「IP.net JAPAN 2002」でIP電話の近未来を探る「IP電話元年」とされる2002年。通話環境は大きく変化することになるかもしれない。パシフィコ横浜で開幕した「IP.net JAPAN 2002」の会場で関係各社の話を聞いた。
「電話ほどコンテンツが豊富なものはない。なにしろ,ユーザー自身がコンテンツを作ってくれるのだから」。パシフィコ横浜で開幕した「IP.net JAPAN 2002」の会場で,総務省総合通信基盤局電気通信事業部の鈴木康雄部長はこう語った。 e-JAPAN戦略の目標を上回るペースで拡大する日本のブロードバンド市場だが,一方でコンテンツ不足を指摘する声も大きい。IP電話が注目されるのは当然の成り行きといえる。「IP電話元年になる」(鈴木氏)とされる2002年の動向を,IP.net JAPAN 2002の会場で探った。
電話番号は5〜6月に決定鈴木氏は,IP電話の問題点として,プロトコルの数や,キャリアによる品質のばらつきを挙げる。IP電話サービスに使われているプロトコルは,主なものだけでもMGCP(Media Gateway Control Protocol),H.323,SIP(Session Initiation Protocol)の3つがあり,H.323の中にもバージョン1〜3が存在する。ユーザー拡大のためには事業者間接続が欠かせないが,鈴木氏は「その前に,少なくとも通信事業者がプロトコル情報を開示する必要がある」と指摘する。 また総務省は,IP電話端末への着信を可能にするために「030」などで始まる15桁以内の番号を付与することを検討中だが,鈴木氏は「品質保証を条件に,1種通信事業者と2種通信事業者に同一の番号(形態)を与える見通し。5〜6月には決まるだろう」と語った。
キャリアサービス向けの機器も進化行政サイドが制度面での準備を進めるその一方で,機器ベンダーも関連機器の開発を積極的に進めている。焦点は,事業者間接続に必要なマルチプロトコルサポートだ。 例えば,沖電気は「IP.net JAPAN 2002」でキャリアサービス用のVoIPアダプタ「Voice Adapter 11」2機種を展示した。いずれも既に販売中のもので,それぞれMGCPとH.323 v2をサポート。センター側装置もMGCPとH.323に対応済みで,将来的にはSIPにも対応するとしている。
一方,日立通信システムブースには,そのSIPに対応したVoIPアダプタが参考出展されていた。同社は,SIPソフトウェアの開発に注力しており,このアダプタは,いわばその副産物。H.323 v2にも対応する。
「SIPは組み込み装置でもCPUの負荷が少ない。大規模なサービスであるほど,コストメリットに繋がるだろう」(日立通信システム)。
緊急電話番号に対応できるソフトスイッチネットワンシステムズが展示していたのは,CATV事業者向けのIP電話ソリューションだ。端末は,「DOCSIS 1.0+」に対応したシスコのケーブルボイスアダプタ「CVA 122」。DOCSIS 1.0+は,標準規格のDOCSIS 1.0にQoSサポートを加えたシスコの独自規格。既にDOCSIS 1.1製品も市場にあるが,「1.1は仕様が複雑でシステムの負荷も高い。評価はしているが,現状では1.0+が最適」(同社)という。
もう1つの注目製品が,ネットワンブースで参考出展されていたソフトウェアスイッチ「Syion426」だ。Syion426は,米国の通信ベンチャー,Syndeoが開発したしたもので,国内ではエスシー・コムテクスが取り扱う予定。MGCP,SIP,H.323のマルチプロトコル対応を実現できるのが特長で,さらに「米国では911(緊急電話番号)に対応している」。 IP電話に電話番号が付与されたとき,緊急電話番号の問題がクリアできれば,ユーザー側に固定電話を維持する理由はなくなる。逆にいえば,普及に向けた大きなセールスポイントにもなるだろう。 折しも,27日には一部新聞が「NTT東西地域会社とNTTコミュニケーションズが今秋にもIP電話に参入」と大々的に報道し,NTT側は少なくともこれを否定はしなかった。「IP電話元年」は,電話インフラの本格的移行の始まりを意味するのかもしれない。
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