リビング+:特集 2003/04/23 23:59:00 更新

特集:ブロードバンドで5.1chサラウンド
PCユーザーの定番、ゲーム対応度も高い「Sound Blaster Extigy LE」

今回、取り上げるのはクリエイティブメディアの「Sound Blaster Extigy LE」。同社の5.1chスピーカーシステム「Inspire 5.1 5200」と組み合わせて使ってみた。ピュアオーディオ指向というより、やはり映画やゲームで迫力のある音声を楽しみたい人に合わせた味付けだ

 古くからのPCユーザーなら“お馴染み”のサウンドユニットといえば、クリエイティブメディアの「Sound Blaster」シリーズ。音源チップのオンボード化が進み、デファクトスタンダードの座からは降りた形になったが、ゲームユーザーを中心にハイエンド志向のサウンドユニットとして人気を集めている。

 クリエイティブメディアは、Windows Media 9対応に積極的だ。正確にいえばマイクロソフトのパートナーとしてWindows Media 9をサポートしている。サウンドカードである「Sound Blaster Audigy」、「Live! 5.1」、外付けサウンドユニットである「Sound Blaster Extigy」シリーズが対応しており、組み合わせて利用できる5.1chスピーカーシステムも手がけている。

 今回、Windows Media 9マルチチャンネルオーディオ対応製品として取り上げるのは「Sound Blaster Extigy LE」。同社のUSB接続サウンドユニットとしては低価格な製品だが、出力用に6ch分の24bit/96KHz対応D/Aコンバータを採用し、LINE/MIC入力用のA/Dコンバータも24bit/96KHz対応と高音質指向だ。ただし、アンプを内蔵している訳ではないため、実際に音を出すにはアンプ+スピーカー、またはアンプ内蔵スピーカーが必要となる。

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「Sound Blaster Extigy LE」のパッケージに含まれるもの。価格は17,800円(実売15000円前後)

 上位製品となる「Sound Blaster Extigy」との違いは、Dolby Digitalデコーダーを搭載していない点だが、ドライバ側でソフトウェアデコードを実現しているため、DVDビデオの5.1ch再生も忠実に行える。また2チャンネルソースを5.1chで再生するCMSS、EAX(ゲームなどを中心に利用されている3DサウンドAPI)の機能として音場生成機能も持ち、劇場やライブハウスのような雰囲気を醸し出すことも可能だ。

 本製品が他社の外付けサウンドユニットと大きく異なるのは、「EAX Advanced HD」への対応だろう。外付けのサウンドユニットで、こうした3DサウンドAPIをサポートする製品は多くない。このため、ゲーム用にPCI接続のサウンドカード、CDやDVDビデオの再生用には高音質な外付けサウンドユニットと使い分けるといったヘビーユーザーもいるわけだが、本製品ならこういった使い分けの必要性もなくなるだろう。

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EAXのエフェクト機能で「Jazz Club」「Opera Hale」といった音場のエミュレーションができる。もちろんWindows Media 9のマルチオーディオ再生時にも有効

USBケーブル1本でPCと接続

 使い方は極めて簡単だ。PCとの接続はUSBケーブル1本のみでよく、ソフトウェアDVDプレーヤーでのDolby Digital 5.1ch再生もこれだけで行える。本体の前面では電源のON/OFF、ボリュームなどの基本操作しか行えないが、付属の赤外線リモコンでCDの再生や付属ソフトの操作など、多くの操作が行えるようになっている。

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「Sound Blaster Extigy LE」の前面。電源、ボリュームなどシンプルな構成だ
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背面。PCとの接続はUSBケーブル
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「Sound Blaster Extigy LE」のリモコン

 背面のスピーカー出力はちょっと変わっている。本機はステレオミニジャック3つで6chを出力する形になっており、同社のスピーカーシステム「Inspire」シリーズなどとは専用ケーブルでスマートに接続できる。もちろん、ステレオミニ-ピン×2といった市販のケーブルを用いれば、多くのアンプやスピーカーシステムと接続することが可能だ。

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Inspire 5.1 5200に付属の専用ケーブル。このようにPC内蔵の6chサウンド出力を利用する場合でも、色を合わせてケーブルを繋ぐだけでいい

Extigy、オンボードサウンド機能にマッチするスピーカー

 今回、Extigy LEと組み合わせて利用するために用意したのがアンプ内蔵の5.1chスピーカーシステムである「Inspire 5.1 5200」。ウーファー部に6チャンネルアンプを内蔵しているので、それ以外の5チャンネル分のスピーカー(同一のユニットを採用)はコンパクトに収まっている。マルチチャンネル音声では重要とされる音色の統一も特に気にする必要がなく、手軽に利用できる製品だ。

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「Inspire 5.1 5200」のパッケージ。価格はオープン(実売13000円前後)
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5本のスピーカーは同一のもの

 本製品は、Extigyに合わせるかのように6ch分の音声入力をステレオミニジャック×3で行う(ステレオミニプラグ×3を両端に備えた専用接続ケーブルが付属する)。このケーブルを利用すれば、Extigyや同社のサウンドカードとの接続が容易なうえ、オンボードサウンド機能のPCで6chアナログ出力が可能な場合でもスマートに接続できるだろう。今回評価用に準備したPCも6チャンネルアナログ出力が可能であったが、付属のケーブルでスマートに接続し、まったく問題なく5.1ch再生が可能だった。

 アンプ部を兼ねるウーファーユニットは、床置きを考慮してかワイヤードリモコンが付属する。電源を兼ねるボリューム、低音レベル、ヘッドフォンジャックを備えたものだ。

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付属のパワースイッチ付きワイヤードボリュームコントローラー。人間工学に基づいてデザインされているという

 ちょっと気になったのはスピーカーベース。スピーカーユニットをスピーカーベースにセットすると少し上向きになるようになっており、この角度は調整できない。センタースピーカー用に、1つだけわずかに下を向く角度になるスピーカーベースが付属しているが、たとえば高い位置にスピーカーを設置せざるを得ない人などは、なんらかの固定方法を考える必要がありそうだ。

Extigy LE+InspironでWMT9を体験

 Extigy LEを用いてWindows Media 9のマルチチャンネルオーディオを再生する場合、とくに難しい点はない。多くの製品がそうだが、「コントロールパネル」→「サウンドとオーディオデバイス」からスピーカーの設定で詳細設定を選択し、スピーカーの種類として「5.1サラウンドサウンドスピーカー」を選択すればいい。これでWindws Media Player 9を利用してマルチチャンネルオーディオ再生が可能になる。

 ただし、Windows Media 9マルチチャンネルオーディオ対応のドライバ(β版)によるアップデートが必要だ。クリエイティブメディアのWebサイトからの入手とインストールを忘れないようにしたい。

 Windows Media 9のコンテンツは、マイクロソフトのWebサイトでデモ用として公開されているサンプルを利用した。同ビットレート、2チャンネルでMP3でエンコードされたファイルも用意されており、比較しながら体験できるようになっている。

 気になる音質面だが、基本的にはボーカルの抜けも良いし、少々ボリュームを上げても高音部のキンキンした感じを受けないフラットなイメージ。繊細さに少々欠ける感じはするが、いかにもフルレンジスピーカーの音だ。低音部の再生をウーファーユニットに依存する製品にありがちな低音の切れの悪さは感じるが、気になるならBASS LEVELの調整で低音そのものを控えめにすると聴きやすくなる。

 ピュアオーディオ指向というよりは、やはり映画やゲームで迫力のある音声を楽しむ方向に振った味付けだ。それでもボーカルの抜けも良いため、一般的な音楽再生なら不満を感じるレベルではない。ただクラシックの再生に向いているかといわれると明らかに精細さが足りないし、重低音は出るが中低音が抜けているという印象は受けた。

 マルチチャンネル再生はどうだろうか。今回は2chで収録された同ビットレートのMP3と比較できたのだが、5.1chでは(当然だが)音の定位がハッキリし、音の情報量も格段に多く感じる。Windows Media 9の場合はMP3で2ch分のビットレートに6ch分の音声を詰め込んでいるわけだが、音質的な違いは感じなかった。5.1チャンネルでは常に音に包み込まれた印象であり、音質うんぬん以前に“聴いていて心地よい”というのが正直な感想だ。

 今回はサンプルがデモ用ということもあり、意図的に特定のチャンネルから音が聞こえるようになっているケースもあった。たとえば、ボーカルがリアからフロントに回りこむといった場合。このときも、中高音を受け持つユニットが統一されているため、違和感は感じない。これならサウンドエフェクトに凝った映画の再生なども“そつなく”こなすだろう。

 既に述べたが、Inspire 5.1 5200はマルチチャンネル再生をサポートするPCのオンボードサウンドと接続することも容易だ。今回検証用に用いたPCのオンボードサウンド機能(CMI9739+VIA3059)も6チャンネルのマルチチャンネル出力をサポートしていたので、比較のために検証を行ってみた。

 結果としては、Windows Media 9のマルチチャンネルオーディオ再生は問題なく行えた。ただし、2ch再生ではExtigy LEと比較して精細さに欠ける印象で、また5.1chでは音が全体に丸くなった印象を受けた。D/Aコンバータの出来の違いがマルチチャンネルになるとはっきりと出てしまうということだろう。ボリュームを上げると、無音時に明らかにランダムなノイズが混入していたが、Extigy LEではこのような症状はなく、無音はまさに無音。外付けサウンドユニットならではのメリットがうかがえる。

 Extigy LEは15,000円程度、Inspire 5.1 5200は12,000円程度の市場価格だ。両方を組み合わせても30,000円でお釣りがくるレベルでありながら、EAXをサポートしている点は、他メーカーの製品にはない魅力だ。ノートPCやコンパクトPCで、DVDやWindows Media 9、あるいはゲームの3Dサウンドを楽しみたいといったユーザーには、最適かつリーズナブルな組み合わせといえるのではないだろうか。

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[坪山博貴,ITmedia]



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