リビング+:連載 2003/01/30 15:14:00 更新

ネットワークな生活は何処からやってくる?(2)
ITエクササイズなんてどうだろう

前回、「次回はITエクササイズ用品を想像してみる」などと謎めいたことを告げて終わったのだが、ちょっと意味不明だったかもしれない。それでも、予想外に多くの意見をいただいた。まずは、そのうちのいくつかを紹介したうえで、考えを明かしてみよう。

 では、まずは読者の方の意見から。

『セブンミール(前回記事参照)のところは同感。最終的な商品のラストワンマイルは深刻です。福岡在勤のころ、プッシュホン電話で生鮮食品(毎週のカタログに2000商品ぐらい、肉、魚、野菜、日用品なんでも載っていた)を届けてくれるサービスは本当に便利でした。夜中の24時まで受け付けていて、翌日17時までに配達というもの。IT化も何も、こんなところが充実しないと、利便性が向上したとは感じられません。また、いま仕事でVODの検討をしていますが、利便性(映画館やレンタルビデオ屋に出かけなくていい)とコスト(サーバ、端末、権利処理など……)を天秤にかけると、DVDの宅配のほうがいいんじゃないかとも思うところで……。ITエクササイズといえば、数年前、万歩計をサーバ管理して健康管理に役立てるサービスを提供するアメリカのベンチャー企業がありました。専用の万歩計を販売したという記事までは読みましたが……』

 なるほど。エクササイズに際して「データを管理」するというのは、やはりどこかの会社でもすでに考えたことのようだ。詳しくは後述するが、まずはこのデータ管理という面がネットワーク化に際して重要なのは間違いない。

『古くはファミコンの「ファミリートレーナー」など、ウォーキング系はいろいろあると思われる。この「歩数計」もそうだが、オムロンはとにかくなんでもPCにつなげるエラいメーカー』

 おお、「オムロン」とは目のつけどころが同じ。そう、オムロンはさまざまなエクササイズ用品を発売しており、しかも、独自の技術を盛り込んでいる。これも後述。

『ITエクササイズなどと気取った名称をつけなくても、1980年代には「ファミリートレーナー」というエクササイズマシンが、すでに存在していたと思うのですが』

 ひとつ前の方と同じく、「ファミリートレーナー」。やはり来た。そう、エクササイズの際にコンピュータが絡めるのは前述のデータ管理のほかに、バーチャル環境およびフィードバックを提供するという点がある。コンピュータが最も得意とする分野なのでこれも重要。

『ちゃり用コンピュータが結構面白い。また、ダイブコンピュータも』

 これはサイクルコンピュータのことかな。筆者も自転車に乗る際には「CAT EYE」を愛用していた。車輪の回転を検出するセンサーと、ハンドルにマウントする液晶表示部の組み合わせで、時速、走行距離を算出するほか、平均時速、最高時速なんかも表示させられるので、自転車走行時の楽しみが増すのだ。最近は心拍センサーまでついている腕時計型モデルや、センサーと表示部が無線送受信するコードレスタイプもあるらしい。ダイブコンピュータというのは初耳だったが、ダイビングの際に使用する腕時計型機器のようだ。あと、どれくらいの時間だけ潜っていられるかなどを算出する。サイクルコンピュータの親戚といえるか。

 とにもかくにも、拙文を最後まで読んでいただいたうえにフィードバックまで、ご協力いただいた皆さん、本当にありがとうございました。

マネージメントとモチベーション

 では、本題に入ろう。それで、どんなエクササイズ用品を求めていたのか。現在、この分野では、多種多様な製品が発売されている。個人的には、ダイエットの必要がある体重でもなく、そもそも散歩と自転車を趣味としているので、特に興味を持ったことがなかったのだが、雨の日や真冬・真夏は、さすがに引きこもりがちになってくる(そういうのも乗り越えなければ持久力もつかないのだが、そこまで真面目に取り組んでないので……)。そこで、気晴らしに何か面白いものはないかと、前回の記事を書く直前にちょっと調べてみたわけだ。

 たびたび利用するショッピングサイトにも「ヘルス&フィットネス:エクササイズマシン」というカテゴリーがあったので、眺めてみる。お馴染みの「ボディブレード」「アブフレックス」やら、ボクササイズ用のパンチボールやサンドバッグ人形(?)なんかも。その中で目に止まったのは、やはり「エクササイズバイク」。

 実際の自転車とはやはり乗り味は別物らしいが、ナニかよさげだ。そこでもう少し詳しく調べてみると、オムロンが興味深い製品を出していた。エクササイズバイクに脈拍センサー装備(耳につけるクリップタイプのほか、ハンドル内蔵タイプもある)は特にめずらしくないが、オムロンバイオコントロールバイク「HBE-760」では「“心拍ゆらぎ”の検出・解析によるバイオコントロール技術」を採用しているという。

製品写真
オムロンバイオコントロールバイク HBE-760

 なになに、「約2分間のウォーミングアップののち、徐々にペダルが重くなり、その際、ハンドル部のセンサーから各個人の“心拍ゆらぎ”を検出・解析して独自の最適運動判定アルゴリズムに基づいて処理します。これにより、各個人の最適な運動レベルを求め、それを運動プログラムに反映させます。なお検出・解析作業は5〜15分で実行可能です」。うーむ、なんかいいぞー。定価で140,000円(税別)、実売平均でも100,000円弱と、おいそれとは手が出ない価格だが、まれにそれよりさらに20,000円ほど安い値をつけているショップもあるようだ。むむむ。というわけで、ちょっと思案中……。

 しかし、この製品で満足したわけではない。本当はこの手のエクササイズバイクをネットワーク家電化したような製品がほしいのだ。しかし、以下から述べる勝手に想像したことを単体ですべてやらかすと相当コストが高くなりそうなので、とりあえず、コンピュータ部はマシン側に内蔵しないほうがいいだろう。USBか何かでパーソナルコンピュータの周辺機器として接続するのである。まあ、そうしてしまうと誰にでも手軽に使えるとはいえなくなるのが、考えどころなのだが……。

 で、ともかく、何をやってほしいのかというと、まずは「データの管理」。心拍ゆらぎ検出によるフルオート運動プログラムというのは素晴らしいが、それだけにとどまらせるのは惜しい。運動中の詳細なデータを常時記録しておき、ローカルPCで運動負荷へのフィードバックを行うとともに、収集データをメーカーあるいは提携フィットネスサービスなどが運営するサーバへとリアルタイム送信するというのはどうだろう。つまり、本体からコンピュータ部を外して価格を抑える代わりに、インターネット上のサービスとして月単位で課金を行うわけだ。運動中の脈拍の変化などの身体データのほか、「いつ、どれくらい運動を行ったか」も記録できるわけなので、個々人に応じたアドバイスやアラートも示せるだろう(「明日あたり、そろそろ運動してください」とか「無理しすぎです」とか)。

 目的を持ったトレーニングは自己管理のできる人が行うので問題ないのだが、フィットネスを趣味的に行う場合は何らかの管理を欲するもの。1人では継続が難しいのでフィットネスクラブに入会する、という図式が成り立つほどだ。ネットワーク経由でのデータ送受信による「管理」が可能になれば、この自宅で利用するエクササイズ用品につきまとう弱点が1つ解消されるのではなかろうか。課金するといっても、数百円からせいぜい1,000円程度にできれば割安感はある。

 そして、もう1つの弱点も同時にネットワーク接続で克服してほしい。それは「飽きやすい」という点。ステッパーでは昔の記事にもあるとおり、プレイステーションやPCと連動し、画面に走っている風景を表示したり、競争心をあおる工夫を盛り込んだ製品がある。これと同じように、エキササイズバイクのペダルを漕ぐだけで、PCの画面上にストリーミングで毎月更新・追加される一人称視点の情景が流れればいい感じ。

「ツール・ド・フランス」の1コースを毎日少しずつ走ったり、万里の長城を走っているような画面を表示してくれれば楽しいではないか。下町の裏路地や河原の土手なんかもいい(でも、本当はゼンリンなどが開発している3D化された実際の街並みの中を走ってみたかったりする)。ビデオディスクなどと連動するエクササイズバイクはとっくに製品化されていそうだが、ブロードバンドを利用すれば、より低いコストで、より高度な機能を提供できるに違いない。前述の目的で、走行時に記録した詳細なログを活用すれば、リアルタイムで同時にログオンして走行しなくても、過去のほかの会員データと照合して、現時点で何位につけているとか、あと何mで前の順位の人に追いつく、といったデータも算出・表示可能だと思われる(実際にはそこそこ重い処理になるが、サーバ側の処理ゆえに、なんとかなる……かな?)。そうすれば、ある程度の目的意識を持って運動できるはずだ。

 次回もこんな調子で、家電、AV機器にこだわらず、家の中にある「機器」をIT化、ネットワーク化するとどうなる? なんて妄想を勝手に膨らませたいと思う。

関連記事
▼ネットワークな生活は何処からやってくる?(1)「未来の暮らし」を実現するネットワーク家電?

関連リンク
▼オムロン ニュースリリース:“心拍ゆらぎ”の検出・解析による「HBE-760」のフルオート運動プログラムについて
▼オムロン ニュースリリース:1/28 ヘルスケア事業とエンタテインメント事業を分社化(PDF形式)
▼トワイライトエクスプレス:ネットワークステッパー

[浅井研二,ITmedia]



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