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2003/08/08 23:59:00 更新 |
特集:魅惑のビデオチャット・ワールド
出会い系チャットの現場へ潜入
世間には、ビデオチャットの向こうにいる女の子と“有料トーク”を楽しむようなサービスも存在する。サービスの実態と、カメラの向こうの彼女達に迫った。
世間には、ビデオチャットの向こうにいる女の子たちと、料金を払って会話を楽しむサービスも存在する。このテのサイトは往々にしてアダルトサイトなのだが、どのような運営体制になっているのか、興味深いところだ。
今回、「2TV」を運営するリアルボイスのCEO、川原敏氏に直接話を聞いた。同サイトは入室時に18歳以上/未満を問われるが、川原氏はアダルトではなく、“出会い系・いやし系”だと、その路線を説明する。女性との会話はポイント制で、1分2ポイントが必要。なお、1ポイントは100円にあたる。
同社は2TVと同様のシステムを、ほかのサイト向けに提供している。「0874.tv」などがそれだ。なお、システム提供サイトは増加中という
2TVにアクセスすると、まず画面上に女性の顔が複数並ぶ。男性ユーザーは、この女性陣の中から会話したい女性を“指名”して、会話するというわけだ。無料期間なども定められており、ユーザーは気の合う女性を選んで有料チャットを行う。
女性陣は、あらかじめサイトに登録済みのメンバー。彼女たちはみな、思い思いの時間にアクセスするため、ユーザーが望む時間に必ずしも会えるとは限らない。
会話は、女性が映像つき、こちらはテキストチャットで行う。もちろん、ユーザーがビデオカメラを取り付ければ、1対1でビデオチャットを行うことも可能。「最近は、男性で顔を出す人も増えてきた」(川原氏)。
チャットの内容は、当然ながら自由。「女の子には、アダルトは禁止だといっている」と川原氏は話すものの、中にはバドワイザーのコスプレをしてチャットに臨むような女性もいるとのこと。顔を半分しか映そうとせず、仲良くなってから初めて顔を見せるような女性もいるという。
ユーザーが満足すれば、女性にチップを渡すこともできる(画面は、2TVのサイトより抜粋)
昼でもチャットは行われる
川原氏によると、サイトへのアクセスは昼夜を問わずあるという。
「朝9時から夜20時まで、さほどアクセスが落ち込む時間帯はない。21時から24時にかけてピークがくるが、それ以外の時間と特別差があるという印象ではない」。
昼間からビデオチャットを行うユーザーというと、やはり“社会的ひきこもり”が多いのかとも想像される。ただし、川原氏は案外、サラリーマンの利用も多いのだと指摘する。
「自由時間があるのだろうか、会社員が会社からコッソリアクセスしている」。男性側の映像を見ると、意外にネクタイ姿が多いのだそうだ。
サービスを多く利用するユーザーとなると、1日5時間ほどまとめて話すこともあるという。月に数十時間話すユーザーもいて、同社も驚くほどだという。
女性はどういった待遇か
女性側は、どのような待遇なのだろうか。同社ではサイトを用意して、ビデオチャットに登場する女性を募集している。在宅でできる、時間の制限がないバイト……といった感覚のようだ。
川原氏によると、メールなどで1日に30から50件の問い合わせがあり、そこから面接、身分照会などを経て採用にいたるという。その後は、女性が自宅で好きに働けばいい。ひまな時間ができたときに、ビデオチャットソフトを起動して“働く”わけだ。「長期間、休んだ後でまた思い出したようにサイトに積極的に登場する子もいる」(同)。
女性は、サイトにアクセスしているだけでは収入に直結しない。男性とチャットすることで、その時間分のバイト料が手に入るわけだ。したがって、話術を磨き長時間、男性と話すよう努力することになる。
「登録しにくる女性はみな、もともとチャットコミュニケーションに慣れている。男性ユーザーが話術で盛り上げる場合もあって、それによって会話の幅が広がるケースもある」。
特定の男性ユーザーと仲良くなれば、そのユーザーが“固定客”となる。こうなると、男性も独占欲が出てきて、ほかの男性と話させないように長時間チャットをしたりするのだという。
ちなみに、自宅にブロードバンド環境がない女性は、用意された施設のブース内でチャットを行うこともある
“おとなしい系”が人気?
2TVでは、どういった女性が人気を集めているのだろうか。やはり性的な魅力の高い女性かと思いきや、意外に人気があるのは“おとなしい系”だという。
「サイトには衣装などが派手な子もいるが、アクセスが集中するのは普通の子や、おとなしい子。ほかに、50代の女性なども人気がある」。
比較的年齢の高い女性が人気の理由は、その包容力にあるという。たとえばユーザーが、世間的に珍しい趣味や嗜好を持っていた場合、若い女性はどうしても嫌悪の表情を示す場合がある。しかし、人生経験を積んだ女性となると、それを許容できる場合が多いようだ。
もっとも、若くて人気を集める女性もいて、一概にはいえないという。各ユーザーが、自分だけのオンリーワンを指名するという状況のようだ。
……ちなみに、彼女達の月収はいくらぐらいになるのか? 川原氏は、「一番稼いでいる子で、最高50万円ぐらい」と話した。
さらに進んだ「男のチャットサービス」も
川原氏は今後の展開として、従来とは逆に“男性が選ばれる”サービスも提供したいという。
事前に女性にアンケートをとったところ、男性版サービスがあれば利用したいとのニーズが確認できたという。「2枚目もいいが、お笑い系、3枚目と話をしたいという声が多い。意外なのは、『海外に住んでいる日本人』としゃべりたいという意見もあった」。
男性版では女性版と異なり、各人が個人放送局を運営する、というイメージになるという。つまり、ビデオチャットに登場する男性はリアルボイス側に月々3万円を払い、サイト上の権利を買う。これにより自分のチャットルームを公開して、女性ユーザーを集める――と、いう仕組みだ。
リアルボイス側は、集めた権利費を活用してサイトの宣伝活動を行い、積極的に集客する。あとは、男性の力量に応じて収入がもたらされるという。川原氏は、たとえば手品を披露するなり、話芸を披露するなり、さまざまなサービス提供が考えられると話す。
「女性から指名を受けて、ステージに立つ。これは男の夢でしょう(笑)」。
出会い系チャットに規制はあるか? |
本稿で紹介したようなビデオチャットサービスは、法的にどういった規制があるのだろうか? 風俗営業法では、オンラインで提供されるアダルトコンテンツを「無店舗型性風俗特殊営業」の「映像配信型」として分類している。したがって、アダルトチャットを提供する事業者は、自社サービスを上記のとおり公安委員会に届け出する必要がある。 しかし、性風俗ではなく“男女の出会い”となると、せいぜい第2種通信事業者としての扱いになる程度で、特に対応する法律はないようだ。
「警察に聞いても、われわれも分からないと言われた」(川原氏)。ほかの事業者に聞いても、同様のコメントが返ってきた。こうした分野の法整備は、今後に残された課題ともいえそうだ。 |
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魅惑のビデオチャット・ワールド 4/4 |
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[新崎幸夫,ITmedia]