ニュース 2002年11月21日 11:56 PM 更新

ベールを脱ぐ「電力系FTTH」の新コンテンツ 〜5Mbps動画も

視聴には専用STBを利用し、ビットレートは最大5Mbps。洋画約200本を月額1000円で視聴可能……。電力系FTTHで提供されるコンテンツの内容が、少しずつ明らかになってきた

 電力FTTHが11月末から提供するコンテンツの内容が明らかになった。配信ビットレートはMPEG-2で最大5Mbpsを実現するなど、話題性は十分だ。

 東京電力、関西電力など電力系情報通信会社27社は、11月20日、ブロードバンドコンテンツの全国流通およびビジネスモデルの検証などを行う「コンテンツ配信広域連携技術研究組合」(通称:BBit-Japan)を設立した。これに伴い、今月末からFTTHサービス加入者が対象のコンテンツポータルサイト「Fiber TV」をオープンする。

3000コンテンツを用意

 Fiber TVは、映像、音楽など各ジャンルの動画コンテンツを3000以上集めたサイト。ユーザーは予めBBit Japanに無料登録し、ID、パスワードを取得する必要がある。視聴には、専用STBを用いるパターンと、PCを用いるパターンがある。

 STBを用いるタイプでは、端末が月極め定額でリースされる予定。配信時のビットレートはMPEG-2で5Mbpsと、FTTHならではの高画質となっている。電力各社は、来年4月にもSTBを出荷する態勢を整えている。

 PCで視聴する場合、ビットレートはMPEG-2で1Mbpsとなる。「これは、マシンスペックが低いユーザーの存在を考慮してのもの」(同)。なお、いずれの場合もWMT(Windows Media Technologies)のDRM(Digital Rights Management)技術が採用されている。

ジャンル内容、タイトルなど
映画ギャガコミュニケーションズの提供する洋画/邦画30本を月額1000円で見放題
音楽洋楽クラシック、邦楽インディーズなど
スポーツ「大日本プロレスチャンネル」「ゴルフチャンネル」など
アニメ「ジャイアントロボ」「エルフを狩るものたち」ほか幼児/少年誌向けのもの
ヒーリング列車運転室の映像、海中シーンと音楽を組み合わせたヒーリング映像など
バラエティ現在交渉中
ショッピングテレビショッピングを放映中のコンテンツホルダーと交渉中
その他角川書店が提供する「角川チャンネル」(仮称)など

 Fiber TVのコンテンツアグリゲーションを担当する、ポインテージのファイバーティービー統括局長、増田環氏は、映画コンテンツに自信を見せる。

 ユーザーは月額1000円で見放題のコースに加え、1本ごとの料金を払って視聴することも可能。その場合は、2泊3日で200円となる。「ほかのどのサイトを見ても、映画1本の価格は300−400円に設定されている。業界で一番の低価格を実現した」(同)。作品数は、2004年までに200本に増やす予定だ。

 音楽コンテンツは当初、著作権処理の容易なものが提供される予定だが、「今後は国内のレーベルとも話し合いを進め、コンテンツを提供してもらいたい」。ほかにも、さまざまなジャンルのコンテンツが追加される見込みだ。

「双方向コンテンツ」はどうなった?

 FTTHサービスといえば、次世代ネットワークの本命と目され、家庭内の生活インフラとしても期待されている。しかし、今回の明かされた内容を見る限り、サービス内容は片方向配信のものにとどまっている。上り回線も高速な“光ならでは”の要素があまり感じられないのは少々残念なところ。

 この点に関して、増田氏は「確かにこれだけ(5Mbpsの映像配信)では、帯域が余る。双方向性を生かした、ほかのサービスも検討している。だが、いずれも開発中の段階だ」。

 詳細こそ明らかにされなかったが、IP電話、ゲーム、遠隔医療といったサービスも、今後実現の可能性は十分ありそうだ。

マーケティングサービスを展開

 Fiber TVでは、広告連動型のマーケティングサービスも展開される。

 ユーザーは、パーミッション型のターゲティングメールを閲覧したり、インフォマーシャル映像を視聴したりするたび、「ビュー」と呼ばれるポイントが貯まる。ポイントは、コンテンツ視聴料として換金することが可能。今後は、Web上の各種ポイントサービスとの連動も視野に入れているという。

 一般にターゲティングメールサービスは、偽のユーザー情報や二重登録などによる「幽霊会員」が問題になるもの。しかし増田氏は、FTTHサービスではこうした問題にあまり悩まされずにすむと話す。

 「FTTHでは、有線でつながったユーザーが“必ずそこにいる”。ユーザーの住宅環境としては戸建てが想定されるため、そうそうインフラを乗り換えることもない」(同)。こうした場合には、CRMやデータマイニングが有効に作用するとした。

 同氏はまた、FTTHを導入するユーザーはある程度高収入、高ステータスが予想されることにも言及し、マーケティングデータをビジネスに活かせるとにらむ。「ユーザーに、タイミングを合わせて車検や、外壁の修理サービスを広告したい」。この種の事業が高い収益を上げるようなら、コンテンツ配信事業の収益性をあまり求めずにすむだろうという。同氏は、こうした考えを持っているからこそ、コンテンツ料金を抑えることもできると、コンテンツアグリゲータとしての立場を強調した。



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関連リンク
▼ BBit Japan

[杉浦正武, ITmedia]

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