「ミッドウェー海戦」などを再現する“ヒストリカルイベント”などのゲーム形式も用意されている。

 今回からプライベートアドレス環境でもプレイできるようになったのが,ポイントの1つ。これはUDPのパケットでもルータを通過できるよう,設定を工夫したことで実現した。「UDPはTCPと異なり,標準になる仕様がない。このため,ルータごとに1つ1つ調整して,全てのルータに対応させた」(PCCW ジャパン)。


ゲームを開発したメーカーVR1は,PCCW ジャパンの100%子会社。米MicrosoftのXbox向けファーストパーティ作品「Nightcaster」も同社のゲームだ

 発表会場では“Fighter Ace名人”なるプレイヤーが颯爽と登場。記者の注目するなか,デモとしてゲームを開始した。

 鋭い目つきで,飛行中の一機に狙いを定めた名人。操縦も巧みに,ターゲットの背後から音もなく迫る。記者会場が緊迫した瞬間,画面に衝撃が。相手を倒したのか? その時名人から衝撃の一言が!

 「やられた……」。なんと名人は,さらに背後から来た一機に撃墜されてしまった。MMPゲームでは,こんなこともあるのである。

はやる気持ちとはうらはらに,ぐるぐるまわる

 それでは取材陣による,テストプレイの開始である。今回は発表会用に新たにサーバルームを用意し,集まった記者同士で対戦するという趣向をとるとのこと。なんと,いきなり各誌対抗バトルの様相を呈してきた。ZDNet代表としては,責任は重大である。


会場ではMicrosoft製のPCゲームコントローラ,「SideWinder」も用意された。弾丸を撃つとビリビリ振動する

 今回プレイしたのは“アーケードモード”。すなわち弾丸は打ち放題,燃料も補給する必要がなく,ひたすらほかのユーザー撃墜に専念できるというモードだ。

 出身国を選択し,搭乗機も決めたら,いざゲーム開始。とたんに眼前にひろがる大空。なかなか気分は爽快。

 が,余裕でいられたのもここまでだった。最初はなかなか操縦に慣れず,同じところでぐるぐる回ってしまう。画面で敵プレイヤーの居場所を確認するものの,そちらに飛べない?? あげくのはてに,上の方に地面が見えているなと思ったら,頭から墜落してしまった。「ちなみにこのゲームでは,操縦は簡単に設定してあります」と司会者の声。そんな,何も今言わなくても……

 ちなみに実際の戦闘では,操縦士が初心者と見るやほかのプレイヤーがメッセージを送って,コツを教えてくれるものらしい。「上級者が操作を教えている様子は,ひんぱんに見られる」(PCCW ジャパン)。

 それでも心配な人は,初心者用サーバにアクセスすればよいとのこと。サーバによってはボランティアプレーヤーがいて,気さくに質問に応えてくれるという。さすがオンラインゲーム,このあたりは「各プレイヤーとも,コミュニティを育てようという気概にあふれている」(PCCW ジャパン)のだそうだ。

逃げる相手を追いかけろ

 しばらくすると操縦にも慣れ,ゲームらしくなってきた。全体画面で敵機の位置を確認し,そちらに飛行する。相手を見つけたら,背後に回りこむのが鉄則だ。回り込まれたことに気付いた敵は,振り切ろうと右に左に逃げることになる。

 この「おいかけっこ感」が,ゲームの醍醐味というか,メインの部分ではないだろうか。普通の(非オンラインの)エアーコンバットゲームなら,敵機がたくさんやってきて,それを次々撃ち落とす――ということになるわけだが,Fighter Aceではなにしろ敵が逃げるので,ことはそう簡単ではない。

 また,常に自分が狙われていないか注意をはらうため,場合によっては追跡をあきらめ逃げることに専念しないといけない。このあたりの判断が難しい。

 これはほかのMMORPG(12月29日の記事参照)をプレイした時も感じたことだが,一般にオンラインゲームは非オンラインゲームより「能動的働きかけ」が大事だ。ファミコンのRPGなら「歩いているだけで敵が出た」。だがMMORPGは「レベルアップのために,敵を探しにいって,しとめないといけない」のだ。

 今回のゲームにしても,受動的に敵を待っていては,背後からやられるだけ。記者のように「なんにも考えずのこのこと現れる敵を,大量に撃墜して有頂天」というプレイヤーには向かないのだが,こちらはこちらでほかのプレイヤーとのかけひきの要素がある。楽しみの種類が根本的に違うということになる。

プレイヤーは“紳士”多し?

 PCCW ジャパンによれば,米国ではFighter Aceを楽しむプレイヤーは,比較的高年齢層が多いということ。これは課金にクレジット決済を採用していることからも分かるが,「分別ある紳士が多い。コミュニティの運営も,それほど心配していない」(PCCW ジャパン)。

 価格については,米サービスでサーバ接続料が月額9.95ドルとなっている。日本での提供時も,これと似たような価格設定になるようだ。

 これについてPCCW ジャパン シニアヴァイスプレジデントの若林宗男氏は,「オンラインでゲームをしようとするユーザーには,それほど高い値段ではない」と見る。「ブロードバンド環境にあるというだけで,それなりの投資をしたハイエンドユーザーということになる。要求はわがままだけど,満足できるものには対価を払うだろう」(同)。

 ちなみに,記者は買うか? と聞かれれば,答えは「時間があれば……」。ゲームは楽しかったけれど,こればっかりは,ばんばん降ってくる仕事を“撃墜”しないと,どうにもならないのです。


なお発表会場のNeccaでは,“萌え”なコスチュームを来たスタッフが出迎えてくれる。よくも悪くも,秋葉原全開だった(クリックで拡大)

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[新崎幸夫,ITmedia]

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