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2003/07/07 22:08:00 更新 |
NTTに対抗? 〜政治色帯びるブロードバンド推進協議会
ブロードバンド市場の発展を目指す業界団体「ブロードバンド推進協議会」の設立総会が、都内で行われた。さまざまな活動を行う見込みだが、特に“政策提言を行うこと”が強調されていた。
7月7日、ブロードバンド市場の発展を目指す業界団体「ブロードバンド推進協議会」の設立総会が、都内で行われた。同協議会は、ソフトバンクBBの孫正義社長が発起人代表を務める団体(記事参照)。総会では、同氏が賛成多数で議長に選任された。
協議会議長に選出された孫氏
同団体は今後、ブロードバンド事業に関連した市場、制度などの調査、研究を行う予定。7月中をめどにメーリングリストサーバの運用を開始し、関係者の情報交換などを開始する。総会で示された設立時のメンバーは、下のとおり。
- Ambit Microsystems
- イーコスモス
- SSIトリスター
- TOKAI
- アジアングルーヴ
- グローブスパン・ビラータ・ジャパン
- ケーブル・アンド・ワイヤレスIDC
- システムインフィニティ
- 小学館
- ソネット
- ソフトバンクBB
- ソフトバンクテクノロジー
- ソフトバンク・ブロードメディア
- ティムス
- 長野県共同電算
- 日本コムシス
- パラダイン・ワールドワイド・コーポレーション
- プリンストンテクノロジー
- マクロメディア
- 三菱電機
- ヤフー
- ユーティースターコムジャパン
- レッドスター
(50音順、ほかに非公開ながら23社が内定)
「政策提言」を強調
参加企業は、ネット上のセキュリティ問題やコンテンツの著作権問題などを話し合うなど、さまざまな活動を行う見込み。ただし、総会では特に“政策提言を行うこと”が強調されていた。
議長の孫氏は、先週韓国でブロードバンドの進捗状況、および政府の取り組みを視察してきたと話す。
「韓国に行って、大統領(盧武鉉氏)に15分間会いたい、と言うと、『ダメだ』といわれた。『15分じゃダメで、1時間にしてくれ』という。それで、1対1で話し合い、ブロードバンド教育に関して政策提言してきた」。
同氏は韓国の印象として、政府と民間企業が一体となって、ブロードバンドインフラの普及を推し進めているとコメント。盧武鉉大統領は、ネットを活用する市民、いわゆる“ネチズン”たちが押し上げた世界で最初の大統領だ、との見方を示した。
翻って日本では、そもそも選挙活動でブロードバンドを利用できないなど、政府の対応が遅れている、と孫氏は指摘する。協議会で技術の議論に、法改正や教育といった政府を巻き込んだ議論を加え、社会的なIT基盤を整備すべきだとした。
NTTの政治力に対抗?
会場には、前回の準備会に引き続いて、民主党の島聡議員、自民党の岩屋毅議員など、通信行政に造詣の深い議員が複数参加した。
島議員は、先日参議院で附帯決議案が行われ、NTTの光ファイバー網の扱いが見直される可能性があることに触れながら(記事参照)、こうした動きは通信の自由化の流れに逆行すると糾弾する。NTTの市場独占を許すべきではなく、協議会に参加する企業が自由競争を行う社会が望ましいとした。
記念講演では、甲南大学経済学部の佐藤治正教授が登壇。通信業界の水平分離の妥当性を説きながら、協議会を応援する姿勢を示した。
孫議長は、閉会にあたり「我々の小さな声は、これまで雲の上には届かなかった。しかし今日は、雲の上の住人も参加してくれているし、学者も理論武装してくれる」と満足げ。団体としての発言力を高めて、ブロードバンド業界の発展につなげたい考えを明らかにした。
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ソフトバンクBB
[杉浦正武,ITmedia]