FFXIはゲームの“限界”を破る――スクウェア5月に発売が予定されている,ファイナルファンタジーXI。売上減がささやかれるゲーム業界にとって,またコンテンツ不足にあえぐオンライン業界にとって,救世主になれるか。
業界の期待を背負って,という表現が正しいだろう。5月16日,ファイナルファンタジー(FF)シリーズ最新作「ファイナルファンタジーXI」が発売される。同シリーズは,国内・海外合わせて累計で約3800万本を売り上げたお化けソフト。XIでも相当数のユーザーを獲得するようなら,オンラインゲーム市場を発展させる起爆剤にもなりうる。 FFXIは,FFXIのDVD-ROMとネットワークサービス「PlayOnline」のCD-ROMの2枚組みで,7800円で発売される。別途,コンテンツ使用料として月額1280円が必要となる。発売を控えての手ごたえを,スクウェアの業務執行役員で開発担当の,田中弘道氏と石井浩一氏に聞いた。
同社は現在,ベータテストによりサーバの負荷などを調査している段階。テストは12月17日より,数千人を収容可能なサーバを4台たてて「数万人規模で」(スクウェア)行われている。ところが,この時点で既にゲームに没入するプレイヤーが続出しているという。 「ベータテスターの3割程度は,なぜか24時間アクセスしている。当初は1カ月程度で飽きられるかと思っていたが,プレイヤーは増える一方だ」(田中氏)。 テストでは特にストーリーを用意せず,自由にFFの世界を冒険してもらうという内容。ところが,あまりにプレイヤーが隅々まで探索し尽くしてしまうので,急きょボスキャラ(より強力なモンスター)を追加したという。 「プレイヤーのハマり具合(熱中の度合い)は,すごいものがある。これがパッケージ販売のゲームだったら,この人数に1カ月続けて遊んでもらうだけでも難しいのではないか」(田中氏)。
従来のFFファンに受け入れられるか?ファイナルファンタジーといえば,映画を見るような急転直下のストーリー展開がウリだ。プレイヤーは受動的に,綿密に計算されたシナリオをなぞることでゲームを楽しんできた。 ところが,オンラインゲームとなるとプレイヤーの自由度が高まり,少々趣が異なってくる。自分からモンスターを倒しに出かけたり,ほかのプレイヤーと対話・協力するなど,より能動的な行動が求められるわけだ。 こうした方向転換,ストーリー性減は,そのままFFの魅力減につながるのではないか? この点を石井氏は,「確かに,従来の作品と比べてゲームの印象は大きく変わっている。(FFの特徴である)一人称キャラクターが秘密の過去を持っている……といった設定もない」とコメント。 「ただし,メインストーリーとそれに伴うイベントは用意しているし,ラストのボスも存在する。その上で,イベントを追いかけたり,自由な冒険を楽しんだりと,多様に楽しむことができる」(同)。 両氏が口をそろえるのは,ネットワークゲームならではの対人関係が非常に楽しめること。その意味で,従来型ゲームとオンラインゲームを融合した“いいとこどり”の新しいスタイルになったと,自信を見せた。
対人関係,ということでは,プレイヤーが自分のレベルに合った仲間を必ず見つけられるかという点も心配だ。より強力な敵を倒す場合,複数のプレイヤーとパーティを組むことは,ほぼ必須になる。しかし,遅れてゲームを始めた低レベルのプレイヤーは,誰も仲間になりたがらないのではないか? 田中氏は「その問題の解決策になるのが,ジョブシステムだ」と話す。 「あるジョブ(キャラクターの職業)だけで冒険を続けていては,いずれ限界がくるように設定してある。そこでジョブチェンジ(職業変更)が必要になるわけだが,これを行うと一気にレベル1の弱さに落ちてしまう。そのため,自分と似たレベルのプレイヤーが常に存在するはずだ」(同)。 ベータテストの結果を見ても,プレイヤーは必ずジョブチェンジを行っているとのことだった。
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