IP電話向けの電話番号を設定へ〜総務省IP電話端末で加入者電話からの着信を受けるには,電話番号が必要だ。総務省は,「IPネットワーク技術に関する研究会報告書(案)」をWebサイトで公開し,意見を公募する。
総務省は,「IPネットワーク技術に関する研究会報告書(案)」をまとめ,その概要をWebサイトで公開した。1月9日より,報告書(案)に対する意見を公募し,今年2月を目処に最終報告を行う予定だ。 報告書案では,まずネットワーク形態や通話品質によって分類/評価する必要性を説いている。これは,一口にIP電話といっても,それぞれのサービスで方式や機能に差があるため。 例えばフュージョン・コミュニケーションズのサービスでは,中継網のみをIPネットワーク化し,端末には一般電話機を使う。同じく電話機を使う「BB Phone」では,電話機のそばに置いたアダプタでVoIP化し,着信側の最寄りゲートウェイまでをIPネットワークで賄う。 一方,「Messenger」のように,加入者電話との通話(PC to Phone)を可能にしたソフトウェアなども多く存在する。報告書(案)によると,国内においてIP電話サービスを提供している事業者は,381社(2001年3月時点)に上るという。 研究会では,公衆インターネットを介す「インターネット電話」と,独自IP網のみの「IP電話」を明確に区別し,ユーザーがサービスの品質を理解するためのクラス分けを提案。ITU-Tが検討中の「MOS値」(Mean Opinion Score,人の耳を使って品質を5段階評価する)など,複数の評価方法を挙げており,2002年度中をメドに品質評価方法の標準化を進める構えだ。
15桁以内の電話番号が付く?また,IP電話に電話番号を割り当てることも重要な課題だ。前述のように,現状のサービスではPC側から加入者電話への通話を提供するIP電話サービスがまだまだ多いが,問題になるのはIP電話機側で着信するケース。この場合は,“電話番号”をIP網上での実際のルーティングに必要な“IPアドレス”に変換する仕組みが必要となる。 1999年度に行われた「電気通信番号に関する研究会」では,加入者電話と同等の品質を持つサービスについてのみ「市外局番+市内局番+加入者番号」といった固定電話と同じ形の番号を付与するのが適当としていた。 だが,それ以外のサービスも多く登場しているため,今回の報告書案では,加入者網と接続するサービスはすべてE.164番号(ITU-T勧告のE.164で規定された15桁以内の電話番号)とする提案を行った。国番号を含むE.164番号であれば,国際電話の着信にも対応できる(ただし,PC同士や専用端末同士といった通話発着呼がIPネットワークに閉じている場合はアルファベットなどを用いてもよい)。 電話番号の付与については,IP電話を手掛ける事業者が多いため,事業者番号を4桁(現在は3桁)とし,個別のユーザーを表す部分を3桁(現在は4桁)にする案が有望。2002年前半にも電気通信番号規則を見直し,IP電話端末で着信するための電話番号を設定する方針だ。
110番ができない?電話番号をIPアドレスに変換する番号管理の部分で「重要な要素技術」とされているのが,「ENUM」(イーナム)だ。ENUMは,DNSを用いて電話番号とドメイン名を関連付ける技術。発信されたIP電話用の電話番号をURI(Uniform Resouce Identifier)に変換したあと,ENUM DNSに照会することで(IP電話用サーバの)IPアドレスとポート番号を得ることができる。これに従って目的のIP電話機までルーティングする仕組みだ。現在,ITUとIETFが検討を進めている。 ただし,既にENUM以外の技術を使って番号を管理しているIP電話サービスも存在しており,総務省では「各サービスの普及状況を踏まえつつ,国内における番号管理の方法を検討していく」方針。 また,E.164番号を前提とするENUMは,110番や119番といった緊急通報用の電話番号に対応していないといった課題もあり,まだまだ議論の余地はありそうだ。報告書案では「事業者等と連携・協力のもと,国が主導して研究開発を行うことが必要」と提言している。
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