リビング+:特集 2003/04/24 23:59:00 更新

特集:ブロードバンドで5.1chサラウンド
プライベートシアターにぴったり、コンパクトサウンドシステム「CTS-20USB」

ヤマハの「CinemaStation mini CTS-20USB」は、PC周辺機器ではなく、AV機器という位置付けだ。しかしPCとの連携機能が豊富で、かつ導入も手軽。いかにもヤマハらしいフラットな音作りは映画に適したものだ

 ヤマハといえば、PCユーザーにはCD-RWドライブでお馴染みだが、マルチチャンネルオーディオの分野では草分け的なメーカーでもある。DSPを早い時期にオーディオ機器に投入し、年輩のAVフリークには世界初のサラウンドプロセッサーとなった「DSP-1」(1986年発売)などもまだ記憶に新しいのではないだろうか。

 そのヤマハから、Windows Media 9マルチチャンネルオーディオ対応機器として、PCペリフェラルのマルチメディアアンプ「SoundSt@tion RP-U200」、6chのスピーカーもセットとなったホームシアターシステム「CinemaStation mini CTS-20USB」が販売されている。今回は手軽さを重視してCTS-20USBを取り上げることにしたい。

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6chのスピーカーもセットとなったヤマハのホームシアターシステム「CTS-20USB」。価格はオープンだが、実売で30,000円程度

ヤマハ独自のASTも採用

 CTS-20USBは、同社のラインナップではPC周辺機器ではなく、AV機器にジャンル分けされる製品だ。ベースとなったのは「CinemaStation mini TSS-10」で、同一のスピーカーユニットが採用され、メインユニットもほぼ同一のきょう体が使われている。6ch分のアンプもメインユニットに統合されており、コンセントも1つで済む。サブウーファー部にアンプを内蔵するタイプに比べると、サブウーファーの設置の自由度が高いといえるだろう。

 ベースとなった「mini TSS-10」と比較した場合、追加された機能はUSBインタフェースとUSB接続のマルチチャンネル再生、音場生成機能である「Cinema DSP」だ。もちろんデジタル接続でDolby Digital AC-3、DTSといったDVDビデオの5.1ch再生にも対応している。

 付属のスピーカーは、左右のフロントとリア、そしてセンター用にコンパクトな同一ユニットが5つ、サブウーファーが1つ。各スピーカーは、スタンドと一体化されているが、底面のネジを緩めればスピーカーユニットの向きを上下に変えることができる。

 サブウーファーには、ヤマハ独自のAST(Active Servo Technology)が採用され、重低音再生が可能になっている。同社はサブウーファー部も「コンパクトサイズ」を謳っているが、PC向けに販売されている5.1chスピーカーセットと比較すると平均的なサイズだろう。ASTというと、AVフリークの人は極端にコンパクトサイズを想像するかもしれないのだが……。

DVDの5.1ch視聴には注意が必要

 PCとの接続はUSBケーブル1本でも済むが、この場合、本製品のDolby Digitalデコーダーは機能しない。ソフトウェアDVDプレーヤーでDVDの5.1chオーディオを楽しむ場合は、ソフトウェアデコード機能を利用するか、光ケーブルでデジタル接続する必要がある。PCやDVDドライブなどにバンドルされるソフトウェアDVDプレーヤーの多くは、Dolby Digital 5.1chのソフトウェアデコード機能が省略されているので注意が必要だ。

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アンプも内蔵するメインユニット(クリックで拡大)

 本製品はPCペリフェラルという位置付けではないものの、PCとの連携機能が充実している。USB接続時には、専用ユーティリティを利用してボリュームや入力切替のほか、電源のON/OFFもPCから操作できる。CINEMA DSP利用時の各種設定、イコライザーの設定なども可能で、自分好みの設定を保存しておくこともできる。

 リモコンはシンプルなデザイン。PCのソフトウェアを操作する機能は一切ないが、ボリュームのほか、各スピーカーの音量バランス調整などが簡単に行える。

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リモコンはシンプルなデザイン。
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入力切替、ボリューム。電源のON/OFF。CINEMA DSPモードの切替えといった操作はこのパネルから行う(メインユニットの前面パネルでも操作できる)。各スピーカーの音量を揃える際に利用するテストトーン発生や調整もマウス操作でOKだ

 深夜に利用することが多い人に便利なのが「サイレントシアター」と呼ばれる機能。一般的なヘッドフォンを接続し、5.1chオーディオを2chにダウンミックスして楽しめる。製品本来の目的を考えると相反する機能ではあるが、ドルビーヘッドフォン機能を持たないソフトウェアDVDプレーヤーを利用していたり、DVDプレーヤーを接続して利用する人には嬉しい機能だ。

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ダイナミックレンジの圧縮/伸張も可能。圧縮した場合は、音の大小の差を少なくでき、音量を絞っていて小さな音が聞き取りにくい、あるいは急激に大きな音が出て困るといった場合に利用できる

いかにもヤマハらしい味付け

 本製品はOS標準のUSBオーディオとして機能するため、接続すると自動でドライバが導入される。もちろん付属ユーティリティは別途インストールする必要はあるが、導入は極めて容易だ。なお、Windows Media 9のマルチチャンネルオーディオ再生を行うには、コントロールパネルの「サウンドとオーディオデバイス」で、スピーカーの種類を「5.1サウンドスピーカー」にしておく必要がある。

 Windows Media 9の試聴には、前回と同じマイクロソフトのサンプルを利用した。まず、音質は基本的に非常にフラットで映画の視聴に適した印象。「CinemaStation」という商品名にマッチしたものだ。いかにもヤマハらしいといえるだろう。

 ただ、サブウーファーが受け持つ低音との繋がりもいいのだが、あまりにフラットすぎてボーカルが前に出てこないという印象も受ける。これは2chの音楽再生時に顕著で、どうにも物足りなさを感じるケースがあった。CINEMA DSPやイコライザを利用すれば、BGM程度なら良い感じにマルチチャンネル再生されるので、好みの設定を見つけ出すといいだろう。

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エフェクトの基本ともいえるイコライザは7バンド。ジャンル別に複数がプリセットされ、任意の設定を保存することもできる
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DSPによるシミュレーションの設定変更も画面で確認しながら行える。「ライブハウスの最前列」といった設定も可能

 Windows Media 9のマルチチャンネル再生でも基本的な印象は変わらない。ただ2ch再生と比較すると臨場感が増すぶん、フラットさも和らぐ感じだ。音が回り込む場合のつながりも非常に良く、フラットさが良い方向に働いている。派手さには欠けるが、映画を楽しむにはいいのではないだろうか。

 無音状態でボリュームを上げていってもノイズの混入はほとんど感じない。この点は外付けサウンドユニットならではだ。

 前述の入力インタフェースの点でDVDとWindows Media 9のマルチチャンネル再生を両方楽しみたいといった場合には注意が必要だが、最近のPCはオンボードで光デジタル出力を備えていることも多い。入力切替の面倒さは残るものの、操作はPC上でも簡単に行えるから大きなデメリットにはならないはずだ。

 本製品は実売で30,000円程度と、かなりリーズナブル。設置の自由度も高く、フラットすぎる音質も映画を楽しむにはむしろ適切といえる。PCからの操作性も非常に良く、扱いが手軽なのも大きな魅力といえるだろう。

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