リビング+:レビュー 2003/01/24 22:10:00 更新

Review:メルコの新製品「WBR-G54」(試作品)
いよいよ登場した高速無線LAN技術「IEEE802.11g」の実力 (2/2)


スループットをはかってみると

 IEEE 802.11gということで気になるのはスループットである。最大54Mbpsと銘打たれているが、実際のところはどのくらいなのだろうか?

 メルコの802.11g製品発表時のプレスリリースに、開発時の製品による実効スループットと見通し通信距離の比較のグラフが載っている。

/broadband/0301/24/graph.gif
 出典:メルコ

 これによれば、近距離では802.11aのほうがややスループットは高いが、距離が長くなった場合には802.11aは届かず、802.11gのほうは比較的遠くまで使えるようだ。

 802.11gの「WBR-G54」、802.11bの「WBR-B11」、それから802.11aとの比較用としてNECの「Aterm WARPSTAR」シリーズにラインアップされている802.11a対応アクセスポイント「WL54AP」を同位置に設置し、Windows 2000 Professional搭載のノートPC(Cursoe TM5600/600MHz)をクライアントとして、各方式のカードをそれぞれ使ってFTPで計測を行ってみた。ダウンロードに使用したファイルは約8MバイトのMPEG-4ファイル。使用環境は、筆者の住むワンルームのマンション(6階)である。40bitのWEPを設定した。

 まずは、アクセスポイントとPCが直線で4m程度離れた環境での結果である。

/broadband/0301/24/gra1.jpg

IEEE 802.11bIEEE 802.11gIEEE 802.11a
機種WBR-B11WBR-G54WL54AP
1回目37281985620672
2回目37202012023208
3回目37362039223576
 単位はkbps

 やはり802.11aのほうが、スループットとしてはやや優れているようだ。といっても802.11gとの差は2〜3Mbps程度。実際の利用ではおそらくそれほど問題にならない程度の差といえるのではないだろうか。むしろ802.11bと互換性を持った形でここまで高速化できるとすれば、メリットのほうが上回っているといえる。

 それでは次に、部屋の外から出てマンションの廊下で計測を行ってみた。廊下と部屋の間のドアは閉めた状態での結果である。

/broadband/0301/24/gra2.jpg

IEEE 802.11bIEEE 802.11gIEEE 802.11a
機種WBR-B11WBR-G54WL54AP
1回目1312903220672
2回目16321152020392
3回目1312914421872
 単位はkbps

 意外にも、802.11aが健闘しているという感じだ。やや落ち込んではいるが、予想していたほどではなかった。いっぽう、802.11gについては、同一室内の時に比べ落ち込んでいる印象を受ける。もっとも無線LANは反射してくる搬送波なども拾って復調するため、建築材料や、ちょっとした状態の差によって受信感度はかなり異なる。今回評価した機器も試作機であり、またあくまで筆者の環境のもとでの結果であることは留意していただきたい。

 そこで次は、マンションの前を通る国道の向かいにある、別のマンションのピロティから測ってみた。機材の都合で、802.11aと802.11gのみの計測となった。マンション6階の自室の窓際のアクセスポイントと窓ガラスを挟んで通信する形となり、距離としては約30m程度の距離になる。

/broadband/0301/24/gra3.jpg

IEEE 802.11gIEEE 802.11a
機種WBR-G54WL54AP
1回目2800電波到達せず
2回目3200電波到達せず
3回目2944電波到達せず
 単位はkbps

 さすがにこの距離となると802.11aは届かないようだ。いっぽう、802.11gは3Mbps前後と、高速とはいえないが802.11bに匹敵するスループットを確保できており、長距離でも伝送可能ということを実証した結果となった。

もしかして802.11gは“買い”?

 無線LANというと、環境によってどうしても計測結果に差が出てしまうものである。今回も限られた時間と空間での行なうことになった。ただ、2.4GHz帯を使って、条件がよければ20Mbpsを超えるスループットはやはり快適である。いちど体験してしまうともとには戻れないだろう。もっとも、12M ADSLであってもフルスピード出る環境が稀だと考えると、ちょっとオーバースペックな気もするが、ただ802.11bとそう変わらない価格帯で手に入るとなれば、将来を見越してもこの製品は“買い”であるかもしれない。

 今回やり残したこととして気になっているのが、802.11bと802.11gを混在させた環境での計測だ。今回は802.11gは802.11g、802.11bは802.11bと製品を分けて比較したため、混在での評価は行なっていない。これは追ってレポートすることにしたい。

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関連リンク
▼WLA-G54の製品情報(メルコ)
▼WLI-CB-G54の製品情報(メルコ)
▼WLM2-G54の製品情報(メルコ)

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[大水祐一,ITmedia]



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