ニュース 2002年9月12日 10:32 PM 更新

オンデマンドビデオ配信時代の到来を感じさせるトレソーラ

1980-1990年代に放送されたTV番組をオンデマンド配信する「Chance!@トレソーラ」。コンテンツの量、月額1000円という料金設定など、従来の限定的な試験サービスとは一線を画す試みだ。早速、ADSL環境で利用してみた

 民放3社が共同でオンデマンドビデオ配信を行う期間限定のイベント「Chance!@トレソーラ」。試験サービス的な意味合いが強いが、豊富なTVコンテンツを、これまでにないリーズナブルな料金で提供している。オンデマンドビデオ配信の将来性を占う意味でも注目したいサービスだ。


言わずと知れた「世界の車窓から」(C)テレビ朝日/テレコムスタッフ

 Chance!@トレソーラは、東京放送、フジテレビジョン、全国朝日放送の民放キー局3社が中心になって設立したトレソーラが提供する有償のオンデマンドビデオ配信サービス(8月30日の記事を参照)。同社自体が実証実験のために設立された会社ともいえる。

 3カ月間という期間限定のサービスながら、そのコンテンツは豊富だ。提供元が民放キー局ということもあり、各局で放送された過去の映画、ドラマ、アニメーション、バラエティ、ドキュメンタリーと幅広くそろえている。この点も、従来の限定的なオンデマンドビデオ配信の試験サービスとは一線を画す。

 コンテンツは、かつて日本のお茶の間を席巻した「オレたちひょうきん族」や「欽ちゃんのどこまでやるの!」「カノッサの屈辱」といったバラエティ、初期のアニメーションの名作「科学忍者隊ガッチャマン」、人気を博したドラマ「ケイゾク」「高校教師」「トリック」など……ちょっと名前を挙げただけでも、その豊富さが分かる。これ以外にも、ビデオやDVDでは入手のできない報道ドキュメントの傑作選など、今は「トレソーラ」でしか観ることのできないコンテンツも多い(詳細は8月30日の記事を参照)。


フジテレビで1997-1999年に放映されたショートフィルム「shortbreak」。クオリティにこだわり、1Mbpsで配信中。(C)フジテレビ/パルコ

有料だからこそ意味をもつ実証実験

 これまでも、インターネットを利用したオンデマンドやライブビデオ配信は盛んに行われてきた。有料サービスも無かったわけではないが、どちらかといえば試験サービスの意味合いが強く、その多くは無料サービスだった。プロモーションの一環であったり、ブロードバンドコンテンツをより多くの人に体験してもらい「有償サービスに向けて需要を喚起したい」といった目的もあっただろう。

 しかし、こういった無料サービスは失敗に終わることも多かった。無料ゆえに興味半分のユーザーが大量にアクセスし、サーバの負荷が大きくなってビデオ配信自体がまともに行われなかったことも少なくない。配信側が需要を正確に把握できていなかったという要因もあるが、そもそも無料サービスでは割けるコストにも限界がある。メジャーイベントのビデオ配信で大成功を収めたといえば、浜崎あゆみのコンサート中継くらいだろうか?

 その点、今回のように試験的でありながら有料サービスを行うことは大いに意義がある。特にトレソーラが設定した1000円/月(ベーシックパック)という料金は、決して安くはないが、豊富なコンテンツを考慮すれば割高感は感じない。つまり、興味を持ったユーザーなら気負いなく楽しめる料金で、逆に興味だけのユーザーは利用しない料金設定ともいえる。

トレソーラの料金がユーザーとコンテンツ配信側の両方にとって適切かどうか、まだ結論は出せない。しかし、これによって従来の試験サービスよりずっと現実的な、本格サービスに向けた需要予測が可能になり、安定したサービス提供のために必要なコスト試算もできるだろう。

お約束のトラブルはあったが……

 サービス開始直後から、トレソーラを利用している。幸い、提携プロパイダ(トレソーラの料金は提携プロパイダを経由して支払う)に加入していたため、手続きは簡単に行えた。筆者のインターネット接続環境は実測で下り4Mbps程度のADSLだ。


トレソーラの商品購入フロー。ISP経由でIDとパスワードを取得する

 しかし、お約束のトラブルが発生した。アクセス集中でサーバの負荷が大きくなり、サービスをまともに利用できない状態が、開始直後から3日間も続いたのだ。しかし、さすがに有料サービス。この初期トラブル以降は障害らしい障害は発生していない。

 ビデオ配信には、Windows Mediaが利用されており、ビットレートは500Kbps程度。つまり、コンスタントに下り速度が500Kbps以上を維持できるインターネット接続環境が必要だ。ADSLが主流の現在は、必ずしも500Kbpsの受信速度が確保できている人ばかりではないだろうが、ハードルとしては決して高くない。また500Kbps程度なら無線LAN環境でも十分に利用できる。


ユーザーインタフェース。コンテンツを「お気に入り登録」することもできる

 利用環境は、Windows 98以降のWindows、「Internet Explorer 5.5」SP2以降、「Windows Media Player 7.1」以降と「Flash Player 6」が必要になるが、Windowsユーザーであれば特別な環境ではない。認証などに利用されるプラグインは、初回利用時に自動的にインストールされる。

 気になる画質は、「VHSの3倍記録程度」といった印象だ。テレビ放送やDVDビデオなどと比較できるレベルではないが、一般的なPC用のディスプレイサイズ(15型〜17型)であれば、フルスクリーンにしても、それほど不満は感じない。動きはスムーズであり、ブロックノイズなどもほとんどみられない。

 再生開始時には、数十秒の待ち時間(バッファリング)が発生するが、スライドバーで再生位置も移動できるなど、まさにオンデマンドだ(やはりバッファリングは発生するが)。コンテンツには10〜15分単位で分割されているものもあるが、これも数十秒程度の待ち時間で続きが再生される。ちょっと動作が緩慢なビデオデッキを使っている、そんな感覚だ。

 試しに、いくつかのホットスポット(Yahoo! BBモバイル、Hotspot)でも利用してみたが、概ね快適に楽しめた。ちょっとした空き時間にホットスポットに移動して、懐かしのバラエティ番組が時間を潰すといった使い方もできるだろう。雑誌数冊分の月額料金だと思えば、こんな楽しみ方も悪くない。

 トレソーラは、これまでのオンデマンドビデオ配信サービスに比較するとより多くの人が楽しめるコンテンツをそろえ、サービス品質も“まずまず”といえる。残るサービス期間は2カ月強だが、その後の本格サービスにも大いに期待したい。



関連リンク
▼ 「Chance!@トレソーラ」

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[坪山博貴, ITmedia]

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