プロモーション・ビデオは広告? コンテンツ? ――NTT-Xの立場

アーティストのビデオクリップは宣伝用か,それとも有料コンテンツか? 東芝EMIと提携してプロモーション映像を配信する,NTT-Xに聞いた。

【国内記事】 2002年3月20日更新

 短時間,かつ見ていて飽きず,しかも場合によっては無料で視聴可能……。楽曲のプロモーションビデオは,Webでの配信に適した動画といえる。

 NTT-Xは2月27日から,gooブロードバンドで東芝EMI所属のアーティストのビデオクリップを無料配信している(記事参照)。今後の事業性をどう考えているのか,NTT-Xメディアコンテンツ部の上床昭人グループリーダー,渡井幸太郎氏,チーフデザイナーの鈴木基久氏に聞いた。


左から,上床昭人氏,渡井幸太郎氏,鈴木基久氏

 今回の契約は,バーター(金銭収受を伴わない交換取引)。東芝EMI側はNTT-Xのコンテンツサーバに動画を置き,地域IP網経由で配信を行う。goo側は集客効果が見込めるほか,技術面でノウハウを蓄積できる。

Webプロモーションで成功した「キンモクセイ」

 gooブロードバンドには,東芝EMIのほかにもエイベックスなどがビデオクリップを提供している。ラインアップは,人気を確立した大物アーティストから売り出し中の新人まで,多様だ。

 ただし,配信されるのはレコード会社の一部のアーティストに限られる。「著作権のとりまとめには比較的苦労しないようだが……中には映像を出したがらないアーティスト事務所もある」(渡井氏)。

 とはいえ,オンラインでのプロモーション活動が,業界から注目されていることは確か。実際に,成果も上がっているようだ。

 「『キンモクセイ』というバンドはWebでのプロモーション活動を大々的に行ったところ,オリコンで初登場12位に入った」(上床氏)。ほかにも,レコード会社の販促活動としては低コストであることや,ユーザーの反応が早く帰ってくるなどのメリットがあるという。

有料で売るべきか?

 プロモーション映像といえば,ソニー・ミュージックグループのブロードバンドサイトMORRICHのように,有料で配信している事例もある(12月5日の記事参照)。こちらは,映像を広告ではなく“コンテンツ”ととらえた取り組みといえる。

 これについては「われわれとしても,有料化の意志がないわけではない。ただ,これに関してはレーベルの考えを聞いていかないと……」と鈴木氏。

 「もともとプロモーション・ビデオは広告のためのもの。それを『これはコンテンツだ,有料で売れる売れる』とけしかけているのはWeb屋のほう。彼らがさわぐので,レーベルも『有料にすべきなのか?』と思い始めたというのが,現状ではないか」(同)。NTT-Xとしては,あまりレーベルに有料化をけしかけない方向だという。

 リアルのCD販売促進に利用するか,PVそのものを今後有料化すべきか。今回の無料配信は,まさにその点を検証するためでもあるとした。

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[杉浦正武,ITmedia]

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