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2003/02/14 16:19:00 更新 |
MPEG-21って何だ? 三菱電機の研究開発成果発表会
MPEGといえば、MPEG-1/2/4のような圧縮動画フォーマットを連想しがちだが、MPEG-21は違う
三菱電機は2月13日、神奈川県鎌倉市にある研究施設を公開し、報道関係者やアナリストを対象とした成果発表会を開催した。その内容は、各種の要素技術から製品化間近のものまで幅広く、またジャンルも多岐にわたる。中でも目を引いたのが、現在MPEG(Motion Picture Experts Group)で標準化が進められている「MPEG-21」のアプリケーションだ。
MPEGといえば、MPEG-1/2のような圧縮動画フォーマットを連想しがちだが、MPEG-21は違う。正式名称を「マルチメディアフレームワーク」(Multimedia Framework)といい、コンテンツ配信の枠組みを規定するものだ。目的は、デジタルコンテンツ流通の活性化。コンテンツデータの識別方法や著作権管理方式など、配信の基盤となるさまざまな仕様がMPEGの各ワーキンググループで検討されている。2003年中には主だったパートの仕様(FDIS:Final Draft International Standard)が固まる見込みだ(下の写真を参照)。
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ただし、三菱電機マルチメディア符号化伝送技術部長の浅井光太郎氏によると、MPEG-21は、動画フォーマットのように厳密なものではないという。「MPEG-21は、相互運用性を保証するものではない。これに準拠した、準拠したコンテンツやシステムなら“容易に相互運用できるようになる”といったニュアンスだ」。
MPEG-7との連携
同社では、先に策定されたMPEG-7との連携により、インターネットを介したコンテンツ配信サービスの利便性を向上させるアプリケーションを提案している。MPEG-7は、動画などマルチメディアコンテンツの構造や特徴をメタデータとして記述しておくことで、コンテンツの検索や閲覧を効率化する規格だ(記事参照)。
デモンストレーションは、TVやPC、PDAといった視聴環境に合わせた形で、メディアサーバが動画フォーマットをリアルタイムに変換、配信するというもの。コンテンツの購入は携帯電話で行うのだが、その際、事前に登録したキーワードや視聴履歴をもとにMPEG-7のメタデータを検索し、「お勧め」コンテンツをリストアップしてくれる。
お勧めコンテンツの例
コンテンツ配信サービスの例
携帯電話で課金を済ませたら、赤外線ポートを使ってTVやPCにコンテンツ情報を渡す。すると、TVやPCがコンテンツプロバイダーのメディアサーバに接続し、ストリーミングやダウンロードが開始される仕組みだ。その際、TVに対しては8MbpsのMPEG-2、無線LAN接続のPDAに対しては低ビットレートのMPEG-4というように、端末の種類やネットワーク環境に合わせたフォーマットとビットレートで送信が行われる。
携帯電話をリモコン代わりにして動画を再生する
また、サーバ側でコンテンツの視聴状況を管理しているため、端末や場所の変更に対しても柔軟に対応できるという。「たとえば、リビングルームのTVで映画を途中までみたものの、外出しなければならなくなったとき。電車のなかでPDAを出せば、続きが再生される」といった具合だ。
PCの場合はMPEG-4に変換して配信
もちろん、このサービスを実現するには、より帯域幅の広い通信環境をはじめ、ネット対応TVなど、インフラ面の課題が多く残されている。また、著作権管理の仕様に関しても、コンテンツホルダーの理解など、まだまだ障壁は高いのが現実だ。
しかし、もっと身近なところで、比較的容易にこの技術を応用できる製品ジャンルがある。「ホームサーバのように、サービスの範囲を個人利用に絞れば問題は少ない」(同社マルチメディア符号化伝送技術部の小川文伸チームリーダー)。すでに、シャープのホームサーバ「パーソナルサーバー(HG−01S)」のように、MPEG-2録画したコンテンツをMPEG-4に変換して送信する機能を実現した製品もあるが、同様のアプローチを三菱も検討している模様だ。
MPEG-7とMPEG-21の登場は、ホームサーバのさらなるインテリジェント化をもたらすのかもしれない。
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三菱電機
[芹澤隆徳,ITmedia]