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2003/03/27 23:59:00 更新 |
特集:今、手に入るIT住宅
お手軽ホームセキュリティに挑戦?(前編)
予算をかけずに、普通の住宅をどこまでIT化できるか? リビングプラス編集部が挑戦した。目標は、お手軽セキュリティの代表的アプリケーション「いるふり防犯」と、ホームオートメーションの第一歩「家電遠隔制御」、そしてペット好きには嬉しい「遠隔カメラ監視」だ
お隣の韓国では、「サイバーマンション」が人気らしい。ブロードバンド接続はもう当たり前、最新の防犯設備や各種オンラインサービスを備えたIT住宅だ。とくに新婚カップルなどの若年層は、サイバーじゃないマンションには見向きもしないという。
日本でも似たようなマンションや住宅はあるが、まだまだ「付加価値」として扱われているのが実状。一般的な物件よりも割高で、本来のターゲットである若年層には手が出なかったりする(そうした意味で、レオパレス21は偉いと思う)。
ならば、なるべく予算をかけずに、普通の住宅をどこまでIT化できるか。ちょっと飛躍気味のテーマにリビングプラス編集部が挑戦した。目標は、お手軽セキュリティの代表的アプリケーション「いるふり防犯」と、ホームオートメーションの第一歩「家電遠隔制御」、そしてペット好きには嬉しい「遠隔カメラ監視」だ。家電制御では、ビデオ録画とエアコン操作を試してみたい。
予算は“3万円以下”に設定した(なぜなら、稟議書を書かずに決済できる上限が3万円だからだ)。とはいえ、それだけではホントに何もできないので、実験の舞台となる「リビングプラス駒沢ラボ」(賃貸ワンルーム、北向き)にある、家電とPC、そしてADSL環境を使わせてもらう。
赤外線で家電を制御
家電制御の規格は数あれど、一番手軽なのは赤外線リモコンを使うことだ。そこでまず、知る人ぞ知る高機能マルチリモコン「クロッサム2+USB」を購入した。
クロッサム2+は、さまざまな家電のリモコン信号を登録できる学習リモコンだ。他社製品と異なるのは、USBケーブルを介してPCから操作できること。「フレッツ・ロボ」や「OCN.BEE」などの原型といえる。
以前はシリアルポート接続だったが、2002年5月に発表された最新版「クロッサム2+USB」でUSB対応に。製造元はスギヤマエレクトロン。もともとハル研究所が販売していたが、紆余曲折のあと、現在はイデア・コムが発売元となっている
けっこう強引な「USB」。ハードウェアはシリアル接続時代と変わっていないようだが、ちゃんと変換ケーブルが同梱されている
さすが「知る人ぞ知る」だけあり、クロッサムを見た人たちの反応もさまざま。全く知らない人が多いなか、「懐かしい」「まだあったの?」という人がいたかと思えば、「ウチには黒いのが3台ある」(注:旧バージョンは黒い)というヘビーユーザーもいらっしゃる。3台も何に使うのだろうか。
本題に戻ろう。クロッサム2+には、計41個のボタンがある。これだけでも、かなりの数だが、中央のロータリーダイヤルを回すと設定が切り替わるのだ。ダイヤルには6ポジション(6回まわして1回転)あり、計246通りものリモコン信号を登録することができる。ちなみに3台あれば738通りだ。
プリセットも豊富で、主要メーカー11社39種類の信号を内蔵している。専用ソフトウエア「クロッサムステーション」を使えば、リモコン信号の登録や削除、バックアップなどが可能だ。また、GUI上でリモコンのボタンをクリックすると、接続したクロッサムが実際に信号を送出する。これをPCに繋いでおき、外出先からPCにアクセスすれば家電が操作できるという寸法だ。
「クロッサムステーション」の画面。ボタンをクリックすると、PCに接続したクロッサムがリモコンコードをテスト送信する
登録した信号がわかるようにシールを同梱。しかし、「DAT」や「LD」があるのに「DVD」の文字はない。去年5月に出た新製品のはずなのだが……
早速、TVやビデオ、CATVのセットトップボックスなどを登録する。最近ではAV機器に同梱されているリモコンでも他社製品のリモコンコードを扱えるが、CATVに対応できる製品は少ない。地域限定のCATVを全国販売の家電がプリセットしているわけがないからだ。そんなとき、学習リモコンは重宝する。
エアコン信号も難なく憶えてくれた。これで、最近よく聞く「駅を出たらエアコンを動かして、家に着く頃には快適な温度」を実現できる。
ただ、エアコンの場合はちょっと注意が必要だ。通常、エアコンのリモコンは、ボタンを押したとき、現在の温度や風量といった設定情報も一緒に送出する。このため、リモコン信号の内容は毎回違うのだ。つまり、同じような気温の日なら問題はないものの、3月に登録したリモコン信号を8月に使ったりしたら……考えただけで汗が出る。
自腹でGO!
ここまでは順調に作業が進んでいたのだが、照明のリモコン信号を登録しようとしてつまづいた。
駒沢ラボの照明は、賃貸住宅によくある“作りつけ”のもので、もちろんリモコンなんか付いていない。ほかに、手元を明るくするためのレフランプが2つあったため、これを利用するためにリモコンユニットを購入した。コンセントとランプの間に設置して、直接電源をオン/オフするタイプだ。
なのに、登録できないのだ。角度を変えてもだめ。近くでやってもダメ。遠くからやったら当然ダメダメ。これでは夜間の「いるふり防犯」ができない。リモコン単体なら問題なく動作するのに、クロッサムは一向に憶えてくれない。
ふと、リモコンユニットのパッケージを見て気が付いた。……「無線方式」?
なんとなく、「それは自腹ね」という編集長の声が聞こえたような気がした。しかし、人間というのは追いつめられると意外な力を発揮するものだ。ここで気付いたのは、「いるふり防犯」なら別に、照明“だけ”を操作する必要はないということ。そしてAV機器の背面には、大抵、他の機器と連動するためのコンセントがある。ここにレフランプをつないで電源を入れれば、一緒に点くはずだ。
連動コンセント
点いた! 当たり前だけど、何やら嬉しい
クロッサムの紹介に終始してしまったような気がするが、明日はいよいよリモート制御に入るつもりだ。
本日の精算
製品名 | 値段 |
「クロッサム2+USB」 | 約1万1000円 |
「NOATEK無線式リモコン」 | 約4000円(無駄な出費) |
残高 | 1万5000円 |
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[芹澤隆徳,ITmedia]