リビング+:特集 2003/03/24 23:50:00 更新

特集:今、手に入るIT住宅
“防犯”から生まれたIT住宅〜パナホーム「エルイデオ・リヴィ」

一昔前なら高額所得者層だけの特権だった「ホームオートメーション」や「ホームセキュリティ」が身近になってきた。その理由は、やはり“IT”の進歩。今回の特集では、住宅のIT化を支える“システム”にフォーカスをあてる

 一口に“IT住宅”といっても、そのアプローチはさまざまだ。ブロードバンド接続環境があるだけでもIT住宅といえなくもないが、なかにはネット家電やロボットを駆使した近未来的なもの、家電製品を制御するホームオートメーションを重視したもの、安全な生活をサポートするホームセキュリティの要素を持つものなどがある。

 いずれも一昔前なら高額所得者層だけの特権だったはずだが、最近は一般の人でも手が出せるような商品も増えてきたようだ。その大きな理由はやはり、“IT”の進歩だ。今回の特集では、住宅のIT化を支える“システム”にフォーカスをあて、システム提供者側への取材を通じてIT住宅の仕組みと現状を探る。また、後半はちょっと脱線して“IT住宅の自作”に挑戦してみた。前半は真面目に、後半は暇つぶし程度に読んでいただきたい。

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“防犯”から生まれたIT住宅〜パナホーム「エルイデオ・リヴィ」

 大手住宅メーカーのパナホームは昨年12月、エコーネットベースの「ハウスルーネット」を構築した住宅「エルイデオ・リヴィ」(el・ideo Livi)を発表した。エルイデオ・リヴィはもともと、“家が密集する場所でも通風と採光を確保する”ことをコンセプトとした都市型注文住宅。その“快適な住まい”に家庭内ネットワーク設備を付加した狙いを聞いた。

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パナホームの「エルイデオ・リヴィ」

 パナホーム設備・内装部電気設備グループの横山勝美チーフマネージャーは、今回の発表を「1つには、“防犯”に対する顧客の要望が高かったためだ」と説明する。都市型住宅という性格上、エルイデオ・リヴィの購入層は防犯意識の高い都市部に集中している。同社は、以前からセコムと組んで、防犯システムをパッケージ化した“安心配慮住宅”「セキュリオ」を販売していたが、こちらは初期導入費が約50万円、ランニングコストは月々4,500円と“それなり”のお値段だ。したがって、購入者は高額所得者層に限られていたという。

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パナホーム設備・内装部電気設備グループの横山勝美チーフマネージャー

 「より簡易で、安価な防犯機能があればいいと考えていた。そんなとき、松下電器産業のほうから“見守り確認サービス”を提案してきた」。これが約1年前の話だ。

 見守り確認サービスとは、宅内に設置したセンサーや家電の動作状況を通じて、離れた場所に住む家族が安否を確認するというもの。象印マホービンの「みまもりほっとライン」が有名だが、松下の場合はエコーネットベースの宅内ネットワークを構築することで、これに家電制御や防犯機能を持たせる計画があった。

 「見守りサービスだけでは需要は限られている。ただ、ある程度の防犯機能、そして家電制御に対する要望は、共稼ぎの夫婦や単身赴任者などを中心に多い」。

 顧客の声を集めてみると、彼らが求めていたのは、ガードマンがとんでくるような贅沢な防犯機能ではないことがわかった。また、機器制御に関する要望も、不在時に照明やTVを点けるなどして在宅を装う、いわゆる「いるふり防犯」がメインの用途。共通しているのは、やはり低コストと防犯だった。

ハウスルーネットの仕組み

 松下電器産業とパナホームが共同開発した「ハウスルーネット」は、松下が進めるエコーネットに準拠した家庭内ネットワーク設備だ。導入コストは、機材だけで約12万円から。ネットワークサービス料金としてhi-hoの月額料金(2,500円)は必要になるものの、セキュリオと比較すればコスト差は歴然だ。

 エコーネットは、電灯線や特定小電力無線を使ってホームネットワークを構築する規格。最新のVer.3.0ではBluetoothもサポートし、年内には複数の家電メーカーが対応する家電製品を発売するとみられている。もっとも、ハウスルーネットはすべてエコーネットで構築されているわけではない。

 ハウスルーネットは、宅内と外部をつなぐ「ゲートウェイ」を中心に、人体の発する熱を感知する人感センサー、室内の静止画撮影を行う専用カメラ、電気錠、エアコンなどをツリー構造で配置する。情報量の多いカメラはUSB、センサーや電気錠は一般的なJEM-A規格のHA(ホームオートメーション)インタフェースを持ち、専用のツイストペア線を伝送路として使っている。エコーネットのサポートは今秋の予定(モジュールの追加で対応)で、当初はエアコンもHA端子で接続する。

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ハウスルーネットの構成図。宅内ではIPによる伝送は行わない(クリックで拡大)
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ゲートウェイのインタフェース部。シリアル、10/100BASE-TX(外部接続用)、電話モジュラージャックなどと並んで専用カメラ(ZY-9000K02)接続用のUSBポートが2つ用意されている(デザインは変更される可能性がある)。サイズは172(幅)×234(高さ)×54(奥行き)mm

 ゲートウェイはインターネットを経由して、松下の「わが家のeくらしセンター」に接続されている。外出中に人感センサーが侵入者を検知すると、カメラが自動的に撮影を行い、センターに転送・蓄積する。同時にユーザーの携帯電話に対して画像を添付したメールを送信。不審者の侵入を連絡する仕組みだ(侵入者連絡機能)。

 ユーザーが外部から機器を制御することもできる。携帯電話でセンターにアクセスし、室内の様子をリアルタイムに撮影(見守り確認機能)したり、電気錠の施錠、エアコンの電源オン・オフが可能(機器制御)。家を出た後に施錠を確認する、あるいは不在時にペットの様子を知るといった用途に使えるだろう。

 エコーネットのサポートは2003年9月の予定だ。これにより、専用アダプタを付けた家電や住宅設備を、やはり携帯電話などから操作できるようになる。

 「たとえば、照明、エアコン、電動シャッター、電気温水器など。電灯線カメラなども予定している」。照明のオン・オフが可能になれば、「いるふり防犯」に役立つ。また、エアコンを帰宅前に動作させておき、到着する頃には室内が快適な温度になる、といった使い方もできるわけだ。

システム構築のノウハウ

 前述のように、エコーネット規格に準拠した家電製品も年内には複数の家電メーカーから登場する。松下電器産業も、ハウスルーネットのゲートウェイを秋以降に外販する計画を持っているという。では、住宅メーカーがホームネットワーク設備を販売する意味はどこにあるのか。同社によると、それはノウハウの蓄積だという。

 例えば、センサーやカメラの設置場所は、住宅の構造にも大きく関わる問題。そこでパナホームでは「滋賀県の住宅実験場を使い、システム構築の方法を検討した」(同氏)。こうして、自由設計の注文住宅であるエルイデオ・リヴィには、ハウスルーネットを構築するための“設計ルール”が付加される。

 「簡単な例を挙げるなら、カメラと人感センサーの設置場所だ。カメラは逆光では撮影できないため、家の外壁側に設置しなければならない。また、人感センサーは玄関のほかに階段ホールにも設置するべきだ。空き巣は、入る部屋と入らない部屋があるが、一階と二階は必ずといっていいほど行き来する」

 犯罪者の行動パターンをも考慮し、そのうえで住宅の構造に合った適切なホームネットワークを構築する。それが住宅メーカーがホームネットワーク構築を兼ねる最大のメリットといえそうだ。

 「今までの住宅は、空調設備を中心とする“健康・快適”がキーワードになっていたが、今後はそれに“安全・安心”を加えなければならない。パナホームは、その両方を手がけていく」。

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[芹澤隆徳,ITmedia]



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