米Centilliumが考える“次のADSLサービス”

イー・アクセスやNTT東西地域会社など,多くのADSLサービスに採用されている米CentilliumのADSLチップ。同社が目指すのは,ADSLの高付加価値化だ。もちろん,“スピードの向上”も忘れてはいない。

【国内記事】 2002年4月18日更新

 NTT東西地域会社やイー・アクセスなど,多くのADSL事業者が採用する米Centillium CommunicationsのADSLチップ。国内出荷シェアは8割に届くという同社が目指すのは,ADSLの高付加価値化だ。来日したCentilliumのCorporate Communication担当ディレクター,Laurie Falconer氏とProduct Marketing ManagerのRichard Lin氏に,その戦略を聞いた。


Laurie Falconer氏とRichard Lin氏。手に持っているのはPalladiaのサンプルボード

 チップの集積度が向上するのに伴い,ADSLモデムやルータに搭載される機能は増えていく。その最先端といえるのが,Centilliumが発表した「Palladia」ファミリーだ。Palladiaは,ADSLモデムチップにRISCのネットワークプロセッサを統合し,ルータなどの機能を実現する2チップ構成のチップセット。既に住友電工が同社のADSL製品「MegaBit Gear」シリーズに採用することを明らかにしている。


写真は「Palladia 100」。大きなチップがデジタル回路,小さなチップがアナログ回路を担当する。アナログチップには電話やラインドライバとのインタフェースが含まれる。

Palladiaのラインアップ
Palladia 100低価格ADSLルータ用チップ
Palladia 200Palladia 100の高速版
Palladia 300Palladia 200の機能にファイアウォールやIPsec専用アクセラレータなどを統合

 同社が基幹製品と位置付ける「Palladia 300」には,Annex A/B/C/HをフルサポートするADSLモデム,ルータ,ファイアウォール,そしてVPNに使われるIPSecの専用ハードウェアなどが盛り込まれた。「ファイアウォール機能は,単なるパケットフィルタリングではない。ステートフル・インスペクション対応だ」(Lin氏)。

 ステートフル・インスペクションは,通信中のパケットのヘッダを監視し,そのセッションが終わると該当するポートを閉じる。従来のNATは,時間によってポートの開閉を管理しており,セッションが終わってもポートが開けられたままになっているため,セキュリティ面で不利とされている。

 最近の高機能ルータでは,このステートフル・インスペクションが導入されるようになっているが,それをADSLモデムに標準搭載してしまおう,というのがPalladia 300だ。高価なルータを別途購入する必要がなくなるぶん,ユーザーには有り難い。もちろん,機器ベンダーによって製品価格は異なるが,Falconer氏によると「エンドユーザーは,同じ機能を持つ従来製品と比べ,30〜40%安い価格で機器を入手できるだろう」という。

 もう1つの目玉であるIPsecは,インターネットVPNで利用されるメジャーなセキュリティプロトコル。「クライアントソフトでIPsecを処理する従来のVPNは,回線速度の向上に伴ってボトルネックになっている。物理層では8Mbpsがフルに出ていても,ソフトウェア処理のオーバーヘッドにより,実効速度が4〜5Mbpsにまで落ち込む」(Lin氏)。

 Lin氏によると,Palladia 300のルーティング機能やIPsec処理が回線スピードを落とすことはないという。「Palladiaは,専用のセキュリティ・プロセッサを内蔵したことでワイヤースピードと同じ処理速度を実現している」(Lin氏)。

次は高速化?

 Falconer氏は,日本のADSLサービスが新しいフェーズに入ったと指摘する。「サービスの価格は下がった。次は,いかに付加価値を詰め込んでいくかが課題だ」。

 低価格化で本格的な普及期を迎えた国内のADSL市場にとって,サービスや機器の高付加価値化は,1つの回答だ。PalldiaでIPsecをサポートしたことで,企業の導入が進むインターネットVPNに対応し,モデムの多機能化はユーザーのセキュリティ確保とトータルコスト削減に繋がる。引いては,サービスそのものの信頼性向上に一役買うだろう。

 しかし,競合の米Globespanは,オーバーラップ技術により,「最大速度向上」「長距離化」という2つのアプローチでシェア拡大を狙っている(4月15日の記事を参照)。回線スピードの向上は,「低価格化」と並ぶ大きな魅力だ。

 もちろん,Centilliumも指をくわえて見ているわけではないようだ。Falconer氏は,「近い将来,期待に応えることができるだろう」と高速化の可能性を示唆した。

 「日本市場に投入する製品は,キャリアと話し合いながら開発中だ。ニーズは把握している」(Falconer氏)。

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▼ Centillium Communications

[芹澤隆徳,ITmedia]

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