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2003/07/24 23:59:00 更新 |
ケーブルテレビ2003
もう一息? 〜CATV事業者が期待を寄せる「CAS」
ケーブルテレビ事業者が期待するCAS(Conditional Access System)は、本格運用まで道のり半ばといったところのようだ。日本ケーブルキャスセンター副理事長の、高橋伸隆氏が現状を説明した。
ケーブルテレビ事業者が期待する「CAS」(Conditional Access System)は、本格運用まで道のり半ばといったところのようだ。
ケーブルテレビ2003の分科会では、日本ケーブルキャスセンター副理事長の、高橋伸隆氏が登壇。「いよいよ始まるケーブルCAS事業!」と銘打った講演を行い、国内のCASの現状を説明した。
B-CASだけでは不都合……、C-CASの整備へ
CASとは、日本語でいうと「限定受信システム」。特定の視聴者だけが放送を受信でき、ほかの視聴者はスクランブルのため受信できないようにするシステムを指す。具体的には、受信機器にICカードを搭載し、このICカードを通じて顧客管理、課金管理を行う。
CASが運用できれば、事業者はユーザーの視聴制御が可能になる。PPV(ペイパービュー)の有料放送を展開できるほか、加入者を特定しての双方向サービスにも利用できるなど、メリットは大きい。
BSデジタル放送では既に、“B-CAS”(BSデジタル向けのCAS)対応カードが発行されており、その累計枚数は2003年5月時点で17万6273枚におよぶ。しかし、やはり「B-CASだけでは不都合がある」(高橋氏)として、ケーブル事業者向けの“C-CAS”整備に向け、業界が動いている。
2002年10月には、日本ケーブルキャスセンター(JCCC)が設立され、「業界全体が1つにまとまる」ことをうたい、活動を展開している。「C-CASがなければ、個々のケーブル事業者がバックエンド設備の各種管理機能に、非常にコストがかかる。また、標準化ができないと業界の統一行動がとれないし、互換性も確保できない」(同)。
詳細は詰められていない?
C-CASを実際に管理するのは、JCCCの役割となる。CATV事業者とカードベンダーの間に、JCCCが介在してカードの発注、納入を行うかたち。理由は、「CASカードを低価格に抑えるには、ある程度のロット数を注文する必要があるため」(同)だ。
CASの運用にあたっては、SMS(Subscriber Management System:顧客管理システム)の整備も重要となる。これは、CATV局ごとの番組情報を登録、管理するとともに、ICカードごとに割り振られた視聴契約情報を管理するシステム。SMSが稼動して、初めてCASは意味を持つといえるだろう。
もっとも、C-CASをとりまく環境は、未整備な部分も残されている。たとえば、現在CASカードベンダーは3社あるが、それぞれの仕様が統一されていない――というのが、課題の1つ。もちろん、これらは互換性が保たれることが望ましい。
また、CASを管理するマスターキーの扱いには、厳重な注意が必要となるが「この部分の詳細が、まだ詰められていない」(同)のも問題視されているようだ。
現状では、JCCCは前述のB-CASカードしか取り扱っていない。しかし、デジタル化社会では、CASを用いたコンテンツ保護が重要性を増しつつある。またCATV事業者が志向する、「地域密着型」のサービスを提供するためにも、CASを利用した加入者個別のフォローは欠かせない。高橋氏は、「今後は世間で期待されるRF IDタグとの連携も視野にいれつつ、CASの整備を進める」と話した。
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日本ケーブルキャスセンター
[杉浦正武,ITmedia]