反骨の「Genuine」哲学とその方向性――MIS真野社長「今のインターネットからは,いいものが失われている……」。真野社長は自らの哲学を語るとともに,Genuineの狙いと今後の方向性を説明した。
「今のインターネットからは,いいものが失われている」。 こんな出だしから,MISの真野社長の話は始まった。同氏は4月5日,EC研究会で講演を行い,4月に始まったばかりの無線インターネットサービス「Genuine」(3月15日の記事参照)の狙いと,今後の方向性を説明した。
MISの真野浩社長 同氏はインターネットが,“シンプル アンド ステューピッド”という本来の姿から,NATやPPPoEといった技術によって変えられてしまったと指摘する。無限の可能性を持つインターネットが,Web閲覧やメールなど限られたアプリケーションの利用に限定されていることを不満とした。 MISがGenuineで打ち出すのは“インターネットに接続するだけ”という姿勢だ。 「我々は第1種通信事業者だが,自社のネットワークは持っていない(ISPのネットワークを借用している)。アクセスポイントに来たユーザーを外のインターネットにつなぐという,ピュアなサービスだ」(同)。 各地に配したアクセスポイントが,完全自律分散のネットワークとして機能することで,誰のものでもないインターネットの利用が可能になるとした。
「付加価値は一切なし」昨今,通信事業者の間では「インフラだけではもうからないので,付加価値で収益をあげよう」という考えが支配的。だがMISは,これと正反対の路線をとる。 「特定のアプリケーションを積んだ端末を売るわけでもないし,ユーザーにメールアドレスや,ホームページのスペースをあげるわけでもない」(真野氏)。月額2400円のネット接続サービスだけで,じゅうぶん収益が上がるという。 MISからユーザーに渡されるのは,基本的にグローバルIPアドレスだけ。これはモバイルIP機能を実装し,ユーザーのホームエージェントを用意してそこにIPアドレスを割り振ることで実現した。「グローバルIPアドレスを利用して,なんでもやってもらったらいい」(同)。 ちなみに,同氏が唯一“持ってしまった”と表現するのは,「位置情報」という付加価値。Genuineでは,どのアクセスポイントに接続しているかで,ユーザーの位置情報を把握できる。これを基に,サービスの提供を望む事業者が現れ,またユーザーもそれを望むなら,位置情報サービスを提供することもあるという。
セキュリティは重視付加価値を不要と言い切る真野氏だが,反対に必ず必要とみなすのはセキュリティ対策。「ホットスポットサービスによっては,(ネットワーク上の)隣のPCを覗き放題,パケットをタッピングし放題,というケースもありうる」と注意をうながす。 Genuineではユーザーの認証について,ダイナミックに暗号鍵を変更して通信を暗号化するIP Mobility技術を採用している(2月18日の記事参照)。これにより,通信のタッピングや意図しないファイル共有が不可能となる。 MISが2月下旬から3月上旬にモニターからとったアンケートを見ると,「MISを選んだ理由」の項目で392人中67人が「セキュリティ技術」,48人が「個人認証技術」を挙げている。ユーザーの評価・期待も高いようだ。
ローミングは「積極的にはやらない」第3世代携帯電話(3G)と無線LANのローミングについては,あまり積極的ではないようす。真野氏は「3Gは今後の展開が不明確。姿がはっきり見えないものと協調することは難しい」と,現段階で特に予定がないことを示す。 今後の具体的な展開としては,「社内でAirMacに対応させる動きがある」ほか,Linuxへの対応をはかる予定。また,現在のように専用ソフトをインストールさせるサービス提供方法に改善の余地があるとして,「モバイル機器には組み込んでおくと便利だろう」と話した。
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