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2003/03/28 23:59:00 更新 |
特集:今、手に入るIT住宅
お手軽ホームセキュリティに挑戦?(後編)
ホームセキュリティやホームオートメーションは、用途を限れば意外と低コストで実現できるもの。しかし、安直なシステムを作ると失敗することもある。そんな実例をお見せしよう
前回、マルチリモコン「クロッサム2+USB」をPCに接続し、エアコンや照明をコントロールするところまで紹介した。次は遠隔操作だが、その前に少し確認しておこう。
PCに赤外線リモコン送出デバイスが付いた。ということは、信号が届く範囲に限るとはいえ、ソフトウェアで家電制御が可能になったわけだ。例えば、事前に登録したスケジュールに沿って家電を動かす、あるいはインターネット経由で外部からPCにアクセスして家電を動かす、といったことができる。
クロッサムの場合、家電との距離は約7mまで。受光部との角度は30度以内のため、複数の家電を操作するときには置き場に困る。というわけで、とりあえずこんなところに設置
たとえば、出張などで長期に家を空けるとき、夜になったら照明をオンにするようにスケジューリングしておけば、外からは不在にみえない。これがいわゆる「いるふり防犯」。もちろん完全ではないが、空き巣などを抑止する効果は期待できるだろう。
標準ソフトの「クロッサムステーション」は、残念ながらスケジュール機能は持っていないが、例えばベクターのAV制御機器制御ページにいくと、そうしたフリーウェア/シェアウェアがいくつも登録されている(Windows 95時代のソフトも多いので、制作者のページを辿って更新状況を確認することをお勧めする)。
携帯電話で操作……あれ?
そんな、数あるオンラインソフトのなかで、個人的に注目していたのが、携帯電話からクロッサムを遠隔操作できる「KMEMO Tool Ver.0.3B」(西村誠一氏製作)だ。KMEMO Toolは、いいじゃんネットのiモード向けホームページ作成サービスを利用して携帯電話用のコマンド入力画面を作り、PCソフトが定期的にサーバを見に行くことで家電のリモート操作を実現する。
赤外線リモコンにさえ対応していれば、遠隔操作するものを選ばない。実際、かなりのスグレモノなのだが、残念なことに今回は試すことができなかった。いいじゃんネットのサイト構成が変わったためと思われるが、これはちょっと悲しい。
KMEMO Tool Ver.0.3Bの画面
次の課題に取りかかろう。携帯電話を使う計画が行き詰まってしまったので、ノートPCをリモート端末にする。携帯性や操作の手軽さでは携帯電話に劣るものの、やはり大きな画面は魅力だ。
外部から自宅LANにアクセスする方法は複数あるが、今回は“お手軽”がテーマなので、市販のリモコンソフトを使ってみた。インターコムが国内代理店を務める「LAPLINK GOLD 11」だ。
LAPLINKシリーズは、インターコムが提供するディレクトリサーバを経由することで、接続先を見つけるのが容易。そのうえ、ファイアウォール内のPCにも接続できるというメリットもある。ただし、接続を開始する側にはグローバルIPアドレスが必要(動的割り当ても可)となり、社内LANから自宅にアクセスするのは難しい。ここは、PHSを通信手段にした。
速度面にはかなり不満が残るものの、一応操作はできる。これで、「いるふり防犯」と「家電操作」の2つはクリアしたことにしてしまおう。LAPLINKのお値段は、2ライセンスパック15,800円。今回は量販店で購入したので多少は安く抑えることができたが、3万円の予算は使いきった。
あれ? ということは、「遠隔カメラ監視」に使うWebカメラが買えない……。仕方がないので、ラボ内にあったDVカムコーダーを流用することにした。IEEE 1394経由で繋いだDVカムコーダの映像を「DV取り込みソフト」で画面表示するという離れ業だ。画面に表示さえしていれば、LAPLINKが端末に伝送してくれる。
ペットがいないので、クレーンゲームでゲットした某キャラクターのぬいぐるみを撮影中
すっかりリモコン化した「ThinkPad s30」。宅内の無線LAN環境なら、まずまずの速度で動作するのだが……
こちらがクロッサムを接続したデスクトップPC
リモコンソフトを使う一番のメリットは、操作される側のPCをフルスペックで利用できることだろう。IEEE 1394接続のDVカムコーダーを流用できたのも、リモコンソフトだからこそ。
ただ、LAPLINKの起動中はPCがスリープしてくれないようだ。もちろん、DVカムコーダーも通電したまま。なんというか、地球と財布に優しくない部屋になってしまったような気がする。
もう1つ、大きな問題が生じた。テストに使った「VAIO RX」では、LAPLINK起動中に「GigaPocket」を立ち上げようとしても「画像表示ハードウェアが他のアプリケーションで使われています」というダイアログが出て、動かすことができないのだ。これでは、LAPLINKが動いている限りは録画が始まらない。しかし、LAPLINKが起動していないとリモートアクセスできない。
クロッサム経由で外部のビデオデッキを動作させれば問題はないのだが、やはりHDD録画の魅力は大きい。ここまで、なんとか課題はクリアしてきたものの、最後の最後に固有の問題(個人的な都合?)で頓挫してしまった。
ああ、編集長のツッコミが聞こえるようだ。「3万使って、そんなオチかい」。
本日の精算
製品名 | 値段 |
LAPLINK GOLD 11 | 約1万5000円 |
残高 | 0円 |
携帯から録画予約はもう普通?
なんだか、あまり役に立たない記事を書いてしまったような気がするので、フォローの意味で携帯電話から予約録画ができるサービスを紹介しよう。最近では、AV機能付きPCはもちろん、MPEG-2キャプチャーボード、HDDレコーダーなどでこうしたサービスを利用できる。また、クロッサムもアイ・ラテ・ドットコムの「resermail」(リザメール)を使った録画予約に対応している。概要は下表の通り。
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関連リンク
スギヤマエレクトロン
LAPLINK GOLD 11(インターコム)
西村誠一氏のホームページ
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[芹澤隆徳,ITmedia]