ニュース 2002年8月26日 09:48 PM 更新

広げた風呂敷から出てきたのは?〜鷹山

TTNetからPHS事業を買い取ったことで一躍注目を浴びた鷹山が事業説明会を催し、新サービスの概要を明らかにした

 TTNetからPHS事業を買い取ったことで一躍注目を浴びた鷹山が事業説明会を催し、新サービスの概要を明らかにした。通信オペレータへの参入を発表したときはビジョン先行の感があった同社だが、広げた風呂敷の中から出てきたのは、採算性重視の現実的なサービスだった。


鷹山の高取直社長

 同社はまず、PHSのデータ転送速度を他社と同じ64Kbpsに引き上げる。その後、段階的にPHSのバックボーンを光化し、PIAFSの上でIP電話サービスを提供する方針だ。同社はこれを「キャリングIPフォンサービス」と呼んでいるが、具体的な提供時期は明らかにされていない。

 一方、PHS基地局の数は大幅に削減されることが明らかになった。現在のPHS基地局は20ミリワット出力だが、これを400ミリワットの高出力タイプに変更し、数を約半数に減らす。伝達距離は長くなるため、通話エリアの維持は可能だ。ただし、収容できるユーザー数(この場合は同時に通話できるユーザー数)は減る。

 「トラフィックの多い地域には相応の数を維持するが、現在10万局ある基地局を(高出力化により)5〜6万局まで削減できるだろう」(高取氏)。

開始時期サービス内容
2002年秋〜1都8県でPHSを64Kbps化
定額PHSサービスのキャンペーン開始
VoIPアダプタ「WebDistributor」販売開始
国際IP電話サービス開始
無線LANサービス「Bit Stand」実験開始
2003年度東京23区内でBit Standのエリア拡大


サービスイメージ図

無線LANは「半歩遅れでもいい」

 9月29日から3カ月間の予定でフィールド実験を行う無線LANサービス「Bit Stand」は、PHSのオプションという位置付けになる。これは「単独のサービスとしては事業になりえないため」(高取氏)。将来的には単独メニューを検討する可能性もあるというが、当面は同社のPHSユーザー限定のサービスとなる。


Bit Standで無線LANに接続するときは、ページャを使う。Webベースの認証画面でユーザー名、パスワード、そしてページャの画面に表示されるワンタイムパスワード「Bit Key」を入力

 Bit Standでは、東電の光ファイバー網と接続するIEEE 802.11b準拠の無線LAN機器を使い、最大2Mbpsのデータ通信を可能にする。基地局が接続要求を検知すると、ページャ網を通じて「Bit Key」と呼ばれるワンタイムパスワードを発行。これをWebベースの認証画面で入力すると、インターネットにアクセスできる仕組みだ。


アイコムの無線LAN基地局。IEEE 802.11b準拠だが、通信速度は最大2Mbpsに制限される

 基地局は、駅周辺や人通りの多い動線部分に設置する。具体的なエリアや基地局の数はフィールド実験の結果などをみて判断されるが、最大でも4000程度に絞られる見込み。もちろん、それでも既存のホットスポット事業者を遥かに上回る数だが、高取社長には、アグレッシブに動く意志はないようだ。

 「われわれは設置場所は確保している。他事業者の動きをみながら、半歩遅れで進んでもいい」(同氏)。

宅内はIP電話

 鷹山がADSLモデムのブランドとして使っていた「Web Distributor」は、IP電話の単体ゲートウェイに変わった。これは、アイピートークからOEM供給されるもので、IP電話サービス自体も「IP Talkインターネット電話サービス」(IP Talk)を採用した。こちらは、2002年第3四半期に発売の予定だ。


VoIPゲートウェイ。背面のイーサネットポートにADSLモデムなどを接続する

 IP Talkは、最初のダイヤル時に端末が通話先の環境を自動認識し、相手がIP Talk加入者の場合には、次回通話からインターネット経由の無料通話となるサービス。Yahoo! BBの「BBフォン」などと同様、着信には加入者電話を使うスタイルだ。

 また、IP TalkはNAT環境下でも利用できる点も特徴だ。「NAT環境では、音声をカプセル化してHTTPの80番ポートで伝送する」(鷹山)。音声コーデックはG.729で、オーバーヘッドを含めても16Kbps程度で済むという。

「80メートル間隔」はどこにいった?

 PHSとページャ、そして無線LANを組み合わせた統合通信サービスを提供するとして注目を浴びた鷹山(4月2日の記事を参照)。「ワンプライスのキャリングIPフォンサービス」という目標はそのままだが、各無線インフラを統合するとされた端末「マジックメール・ユニット」の姿はなく、多機能端末になるはずだったWeb Distributorは単機能になり、なによりも「PHS基地局を利用し、80メートル間隔で無線LAN基地局を設置する」という話は霧散してしまった。採算重視に路線変更した点は評価できるものの、サービス全体がトーンダウンした印象は拭えない。



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[芹澤隆徳, ITmedia]

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