ニュース 2002年5月20日 09:27 PM 更新

東芝、ホームサーバへの布石「TransCube 10」を発表

東芝は5月20日、ブロードバンドルータ、IEEE 802.11b準拠の無線LANアクセスポイント、HDDレコーダーなどを内蔵した“ホームゲートウェイ”「TransCube 10」を発表した

 HDDレコーダー搭載PCが流行したのは昨年。今年はこれに“ワイヤレス&ブロードバンド”の要素が取り込まれつつある。東芝が5月20日に発表した「TransCube 10」は、ノートPCと組み合わせることを前提としたホームゲートウェイだ。


省スペースデスクトップとオーディオの中間的といった外観。前面パネルの中には入力(2)端子や各種ボタンがある

 TransCube 10は、CPUにインテル製のx86チップを採用するなど、中身は完全にPCアーキテクチャ。しかし、OSは組み込みLinuxのため、Windowsアプリケーションを動かすことはできない。CD-ROMドライブなども搭載されず、代わりにハードウェアMPEG-2エンコーダによるHDDレコーダー機能、ブロードバンドルータ、IEEE 802.11b準拠の無線LANアクセスポイント機能などを備えた。ADSL回線などを複数のPCで共有するのはもちろん、無線LANを使い、場所を選ばずにTV放送や録画番組を視聴することが可能になる。

 HDDレコーダーは、録画中の番組を最初から再生する“追っかけ再生”やiEPG予約もサポート。iモード携帯電話からの予約も可能だ。録画した番組は、大画面TVに出力して視聴、ノートPCで視聴、あるいはノートPCにコピーして編集することができる。


背面に各種入出力ポートがある。「コストの都合で」(同社)D端子が付かなかったのは残念

 ただし、同時に出力できるのは1系統のみ、またTransCube本体やリモコンからでは、日時を指定する録画予約ができないといった制約がある。ノートPC側も、専用ソフトウェア「LIVE MEDIA for TransCube」を実行するため、Celeron/700MHz以上、メモリ128Mバイト以上、500Mバイト以上のHDD容量、Windows Me以上が必要だ。


大きめのボタンで操作しやすい付属リモコン


インタフェース。シーンの切り替えを判別し、サムネイルを自動作成する機能もある

IEEE 802.11aを採用しなかった理由

 80Gバイトの内蔵HDDには、2〜6Mbpsのビットレートで最大約72時間(2Mbps時)の番組を録画できる(可変ビットレートにも対応)。ただし、ワイヤレスでノートPCと接続する場合には、映像のビットレートを2Mbpsにダウンコンバートしてしまう。

 これは、IEEE 802.11bの実効レートで安定的に伝送するため。「スペックだけを見ればIEEE 802.11aのほうが良いと思われがちだが、伝送距離や対応PCの普及率を考えるとIEEE 802.11bのほうが適している」(同社)。

 事実、IEEE 802.11aは、距離や障害物による伝送スピードの低下がIEEE 802.11bよりも激しい。同社デジタルメディアネットワーク社ソフトウェア技師長の青山光伸氏によると、「見通し距離なら約14メートルで(.11aと.11bの)ビットレートのグラフは交差する。宅内の場合、1階と2階、あるいは離れた部屋で視聴することも考慮しなければならず、IEEE 802.11bの方が適していた」という。

無料セットアップ付き

 ルータ部には、専用のStrongARMチップを搭載した。NAT/IPマスカレードはもちろん、ポートフォワーディング、パケットフィルタリングといった機能を備えている。LAN側、WAN側ともに10/100BASE-TX自動認識のイーサネットポートを各1つずつ搭載。別途ハブなどを用意すれば、有線LANも構築できる。

 価格はオープンプライスだが、店頭では13万円前後で販売される見込みだ。なお、東芝はTransCube 10発売に合わせ、製品購入者を対象に無償で出張セットアップを行う「トランスキューブセットアップセンター」を開設している。

製品名TransCube 10
CPUx86系(クロック周波数非公開)
メモリ非公開
HDD80Gバイト
無線LANIEEE 802.11b準拠(64/128bit WEP対応)
TVチューナーUHF/VHF/CATV対応
MPEG2変換専用ハードウェアエンコーダ&デコーダ
ルータWAN側IPアドレス:PPPoE、DHCP、固定IPサポート
 アドレス変換:NAT/IPマスカレード、ポートフォワーディング対応
 フィルタリング機能:パケットフィルタリング、MACアドレスフィルタリング
本体サイズ104(幅)×319(奥行き)×219(高さ)ミリ
重量約3.1キロ
発売日5月23日
価格オープン(13万円前後)

ホームサーバは2004〜2005年に登場?

 東芝は、TransCube開発のために各事業部から技術者を集めた。それぞれの担当は、PC、ストレージ、映像、通信などさまざま。東芝PC事業部の山下文男事業部長によると、これは将来のホームサーバ製品開発に向けた布石という。

 「PC、AV、そして白物家電までを含めたホームネットワークを構築するには、CPU性能などまだまだ制約が多い。その前に、ノートPCの可能性を広げ、新しいライフスタイルを提案する製品を投入することで需要を掘り起こすのが目的だ」(山下氏)。

 東芝の考える、Bluetoothによる家電制御、あるいは複数台のPCに高画質の動画を同時配信する機能を実現するためには、まだまだパフォーマンスが足りない。「CPUを例に挙げれば、今の数百倍という処理能力が求められる。製品が登場するのは、2004〜2005年になるだろう」。その頃には、CPUのクロック周波数が現在の10倍程度になると想定しているという。

関連記事
▼ IEEE 802.11aでHDDレコーダーと連携〜富士通

[芹澤隆徳, ITmedia]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.



モバイルショップ

最新スペック搭載ゲームパソコン
高性能でゲームが快適なのは
ドスパラゲームパソコンガレリア!

最新CPU搭載パソコンはドスパラで!!
第3世代インテルCoreプロセッサー搭載PC ドスパラはスピード出荷でお届けします!!