ニュース 2002年6月10日 11:12 PM 更新

BBit Japanの電力10社、全国連携システムの実証実験へ

コンテンツ配信ビジネスを検討するため、電力会社が結束した「BBit Japan研究会」。設立当初の予定では今年3月に解散する予定だったが、期間を延長したうえ、8月を目処に全国規模のネットワーク連携実験を行う見通しだ

 電力会社10社がFTTHのコンテンツ流通を検討するために設立したBBit Japan研究会は、今夏より全国規模のコンテンツディストリビューション実験を行う。これは、先週行われた「Streaming Media Japan 2002」の特別講演の中で関西電力グループ経営推進室統括グループ兼ITソリューションサービスグループの有吉猛課長が明らかにしたもの。BBit Japanの事業会社化も視野に入れ、コストの算出と技術的課題の洗い出しを行う。


関西電力グループ経営推進室統括グループ兼ITソリューションサービスグループの有吉猛課長

 BBit Japanは、2001年3月に電力会社10社(北海道電力、東北電力、東京電力、中部電力、北陸電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力、沖縄電力 )が結成したコンテンツビジネスの研究会。コンテンツの調達から制作、配信までの作業を一元化し、規模のメリットを活かす方法を探るのが目的だ。各電力会社の代表者が3つの部会に分かれ、既に8回の会合を重ねて検討を行っているという。

 有吉氏は、BBit Japan発足の理由を「各社がそれぞれに展開しても、ビジネスとして成り立たせるのは難しい」と説明する。今年3月からFTTHのホールセールを開始した東電、通信子会社のケイ・オプティコムを通じてFTTHサービスを提供している関西電力など、電力各社はそれぞれにインフラを整えつつある。しかし、その上で提供するコンテンツ事業となると「電力会社はノウハウを持っておらず、そのうえ、未だコンテンツ流通市場そのものの規模が小さい」(有吉氏)。

 BBit Japanの役割は、10社を代表する形でコンテンツホルダーとのインタフェースとなり、全国規模で配信を行う仕組みを作ること。いわば、電力系ISP専門のコンテンツディストリビューターだ。


BBit Japanの事業イメージ。コンテンツの収集および制作、各企業への配信までを担う

 これまで、パワードコムの活用によるネットワーク間の連携、配信技術仕様の共通化による効率化、そして地域から全国に対するコンテンツ発信も含むコンテンツ流通の促進検討してきたという。「各地域の独自性を維持しつつ、全国レベルのサービスを展開する。課題は、各社のネットワークをどのように接続するかだ」(有吉氏)。

 この課題をクリアするため、本来は3月に解散するはずだったBBit Japanは9月まで期限を延長。また、8月を目処に全国に散らばる電力10社のネットワークを連携させる実証実験を行う。

コストが知りたい

 10社のネットワークを接続するためには、いくつかの選択肢がある。電力会社の共同出資で設立されたパワードコムのIPネットワークを使う、独自のインフラを構築するなど。「ポイントはできるだけ早くビジネス化できること。より簡単に言えば、コストが知りたいということだ」(同氏)

 もちろん、実験が行われることになれば、BBit Japan研究会は、さらなる期間延長も考慮しなければならない。有吉氏によると、「期間の延長だけではなく、BBit Japanの事業会社化も検討している」という。

 実証実験の検証項目は、下記の5点。

  • インターネットもしくはパワードコムを経由したネットワーク連携の技術的検証

  • 既存システムを最大限に活かすためのSI選定とコストの検討

  • BBitの独自サイト構築を検討

  • コンテンツホルダーとの契約窓口の一元化

  • 事業化する場合のサービス内容を検討


全国連携システムのイメージ(案)。クリックで拡大

 しかし、事業会社化は別の問題を孕んでいる。電力系ISPのために設立されたBBit Japanが、オープンなコンテンツディストリビュータとして事業展開を行うのは難しい。しかし、独立した企業が特定の顧客のみを扱うことは、自らビジネスエリアを狭めることにつながってしまう。たとえ広範囲の事業展開を認められたとしても、同様のビジネスモデルを持つ競合企業が多数存在する。

 有吉氏は、これらのデメリットを挙げたうえで、「(BBit Japanの)明確なゴールは決めていない」と話している。当面は、実証実験を通じた技術的課題の洗い出しと平行して、事業性の検討が必要という構えだ。

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▼ BBit Japan

[芹澤隆徳, ITmedia]

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