ニュース 2002年9月2日 06:59 PM 更新

被災地に無線LANを 〜練馬区と都、合同訓練

もし、震災などで一部地域の社会インフラが壊滅したら、被災者はどうやって外部の情報にアクセスするか? その答えは、“無線LAN”かもしれない

 「防災の日」である9月1日、練馬区と東京都が合同防災訓練を実施した。危機管理情報の収集、オンライン配信を行うレスキューナウ・ドット・ネットも訓練に参加し、無線LANによる緊急ネットワーク構築の実験を行った。行政と民間が協力して、ITを駆使した防災訓練を本格的に行ったのは、これが始めて。

 レスキューナウ・ドット・ネットは、2000年に設立された社員20名足らずのベンチャー企業。現在、犯罪関連ニュースや災害状況速報といった情報をカスタマイズして、携帯電話に配信するサービス「マイレスキュー」(記事参照)を提供している。同サービスはローソンなどに採用され、社員向けに配信されている。

“通信衛星とP2P”で情報インフラ構築

 実証実験では、都立石神井高校が“通信手段が遮断された避難地”として設定された。地上の有線ネットワークが頼れない状況で、無線LANによるネットワークを構築してインターネット接続し、外部の情報にアクセスするという内容。

 まず、通信衛星を捕捉するアンテナを中継車で搬送し、校庭に設置する。また校内に、スカイリー・ネットワークスが開発したP2Pソフトウェア「DECENTRA」(記事参照)をインストールしたノートPCを3台持ち込み、互いにP2Pプロトコルで通信を行った。インターネットとの出入り口には通信衛星を利用し、IEEE 802.11b準拠の無線通信をリレーすることで、LANを構築したわけだ。

 この日は3台の端末同士で通信を行ったが、端末の台数が増えた場合も対応可能。理論上は、半径1キロ以内、最大5〜7ホップ先の端末と通信できるという。


グラウンドに設置されたアンテナ。通信衛星には、衛星ネットワークのものが利用された

ノートPC同士は、100メートル離れた状態でも通信可能だった

 レスキューナウ・ドット・ネットは災害時に、危機管理情報センターを設置し、被害状況速報や災害対策計画を伝達するサイトを構築できる体制を整えている。避難所と全国の市民、法人を結び付けるために、救援要望品のマッチングや、災害ボランティアDBを整備するなどの取り組みを行っている。

 訓練ではほかに、ヘリコプターやバイク便によって仮想被災地を撮影し、画像をWeb上に掲載するといった試みも行われた。レスキューナウ・ドット・ネットは、これら情報の収集、配信役も担当した。


訓練には、アルファー・アビエィションのヘリコプターも登場。現地の様子を空撮した

石原慎太郎都知事も参加(写真は「練馬区・東京都合同防災訓練」のサイトより抜粋)

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関連リンク
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[杉浦正武, ITmedia]

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