スカイリー,梅田社長に聞く「P2P端末の技術上のポイント」
スカイリー・ネットワークスが,ワイヤレスなP2P通信を可能にする小型端末を開発している。これは,同社が昨年11月から販売しているP2Pソフト「DECENTRA」をインストールしたデバイス。技術面でのポイントについて,社長の梅田英和氏に聞いた。
スカイリー・ネットワークスの梅田社長。4月11日の「P2P Conference in JAPAN 2002」では講演も予定されている。「携帯電話でもP2Pを,という発想が開発の原点」 ZDNet:まず,DECENTRAの詳細を教えて下さい。 梅田:DECENTRAとは,周囲の対応デバイスやホットスポット(アクセスポイント)を中継局として,データを順次ホップさせるソフトウェアです。IP層と同じレイヤーにDECENTRA独自のプロトコルを定義しているため,IPパケットを“DECENTRAパケット”でくるんで,対応端末同士で通信することが可能です。 ホットスポットにスカイリーの管理する機器を組み込めば,そこでデータをIPパケットに変換することもできます。 ZDNet:P2P通信を行う際の,技術上のポイントはどこでしょうか。 梅田:P2Pの仕組みについては,基本的に有線ネットワークでのGnutellaと同じです。ただし,ワイヤレスなP2P通信では,端末が移動するためネットワーク構成が頻繁に変わってしまいます。このため,いちいちネットワークの経路情報を覚えさせていくと,端末側の負荷が膨大になってしまうという難点があるわけです。 DECENTRAでは,最初にブロードキャストを行ってネットワーク概要を把握した後,そのキャッシュデータを利用して最新のネットワークを効率的に再構成します。この更新についても,随時行うのでなく一定の間隔を開けることで,扱う情報量を減らしています。 また,全ネットワークを把握せず,一定のホップ数を越えた先のネットワークについては無視するという方法をとります。このように,ネットワークを把握する範囲をどれくらい広くとるか,更新頻度をどれくらいにするかといったノウハウがポイントになります。 ZDNet:ワイヤレスな通信というと,セキュリティ面も気になりますが。 梅田:DECENTRAでは,独自プロトコルで通信を行うとはいえ,特にセキュリティは施していません。このため,端末間でデータ中継する間にパケットを傍受,閲覧することもできるでしょう。 ただ,そもそもP2P通信のメリットは,無料であることです。ネットワークのセキュリティ対策に手間をかけるようでは,ソフトウェアが大容量になるきらいがありますし,コスト増大にもつながります。これでは,P2P本来の利点が消えてしまうでしょう。セキュアな通信が必要なら,その時だけホットスポットなどから,特定の通信網を経由するようにすればいいのではないでしょうか。 ZDNet:最後に,御社がDECENTRAで目指しているところを教えてください。 梅田:実は,私がDECENTRAで試みていることは,それほど不自然ではないと思っているんです。 たとえば携帯電話では,目の前に相手がいるのにゲートウェイサーバを中継してデータを送受信するという,非常にまわりくどいやり方になります。それよりも,Bluetoothや無線LANにより,端末同士で通信できたほうが合理的です。 また,各地にホットスポットが,私の期待を上回る勢いで増えていることも追い風だと考えています。Bluetooth対応携帯電話が増えなかったのは誤算でしたが……。この流れに乗れば,パケットが一部キャリアに集中する今の移動体通信でなく,ホットスポット経由のネットワーク構成が成り立つはずです。 (文中敬称略)
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