ニュース 2002年5月24日 01:38 AM 更新

みずほ銀行が話す「コンテンツファイナンスの課題」

アメリカでは40億円、日本では4億円。コンテンツ制作側が集められる資金は、日米で10倍の開きがあるといわれる。しかしみずほ銀行では、コンテンツメーカーへの融資に積極的な姿勢だ

 ブロードバンドコンテンツを制作する上で、国内では米国などと比べ資金集めが難しいという指摘がある(記事参照)。しかし、みずほ銀行はコンテンツメーカーへの融資に継続的に取り組んでいる。同行ビジネスソリューション部の半田邦雄氏は24日、都内で開かれたフォーラムで、取り組んでいるコンテンツプロバイダーへの投融資、いわゆる「コンテンツファイナンス」の手法を紹介した。


みずほ銀行ビジネスソリューション部の企業成長アドバイザリーチーム、半田邦雄氏(24日の「デジタルコンテンツ産業研究会」にて)

 みずほ銀行はこれまで、米AtomShockwaveの日本法人設立時に戦略的パートナーとして資本参画したり、テレビ東京系のアニメ専門CS企業「AT-X」設立に資本参加するなど、コンテンツマーケットに積極的に取り組んでいるという。

 既にコンテンツメーカーを対象としたいくつかの金融商品も開発しており、IT系企業などに融資を行っている。その1つが「成功報酬型著作権担保ローン」というもの。これは資金もなく、担保提供できるような資産がない企業に対し、過去に制作したコンテンツ自体を資産として評価・銀行が担保にとるというスキームの商品だ。

 「たとえば『風の谷のナウシカ』というアニメなら、何回も再放送されていて、その都度お金を生み出している。このように、コンテンツは期間ごとに価値が波のように復元すると考えて、何作品かをまとめて担保にとって融資する」。

 これによって新作を制作してもらい、成功状況に応じて金利が変動する仕組み。より成功した場合は銀行側も高金利を回収でき、失敗が続けば低い金利しかもらえないわけだ。

情報の開示が必要

 半田氏はコンテンツファイナンスは、通常の融資より難しいケースが多いと話す。

 「一番悩ましいのは、制作業務と経営マネジメントを兼務の体制で行っている企業が多いこと。専門の制作経理部門などを持たないため、作品ごとの損益・資金管理が不明確になってしまっている」(同)。

 このため、コンテンツ制作に関わる「契約書」「発注書」などが用意されていなかったり、コンテンツの興行状況について実績を開示してもらえなかったりと、情報の透明性が確保されていない場合があるようだ。

 「また、お金の流れが見えにくいのも難点。コンテンツの制作費などは、撮影時に雨が降ってロケ期間が長引くなどして、予想外の出費がかさむことがある」。さらに売上の回収なども予測しづらく、しばしば金融機関として、融資の判断がつきかねるという。

 半田氏は、状況が改善されつつあるとしたものの、「ハリウッドなどではコンテンツ関連の契約書は非常に分厚く、読む気になれないほどだ」ともコメント。関連書類を整備するとともに、第3者を活用して客観的な予算管理・出資者に対するレポーティングが重要だとした。

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[杉浦正武, ITmedia]

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