ニュース 2002年8月20日 10:25 PM 更新

「TTC標準には致命的な欠陥がある」──BBTが動議を提出

Yahoo!BBを運営するBBTが、TTCのDSLスペクトル管理標準を廃止するよう動議を提出。同社の孫正義社長は記者会見を開き、「ありえない条件に基づいており、われわれはむしろ被害者だ」と主張した

 ADSLサービス「Yahoo!BB」のインフラを担当しているビー・ビー・テクノロジー(BBT)は8月20日、都内で記者説明会を開き、社団法人情報通信技術委員会(TTC)に対して、TTC標準「JJ-100.01」の廃止や委員の公正な人選を求める動議を提出したことを明らかにした。またイー・アクセスに対し「営業妨害を受けた」として訴訟準備を進めていることも明らかにした(関連記事を参照)。


「国際標準に基づくAnnex A.exがなぜ標準外なのか」と批判する孫社長

「TTC標準には致命的な欠陥」──BBT

 孫社長名の動議は8月19日付けで、TTC内でDSL関連の標準化を検討する第4部門委員会第6専門委員会サブワーキンググループ5(4-6-5委員会)宛てに提出された。内容は、

  • (1)DSLの分類についてイーアクセスが提出した「標準システム、標準外システムの分類及び再定義に関する新提案」では、Yahoo!BBが採用しているAnnex A.exを「標準システム」となる第1システムから外している。ところが定義の明確な基準が示されておらず、不正確だ。ITU-Tが定めた国際標準に従っているAnnex A.exを第1システムとする分類表を提案する。

  • (2)DSLシステムのスペクトル管理について定めたTTC標準「JJ-100.01」を廃止改定すべきだ。同標準は日本独自とも言えるISDNを基準としており、国際標準からかけ離れている。また国際標準に適合し、NTTからも接続許可を受けているAnnex A.exが同標準から排除されるなど、定義が不明確で欠陥がある。

  • (3)4-6-5委員会に中立な立場で議論できる学識経験者の選任を求める。対立する議論を審議しているにも関わらず、中立かつ公正な議論が確保されているとは言い難い。

 動議に添え、東京工業大情報理工学研究科の太田昌孝講師と、牧野二郎弁護士による意見書もそれぞれ提出された。

 太田講師はJJ-100.01について、(1)規格の参照方法に歪曲があり、本来はAnnex A.exは第1グループに分類されるべき、(2)日本の線路環境について考慮が欠けている、(3)伝送性能基準値の決め方が恣意的・排他的であり、新方式の導入を排除している──などと批判した。

 その上で、「(同標準には)致命的な欠陥があり、結果としての伝送性能基準値にほとんど意味がない。改正案もこの欠陥を認識していないため意味がない。このような標準は即刻廃止して新標準を策定し直すべき」と厳しく批判している。太田講師は、以前に日本学術振興会インターネット技術研究委員会でADSL研究会を主宰していた。

 牧野弁護士は、4-6-5委員会の中立性について疑問を提起。「対立関係にある一方の当事者であるイー・アクセスの役員が委員長を務める異様な形態」「対立企業を排斥するための標準化をしているようなもの」と指摘。委員長には「中立公正な人物」を選任すべきとしている。

“標準外”は接続拒否に

 JJ-100.01は2001年11月に制定されたスペクトル管理の標準。だがその後ADSLにはさまざまな拡張規格が登場しており、これを見直して新たに分類を決めよう──とイー・アクセスは今年7月30日の委員会で新分類案を提案、議論された。

 この分類は単なる区分以上の意味を持つ。同標準に照らし、他規格に対し干渉が標準以上に大きい規格は“標準外規格”に分類される。そして標準外規格に基づくシステムをNTT東西地域会社は接続拒否できるとする接続約款の改定も視野に入っている。現状の分類を放置すれば、最悪の場合、NTT東西地域会社がBBTの接続を拒否し、Yahoo!BBのサービスは停止せざるえなくなるというケースも起こりえるのだ。

 BBT側の主張としては、2000年11月と2001年7月にAnnex Aのスペクトルマスクを示してNTTから接続許可を受けており、またAnnex A.exはAnnex Aに含まれたサブセットだという認識。以前から接続許可を受けていた規格にもかかわらず、12Mbpsサービスが始まった途端に“標準外”とされ、最悪の場合は接続拒否されるという事態に我慢がならないというわけだ。

「我々はむしろ被害者だ」

 記者説明会でBBTの孫正義社長は、TTC標準と新分類案を強く批判。「ありえない条件に基づいたシミュレーションで『干渉が大きい』と結論している。風邪薬だって100人分を一気に飲んだら問題が出るだろう」(孫社長)。

 BBTによると、TTCスペクトラム管理委員会のシミュレーションでは、Annex C拡張規格がAnnex A.exの0.4ミリ紙巻きケーブル24本に取り囲まれた場合を想定している。BBTは逆に、Annex AがAnnex C FBMの24本に取り囲まれた場合のシミュレーション結果を示した。

 それによると、Annex A.exに囲まれたAnnex C.exは2キロまで上り速度に変化がないのに対し、逆の場合はAnnex Aが1.5キロから上り速度が低下し、2キロでは19%のスピードダウンになるという。孫社長は「ありえない条件のシミュレーション結果ではあるが、これを適用するならばBBTはむしろ被害者だ」と述べた。

 イー・アクセスへの訴訟準備については、「Annex Aが2キロ以上ではスピードダウンするなどというデータがいつまでもWebに掲載されているのは迷惑だ。さらにイー・アクセスはTTCを使ってNTTにBBTを接続拒否させようとしている。営業妨害も2回目となると怒り心頭に発した」と語った。

「計算は間違っていない」――イー・アクセス

 イー・アクセスはBBT側の主張に対し「訴訟云々については正式に何も聞いていないのでコメントできない」とし、またAnnex Aが2キロ超で著しくスピードが落ちるとするデータについては「どのグラフを指しているのか分からない」としながら、「仮に2001年11月に発表したプレスリリース同12月に発表したフィールドデータのプレスリリースについてだとしても、これは計算値であり、間違った計算に基づいてはいない」と主張。また「こうしたデータは1社で得られるものではなく、機器メーカーなども協力した。データに恣意性はない」とした。

 TTCの分類問題については「イー・アクセス1社で決められるものではなく、参加企業で話し合ったというのが実情。イー・アクセスがAnnex A.exを標準システムから外してくれとオファーしたことはない」と話している。

 TTCはBBTの動議について「今後日程を調整して具体的な議論を行う。話し合う場が専門委員会になるのかサブワーキンググループになるのかは決まっていない」としている。



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関連リンク
▼ ビー・ビー・テクノロジー
▼ イー・アクセス

[小林伸也, ITmedia]

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