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2002年10月2日 09:00 PM 更新
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CEATEC JAPAN 2002
三菱電機の考える“新家電”の真価
機能は地味だが役に立つ。三菱電機が「CEATEC JAPAN 2002」に出展した新家電は、そんなネット家電の姿を描き出した。斬新なデザインだけに目を奪われていてはイケナイ
白物家電のネットワーク化といえば、携帯電話による遠隔操作やインターネット経由で新機能を追加するといった目的が主。東芝の「フェミニティ」シリーズや松下電器産業が計画中のエコーネット対応家電などが知られている。しかし、三菱電機は少し異なるアプローチで将来の家電像を描き出した。「CEATEC JAPAN 2002」の同社ブースでは、“家電間連携”に主眼を置いたネット家電「新家電」が展示されている。
一見しただけではおよそ白物家電に見えない、まるでオブジェのような機器の数々。三菱電機デザイン研究所が出展した、まさにデザイン重視の家電製品たちだ。
例えば、「マルチネットワークエアコン」は、床暖房パネルと連携して上下左右から快適な空間を作り出す。部屋を3次元的に制御し、微風対流空調を実現するという。
ハイブリッドクリーンシステム
「ハイブリッドクリーンシステム」は、掃除機と空気清浄機を一体化したもの。下部の掃除機部分は「自走式」で、本体から離れ、部屋の中を動き回って床を掃除する。現在はワイヤー式のため、コードの届く範囲でしか動けないが、将来的にはワイヤレス化する方針だという。
このほか、換気扇と電磁調理器の「クッキングタワー」や、これらの家電を集中制御する冷蔵庫「クッキングワークステーション」などがある。冷蔵庫がすべての機器を管理し、動作状況を認識して動く点が新しい。
「クッキングタワー」(左)と「クッキングワークステーション」
冷蔵庫には家電を集中管理する機能がある
「例えば、電磁調理器で料理を始めると、換気扇が自動的に回り始め、エアコンは風を強めに設定する」(同社)という具合だ。あまり派手な話ではないが、実現されれば便利なことは間違いない。
ネットワーク化の手段には、無線もしくはコンセントを使ったエコーネットを検討中という。ただし、インターネットに接続することに関しては、慎重だ。
「例えば、外出先で冷蔵庫の中を確認するシステムがあるが、ユーザー自身でリストを作成する必要があるなど不便な点も指摘されている。インターネットとの連携については、何が本当に便利なのかという点を、もっと研究する必要があるだろう」(同社ホームシステムデザイン部の増田正一郎主事)。
デザイン研究所は、単に機器の外観をデザインするだけではなく、人間の行動に合わせた動きをもデザインする。その回答が、ネットワークを介した家電間の連携だ。もちろん、インターネット接続を否定するわけではなく、「本当に便利な機能が実現できるのであれば、盛り込んでいく」(同氏)。
新家電は、まだデザインコンセプトの段階で製品化スケジュールはない。しかし、インターネット接続やリモート操作といった、目新しさばかりを追求しがちなネット家電の中にあって、地味だが実際に役に立つことを考えた三菱のスタンスは、既存のネット家電がなぜ今ひとつ受け入れられていないのかを見直すヒントになるのではないだろうか。
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三菱電機
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[芹澤隆徳, ITmedia]
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