リビング+:ニュース 2003/04/25 21:46:00 更新


松下がTVにWebブラウザを付けた理由

松下電器産業は、インターネットを介してTVで生活情報などのコンテンツを閲覧できる「Tナビ」の説明会を開催した。また会場には、ホームネットワークステーションも参考展示された

 松下電器産業は、デジタルTV向けのコンテンツサービス「Tナビ」の説明会を開催した。Tナビは、イーサネットポートとHTMLブラウザを搭載した「デジタルT(タウ)」を使い、インターネットを介して生活情報などのコンテンツを閲覧できる独自サービス。TVメーカー各社が4月14日に設立した「デジタルテレビ情報化研究会」で検討している通信仕様を先取りしたものだ。

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Tナビ
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Tナビの概要。インターネット常時接続環境を前提としており、Tナビを利用するには別途ADSLやCATV、FTTHなどの契約が必要

 松下電器産業商品企画グループネットワーク企画担当参事の久保田順一氏は、Tナビ開発の背景には「ADSLなど常時接続環境の普及とデジタルTVの性能向上」があるという。Tナビに対応したのは、5月15日に発売するBS/110度CSデジタル対応ハイビジョンTV「デジタルT(タウ)」の新製品「TH-36D30T」(36型、35万円)と「TH-32D30T」(32型、29万円)の2機種。もともとBSデジタル放送のBMLブラウザを搭載している製品ラインだが、これにHTMLベースのTナビブラウザを加えても、デジタルTV向けの1チップCPUで処理が行えるという。

 つまりTナビのHTMLブラウザは、デジタルTVの持つ能力を活かし、コストアップを伴わずに加えられた付加価値といえる。機能だけをみると、かつて失敗した“インターネットTV”を彷彿とさせるが、x86ベースのPC基板をそのまま内蔵していた時代とはかかるコストが違うようだ(昨年10月の記事を参照)。

 「Tナビ対応の2機種は、ベースとなった従来モデル(D30シリーズ)の発売当時よりも1万円安い価格設定になっている」(久保田氏)。

 また、TVやコンテンツ(後述)の進歩も著しい。HTMLベースで記述されたTナビコンテンツは、16:9のワイド画面に合わせ、800(横)×450(縦)ピクセルの解像度。JPEGやGIFなどの静止画表示に対応するほか、デジタルTに装備されたSDカードスロットを利用してファイルをダウンロードすることも可能だ。

 「家庭の中でもっとも馴染み深いテレビを通じ、便利で楽しい生活情報を提供する。放送にネットワークサービスを加え、デジタルテレビの魅力を拡大できるだろう」(松下)。

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松下電器産業商品企画グループネットワーク企画担当参事の久保田順一氏(左)とサービス・コンテンツ アグリゲーション推進室Tナビサービスグループの大野誠一マネージャー(右)

 年末には一部地域で地上デジタル放送が開始される。TVの買い控えも懸念される時期だけに、コストアップを伴わない付加価値は大きな武器になるはずだ。デジタルテレビ情報化研究会でも、10月を目標にデジタルTV向け通信仕様策定を進めているが、こちらは4月から技術ワーキンググループが動き出したばかり。

 「Tナビと(標準仕様)はそれほど違いのないものになる見込みだ。仕様が決まれば、あとからソフトウェアダウンロードなどで対応する」(松下電器産業サービス・コンテンツアグリゲーション推進室Tナビサービスグループの大野誠一マネージャー)。

 同社では、地上デジタル放送の開始に合わせる形で、今年秋以降には液晶などのフラットTVにもTナビ対応モデルをラインアップする計画だ。「今後は、当社製デジタルTVの標準機能にしたい」(久保田氏)。

ボタン一発でポータルへ直行

 Tナビの特徴は、非PCユーザーでも扱えるインタフェースと「便利で役立つ生活情報サービス」。リモコンの「T navi」ボタン一発でポータルサイトに接続。ここから好みのコンテンツを選択する。URLを直接入力する機能も持っているが、PC向けのWebサイトは、縦横比などの関係で正常に表示できないことがある。

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リモコンから「T navi」ボタン(画面中央)1つでポータルサイトに接続できる。サイト上の操作は十字キーと「決定」ボタンで行う
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Tナビのポータルサイト

 TVの購入者はポータルサイトを無料で利用できるが、コンテンツのなかには別途料金が必要なものもある。「SSL、Cookieといった基本的なWebブラウザの機能は搭載した。フラッシュやストリーミングなどの動画を扱うことはできないが、課金モデルには対応している」(大野氏)。

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デジタルTの前面にはSDカードスロットを搭載

 コンテンツは、ぴあの映画・レジャー情報、夢の街創造委員会の料理の宅配仲介「出前館」、大日本印刷の折り込みチラシ閲覧サービス「オリコミーオ!」、地図閲覧サービスや乗換案内など。5月15日のサービス開始当初は約20のコンテンツが用意されるほか、合計36社がコンテンツの提供を予定している(コンテンツ一覧はこちらを参照)。

ホームネットワークステーションも参考展示

 説明会の会場には、松下が「夏になる前に投入したい」という「ホームネットワークステーション」も参考展示されていた。こちらは、IEEE 802.11b準拠の無線ルータだ。TVとADSLモデムが離れた場所に設置されている場合などに利用できるほか、同社のWebカメラと組み合わせてホームセキュリティ用途への展開も検討しているという。価格は未定だ。

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「ホームネットワークステーション」。背面には4つの有線LANポートも搭載
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アダプタも用意。イーサネットケーブルでTVと接続する
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接続図

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関連リンク
▼松下電器産業
▼Tナビ
▼ARIB(社団法人電波産業会)

[芹澤隆徳,ITmedia]



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