ニュース 2002年5月31日 09:02 PM 更新

“コンセプト”から“基盤整備”へと移るインターネットITS

インターネットITS共同研究グループがフィールド実験の成果発表会を催した。インターネットITSのコンセプトを明確化し、共通基盤となる仕様の素案を策定したという

 慶応義塾大学SFC研究所、トヨタ自動車、デンソー、NECから構成されるインターネットITS共同研究グループは5月31日、2001年4月から実施してきた技術開発と実証実験(2月の記事を参照)の成果を発表した。代表を務める慶応大学の村井純教授は、「実証実験を通じて、インターネットITSのコンセプトを明確化し、共通基盤となる仕様の素案を策定した」としている。


慶応義塾大学SFC研究所の村井純教授

 インターネットITS(Intelligent Transport System:高度道路交通システム)は、自動車の情報システムをインターネットに接続し、情報の共有を可能にするというもの。経路情報やガソリンスタンドでの電子決済といった一般ドライバー向けのサービスに加え、自動車に搭載された各種のセンサーから情報を収集し、全く別のサービスに活かす試みも行われている。

 例えば、名古屋のフィールド実験では、市内を走るタクシーのワイパー動作状況を収集して降雨情報に用いる実験が話題を集めた。村井氏は、「気象庁のレーダーなどでは観測できない低い位置にある雨雲や、雨量計で検知できない0.5ミリ以下の降雨まで観測することができた」と評価している。

 気象関係者の関心も高く、今後は路面温度を観測して凍結情報を提供するなどの新たなサービスも期待できる。ただ、名古屋市中心部と郊外で実験車の分布状況に差が生じたため、「タクシー走行量の少ない郊外部では、5分毎に情報を収集できた地域の割合は30%程度にとどまった」(村井氏)。

 一方、東京都内で実施された実験では、ガソリンスタンドの協力によるカーケア情報のプッシュ配信、駐車場のキャッシュレス決済などが行われたほか、「高機能実験車」と呼ばれる実験車両が制作されている。


IPv6ネットワーク搭載の高機能実験車

 高機能実験車は、Mobile IPv6による車内ネットワークを構築し、トランスレータを介してIPv4ネットワークにトネリング。外部との通信は、PHSやIEEE 802.11b無線LANなど複数のメディアを使ってシームレスな接続環境を実現するなど、積極的な技術開発が行われている。

 ただし、こちらは技術的課題としてレスポンスの遅さが挙げられた。実験では、高機能実験車の各センサーが送り出す情報を「車両データ辞書」として保持し、SNMPを使って動的に取得する方法を実用化したが、このプロセスに約15秒の遅れがみられたという。

 また、車載機にコンテンツをプッシュ配信する実験でも反応速度が課題となった。車載機が自動車の位置情報を送信してから画面の表示まで、平均で40秒を要した。これは、自動車が時速40キロで走行していた場合で約450メートル進んでしまう時間だ。つまり、近隣の飲食店情報が表示される前に通り過ぎてしまう可能性もある。

実用化はまだ先?

 インターネットITS共同研究グループでは、実験システムの構築と並行して車載機器をインターネットに接続する方法やアプリケーション実行環境などを評価し、「基盤仕様書」(素案)として取りまとめた。また、インターネットITSを利用した53ものアプリケーションを提案し、利用者や提供者といった視点で8分野に分類している(資料は、6月1日からWebサイトで公開される)。

 しかし、インターネットITSの実用化には、まだ時間が必要だ。成果発表会に同席したトヨタ自動車ITS企画部企画渉外室長の秋山由和氏は、「現状は、これまでのアイデアを実現し、その機能を確認した段階。性能面等の検証はこれからであり、製品化の具体的なスケジュールなどは立っていない」と話している。

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[芹澤隆徳, ITmedia]

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