沖電気とアジレント,「IP電話普及推進センタ」を設立沖電気工業とアジレント・テクノロジーは,IP電話の普及推進を目的とした「IP電話普及推進センタ」を設立した。今後,普及・拡大が見込まれるIP電話事業において,コンサルティングからシステム構築,保守まで,IP電話事業に関する“ワンストップソリューション”を提供していくという。
沖電気工業とアジレント・テクノロジーは4月10日,IP電話サービス事業における技術およびソリューション業務分野での提携を発表した。沖電気工業がIP電話の普及推進を目的とした「IP電話普及推進センタ」を社内に設立し,アジレント・テクノロジーがアライアンスパートナーとして同センタ業務を支援する。 沖電気工業の篠塚勝正社長は「今後,普及・拡大が見込まれるIP電話事業において,IP電話サービス事業者と企業ユーザーに,コンサルティングからシステム構築,保守まで,IP電話事業に関する“ワンストップソリューション”を提供していく」と語る。
「IP電話で“ワンストップソリューション”を提供していく」と語る沖電気工業の篠塚勝正社長(右)とアジレント・テクノロジーの成松洋社長(左) IP電話は,異なるメーカー機器間での接続性保証がない点や,音声品質を統一的に評価する基準がないこと,また電話番号がないため固定電話からIP電話へ着信ができないことや,IP電話サービスのカテゴリが法律上定義されていないなど,普及に向け多くの課題が指摘されている。 また,コンサルティングからシステムの設計・構築・工事,販売支援,保守・運用・アウトソーシングまで,IP電話サービス事業を,トータルでサポートできるソリューションプロバイダーがこれまでなかった。 沖電気工業は,長年培ってきたVoIP技術を生かして,IP電話関連に注力してきた。しかし,IP電話のコンサルティングやシステム設計,設置工事,保守運用のノウハウはもっているが,より専門的な技術ノウハウが必要となる音質測定体系や常時音質監視といった「IP電話の検証サービス」には弱かった。そこで,この分野に強いアジレント・テクノロジーと提携,相互接続試験やIP電話音声評価といった「IP電話検証サービス」の充実を図ったわけだ。 アジレント・テクノロジーは,電子計測機器メーカー最大手。2000年6月に日本ヒューレット・パッカードの電子計測機器部門などが独立して設立された。次世代IPネットワークやOSS(オペレーティングサポートシステム),光ネットワーキング分野に力を入れており,特にVoIPの課題といわれている接続性や音声品質に対応したテストソリューションを積極的に展開してきた。 「IP電話普及推進センタ」では,IP電話サービス事業者や企業ユーザーに対して,相互接続検証サービスや音声品質評価サービス,技術者教育,IP電話普及のための共同プロモーション活動などを行っていく。沖電気工業では,同センタの活動によって,IP電話関連の売り上げを2001年度の約100億円から,2005年度には600億円にまで拡大する構え。 発表会では,IP電話の音質を検証するデモンストレーションも行われた。デモのシステムでは,PC上のソフトウェアで擬似IP網を構成し,音声パケットのロス,遅延,揺らぎといったネットワーク品質低下を意図的に作り出せるようになっている。
IP電話の音質を検証するデモンストレーション その擬似IP網の両端にVoIPゲートウェイとして沖電気工業のインターネットボイスゲートウェイ「BV1260」を接続し,BV1260のアナログポートに電話機とアジレント・テクノロジーのVoice Quality Tester「VQT J1981B」を接続,IP電話の音質を検証できる。「総務省の報告書にある,IP電話の品質分類に相当するネットワークを擬似的に作りだすことができる」(沖電気工業)。
デモのシステム構成図 総務省では,IP電話端末への着信を可能にするために「030」などで始まる15桁以内の番号を付与することを検討中だが,番号付与の条件となるのが「品質保証」。総務省「IPネットワーク技術に関する研究会」の報告書で示されているIP電話の品質分類は,総合伝送品質率(R値)によって,「クラスA(固定電話並み)」,「クラスB(携帯電話並み)」,「クラスC(クラスB以下)」の3クラスに分けられている。このR値は,エンド トゥ エンドにおけるIP電話の品質を具体的に数値で評価するものとして,国際標準(ITU-T G.107)として定義されている。 今回のデモンストレーションでは,このR値ではなく,PSQM+(客観的音質評価基準)によるものだったが,「PSQM+はR値とほぼ同等で,1ならクラスA,2〜3ならクラスB,3以上ならクラスCとなる。またR値での評価も,今年6月には行える予定」(沖電気工業)。 IP電話の品質分類は以下の通り。
「今後,このようなIP電話の音質検証を,サービス事業者側が実際にやらなくてはいけなくなる。沖電気工業が長年培ってきたVoIPノウハウを生かしたIP電話システム構築能力と,アジレント・テクノロジーのVoIP関連測定機器を連携させることで,IP電話サービス事業運営の効率化をはかれる」(アジレント・テクノロジー)。
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