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2003/06/20 21:21:00 更新

Yahoo！BB、資金調達に伴う「規約改定」の意味

ソフトバンクBBは6月24日付けで、「接続機器レンタル規約」の一部を改定する。これに伴い、ユーザーの個人情報の扱い方に変化があるなどして、一部の会員から不安の声が上がっているようだ。

　ソフトバンクBBは6月24日付けで、Yahoo！BBの「接続機器レンタル規約」の一部を改定する。これに伴い、ユーザーの個人情報の扱い方に変化があるなどして、一部の会員から不安の声が上がっているようだ。

　規約改定のポイントはどこなのか、そしてそれがエンドユーザーに何をもたらすのか、ソフトバンクBB広報に質問した。

改定のポイントと、ユーザーの不安

　今回の規約改定で、ポイントになるのは2つ。1つが、これまで規約上明確になっていなかった、無線LANカードなどの取り扱いを明確にした点だ。

　もう一点が、同社が“契約上の地位”を譲渡する可能性が生じたことに伴い、その手続きの詳細を定めたこと。契約上の地位の譲渡とは、同社が発表した新たなファイナンススキームに関わる手続きを指す。同社は既に、資産を流動化して投資家からの資金調達を行うことを表明している。これに伴い、モデム、およびモデムに付随するレンタル契約を特定会社に譲渡することが明らかにされている（記事参照）。

　エンドユーザーが興味を持つのは、後者だろう。ありていにいえば、自分の宅内にあるモデムに関して、権利関係が変更されることになる。規約を読むと、第11条（譲渡等）の項目に、「レンタル契約の当社の契約上の地位を、接続機器の所有権とともに第三者に譲渡することができます」という文章が追加されている。

　さらに、ユーザーの不安をあおるような文言も追加された。第10条（個人情報の保護等）には、本人以外の第3者に個人情報を開示、漏洩しないことが定められているが、その例外となる場合として以下のようなケースが追加された。

　「接続機器およびレンタル契約の証券化・流動化、またはこれらを利用したその他の資金調達に伴い、（中略）個人情報を適切に管理するよう、契約等により義務づけた取引当事者に対し、個人情報を提供する」。

　このため「モデム所有権と一緒に、個人情報までもが取引事業者に渡されるのか」と、不安になるユーザーも出るだろう。中にはこれを“会員情報を売って資金調達を行うのか”と受けとめるユーザーも現われ、特定の掲示板で、同社を非難する声が相次ぐなどした。

　この点について、ソフトバンクBB広報は「限られた事業者に、限られたかたちでしか個人情報は提供されない」と、事態の沈静化に務めている。

ファイナンススキームとは

　規約改定の実態を知るには、同社の発表したファイナンススキームを知る必要がある。この内容は、現在Web上で公開されている。

　ファイナンススキームでは、まず特別目的会社（Special Purpose Company：以下SPC）が主体となり、複数の投資家から融資、および匿名組合の形態で資金を調達する。資金規模は、全体として191億円程度を想定している。そのうち、ヤフーも58億円程度の融資を行う。

　SPCは、ソフトバンクBBからモデムおよびモデムに付随するレンタル契約（これを「原資産」とする）の譲渡を受けて、投資家から調達した資金を対価として支払う。また、SPCはレンタル料収入のかたちで原資産から生み出されるキャッシュフローを、元本・利息および配当のかたちで投資家に還流する。

　先ほど、ソフトバンクBB広報が述べた「限られた事業者」とは、つまりはこのSPCを指す。投資家との間に立ってファイナンススキームを成立させる事業者であり、これ以外には“契約上の地位の譲渡、および個人情報の提供”が行われない。

　つまり、投資家が資金を提供する見返りに、ユーザープロファイルを入手するようなことはないわけだ。このあたりは、一般のユーザーには見えにくいところだろう。

　ソフトバンクBB広報は、個人情報をSPCに提供する理由を、「あくまでモデム端末と、利用ユーザーをマッチングさせて管理するため」と説明する。

　「提供するのは、氏名、住所、電話番号、サービス利用状況など。情報の取り扱いには、機密保持契約を結ぶ」。サービス利用状況は、ユーザーデータとモデム端末の利用状況を照合するのに利用する。クレジットカードの番号などが、流出することはないという。

　話を聞いていて感じたのは、広報部がユーザーの反応にとまどっていること。おそらく、ユーザーの個人情報の取り扱いに対する意識の高さを、再認識させられる結果になったのではないだろうか。なお、この件に関する個々のユーザーへの告知は、7月中に行われる予定だという。

関連リンク
規約改定の告知
ファイナンススキームの告知（PDFファイル）

[杉浦正武，ITmedia]

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