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2003/05/12 20:23:00 更新 |
CRLとアッカ、“快適モバイル”目指してシームレスアクセス実験
通信総合研究所とアッカ・ネットワークスは、快適なモバイル環境を目指して「シームレスアクセス技術」の実証実験を開始する。専用クライアントをノートPCに導入しておけば、無線LANやPHSなど、その時使える通信手段を自動的に判別し、設定を切り替えてくれるというもの
独立法人通信総合研究所(CRL)とアッカ・ネットワークスは、「モバイル環境におけるシームレスアクセス技術」の共同研究を開始した。無線LANやPHSなど各種通信ネットワークを自動的に切り替えるソフトウェアを開発。100人の一般モニターを募集し、検証実験を行う。
実験は、CRL横須賀通信研究センターが研究中の異種無線システム間シームレスアクセス基盤技術「MIRAI」(Multimedia Integrated network by Radio Access Innovarion)を一部先取りしたもの。CRLが開発中の専用クライアントソフトウェアを使うと、通信アプリケーション利用時に、接続できるアクセス手段を自動的に判別し、設定を切り替えてくれる。
「家庭ではADSLと無線LANを利用したインターネット接続、街中では公衆無線LAN、無線LANが使えない環境ではPHS接続など、環境に応じたアクセス手段の切り替えを簡易化する。ユーザーがいちいち設定を切り替える必要はない」(CRL)。
接続手段の優先順位は、ユーザーがあらかじめ設定しておく。例えば、“有線LAN-無線LAN-PHS”という順序に設定すると、有線LANポートが使用できる状態であれば、まず有線LANに接続するが、有線LANポートが使えなければ無線LANの状況を確認するといった具合だ。
また、無線LANのなかでも、ホットスポット(公衆無線LAN)、自宅の無線LAN、会社の無線LANなどアクセスポイントごとの設定が行える。ユーザーの好みにより、「料金優先」や「速度優先」といった優先順位を決めることも可能だ。
無線LANセットを無償貸与
今回の実験にあたり、アッカでは同社のADSLユーザーの中から100人のモニターを募集する。条件は、関東圏に住むアッカ/OCNユーザーで、Windows XPを搭載したノートPCとPHSを所有していること。参加者には、無線LANアクセスポイントおよびUSB接続の無線LANカード、そしてUSB接続の無線LANアダプタ(いずれもメルコ製)が無償貸与される。
機材は貸し出しだが、実験終了後にアンケートを提出すると、USB接続の無線LANアダプタ(WLI-USB-KS11G)がプレゼントされる
モニターの募集開始は5月12日より。専用Webサイト(http://www.seamless.jp/で受け付けを行う。実験期間は6月23日から8月8日までの1カ月半を予定している。
なお、今回の実験は、あくまでも“再接続”の手順を簡略化するもので、Mobile IPのように“通信を維持しながらアクセス手段を切り替える”技術は含まれていない。
「MIRAIの研究テーマには、通信を維持したまま異なる無線ネットワークへ切り替える技術開発も含まれているが、これを実現するには、サーバの設置などネットワーク側に手を入れる必要がある。具体的なスケジュールは決まっていないが、できれば今年度中にはそちらの実験も行いたい」(CRL)。
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モバイル環境におけるシームレスアクセス技術研究
独立行政法人通信総合研究所
アッカ・ネットワークス
[芹澤隆徳,ITmedia]