ニュース 2002年5月22日 01:55 PM 更新

KDDI、MPEG-4のライブ伝送システムを展示

ビジネスショウ2002で、MPEG-4による映像配信のデモ展示を見かけた。ネットワークの状態に合わせて帯域を調整したり、映像伝送時のパケットロスなどを回復するのが特長だ

 KDDIは、21日から開催されている「ビジネスシヨウ 2002 TOKYO」で、ライブストリーミングシステム「QualityMeeting」のデモを行っている。



上写真はQualityMeeting専用ハードウェア「MTC-QM」(オープンプライス)。下写真のように、ソフトウェアをPCにインストールして利用することもできる

 QualityMeetingは、MPEG-4で双方向のライブ映像を配信するシステム。専用ハードウェアとPC用のソフトウェアが用意されており、動画を最高30fpsのフレームレートで配信できる。IPv6やマルチキャストにも対応しており、多地点への一斉配信も可能。このため、テレビ会議や遠隔セミナー、VoD(ビデオ・オン・デマンド)などに利用できる。

 価格は、PC用の送受信ソフトウェア「QualityMeeting Codec」が25万円、受信ソフトウェア「QualityMeeting受信ソフト」が1万円など。

 インターネット上での動画配信となると、配信時の障害も多い。このため、QualityMeetingでは「帯域適応レート制御方式」(BARC)と「伝送エラー回復方式」(AVEC)と称する2つの技術を用いて、配信状況の改善を図っている。

 BARCは、ネットワークの帯域が変動するのに応じて、配信時のエンコードレートも変動させる技術。RTP(Real-Time Transport Protocol)のセッション制御を行うプロトコル「RTCP(RTP Control Protocol)」により、ネットワークの状況を監視し、輻輳が発生しそうな場合に配信側でエンコードレートを下げる。「このとき、統計処理により輻輳を予測し、“未然に”防ぐことができるのが技術上のポイントだ」(説明員)。


会場で行われたデモ。ネットワークの帯域を意図的に下げた場合、左では配信側のエンコードレートが変わらないため画像が乱れているが、右ではエンコードレートも下がっているため、よりスムーズな画像が配信されている

 AVECは、伝送時に生じたパケットロスを擬似的に回復する機能。具体的には、動画伝送時の前後のフレームによる時間的予測、あるいは上下のブロックを用いた空間的な予測により、映像を補完する。


会場で行われたデモ。AVECが働いている場合、パケットロス(左画面で、黒い帯のようになってしまっている部分)が補完されている

 現状のマルチキャストにより映像を配信するシステム構成では、どこか1クライアントにつながるネットワークが輻輳した場合、BARC機能によって、より厳しい条件に合わせたビットレートを選択してしまうという難点もある。しかし説明員は「ゆくゆくはネットワーク上のエッジ側にゲートウェイを設けるなどして、この問題を制御していきたい」と話した。

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関連リンク
▼ KDDI
▼ KDDI研究所 マルチメディア通信グループ

[杉浦正武, ITmedia]

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