リビング+:特集 2003/04/22 23:59:00 更新

特集:ブロードバンドで5.1chサラウンド
Windows Media 9が実現する新しいコンテンツ〜マルチチャンネルオーディオ

DVDビデオ用にDolby Digital 5.1ch環境を構築している人も多いだろうが、Windows Media 9の場合はちょっとコツが必要だ。今回の特集では、Windows Media 9が持つ5.1chサラウンド機能にフォーカスし、その環境を構築するための製品を紹介していきたい

 Windows Media 9の日本語版が発表されてから早3カ月が過ぎた。プレーヤーとなる「Windows Media Player 9」を既にインストールしている人も多いことだろう。Windows Media 9では、インターネットを介した有料コンテンツ配信のための著作権管理機能も大幅に強化されており、今後はブロードバンドコンテンツ配信の本格展開も促しそうだ。

 従来のWindows MeidaやQuickTime、RealMediaなどがPC上のマルチメディアコンテンツ利用を中心に考えられているのに対し、Windows Media 9はPCの枠を超えた、次世代デジタルメディア環境として位置付けられている。大型ディスプレイでの視聴に耐える準HD(High Definition)品質となる最大1280×720ピクセルのプログレッシブ表示をサポートし、5.1chのマルチオーディオ再生にも対応した。

 マルチチャンネルオーディオは、DVDビデオのDolby Digital 5.1chで既にお馴染みのもの。Windows Media 9では、Dolby Digital 5.1chと同じフロント2ch(左右)、センター、リア2ch(左右)、低音を補強するサブウーファーという構成で5.1チャンネル再生を可能にしており、ブロードバンドコンテンツでも臨場感のある視聴環境を実現する。

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Windows Media Playerの画面

 ただ、ブロードバンドが普及したとはいえ、ADSL環境が中心の現状では帯域幅も良くて数Mbpsのオーダー。DVDビデオのような高品位動画をそのまま配信しようとすれば、視聴できるユーザーは極端に限られてしまう。そこで重要なのが圧縮技術だ。Windows Media 9では映像用のWindows Media Video 9、音声用のWindows Media Audio 9の新しいフォーマットが提供され、従来のWindows Mediaより小さなコンテンツサイズ/帯域で高品位な映像、音声の再生が可能になっている。

 民生機の世界では事実上の標準となっている映像フォーマットMPEG-2、そして音声フォーマットのDolby Digitalと比較するとWindows Media 9のコンテンツサイズや配信時に必要な帯域は、映像で1/2〜1/4、音声で2/3〜1/2。ADSLでも、DVD並みか、それ以上の品質をもったマルチメディアコンテンツの配信が可能になるはずだ。米Microsoftが公開しているデータは下記の通り。

ビデオデータ標準サイズ(MPEG-2)WMV Proの場合
480/24p(720×480ピクセル/24fps)4〜6Mbps1.3〜2Mbps
480/30i(720×480ピクセル/24fps)6〜8Mbps2〜4Mbps
720/24p(1280×720ピクセル/24fps)19Mbps5〜8Mbps
pはプログレッシブ、iはインターレース
オーディオデータ標準サイズWMA Pro
2ch×48KHz×20ビットDolby Digital 2.0(220Kbps)128Kbps
6ch×48KHz×20ビットDolby Digital 5.1(384Kbps)192〜256Kbps
6ch×48KHz×24ビットDTS 5.1(1,536Kbps)768Kbps

光ケーブルではダメ?

 既に、PCでDolby Digital 5.1ch再生環境を構築している人も多いことだろう。今やノートPCでもデジタル出力(主に光)を利用することでDVDビデオの5.1ch再生が可能であり、光ケーブル1本でPCと接続するだけで、手軽に5.1ch再生を可能にするアンプ(ドルビーデジタルデコーダー内蔵)やスピーカーキットが多く販売されている。デスクトップPCでも、デジタル出力(光、または同軸)でアンプと接続する形が主流だ。

 しかし、残念ながらWindows Media 9のマルチチャンネル再生は、光や同軸ケーブルでのデジタル接続では行えない。DVDビデオ5.1ch再生の場合、記録された音声のデジタルデータをそのままアンプへ送り出し、アンプ側で5.1chの音声信号へデコードしているからだ。デジタル入力が可能なアンプのほとんどはPCMの2ch、もしくはDolby Digital 2/5.1chのデコード機能しか備えていない。

 デジタル接続でも、方法論としてはWindows Media 9の5.1ch音声をDolby Digital の5.1chのデジタルデータに変換して送り出せば良いことになる。しかし、これはライセンスの絡みもあって非現実的だ。米Dolbyのライセンス料金が決して安くないのは有名な話。そしてDolby Digitalの場合、エンコードにもデコードにもライセンス料金が発生する。

 では、どのような環境ならWindows Media 9の5.1chは再生できるのだろうか。Windows Media 9の場合、5.1ch分の音声データはPC上のソフトウェアでデコードし、これを音声信号としてすべてアンプへ送り出す必要がある。これをサポートするのは、5.1ch分のアナログ出力を持つサウンド機能(オンボードサウンド、サウンドカード)、もしくはマルチチャンネルをサポートするUSB接続のサウンドユニットだ(これらの条件を満たすだけでなく、Windows Media 9のマルチチャンネル再生に対応した製品であることが原則だ)。また、Windows Media 9のサポートの問題から、OSもWindows XPに限定される点に注意したい。

 次回からは、主にWindows Media 9に対応したUSB接続のサウンドユニットをレビューしていく。これらの製品は、USBケーブル1本で接続するだけでDVDビデオもWindows Media 9のコンテンツも5.1chで再生可能。この手軽さは、今後PCでマルチチャンネル再生を楽しむときの主流となる可能性が高いのだ。

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次回から3回にわたり、クリエイティブメディア、ヤマハ、オンキョーの5.1ch対応製品を取り上げる

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[坪山博貴,ITmedia]



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