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2003/08/07 23:59:00 更新 |
特集:魅惑のビデオチャット・ワールド
チャット+αで“一攫千金”狙うニフティ
ビデオチャットは、さまざまに活用可能なアプリケーションだ。単なる“通話サービス”でなく、付加価値を持った“複合型サービス”として提供することもできる。ニフティに聞いた。
ビデオチャットは、さまざまに活用可能なアプリケーションだ。単なるIPテレビ電話としての“通話サービス”でなく、付加価値を持った“複合型サービス”として、エンドユーザーに提供することもできる。
ニフティは、後者の路線で成功を目指すISPの1つ。同社は、昨年5月からP2P型のビデオチャットサービス「Eyeball パティオ」を開始している(記事参照)。その後、随時機能を強化しており、先日はP2P型ではなくサーバ型で多人数同時接続を行う、新サービスが発表されたばかりだ(関連記事その1、その2)。
同社のこれまでの手ごたえと、今後の展開を、サービス事業部コミュニティ部の、谷津伸二課長に聞いた。
バカ殿の格好をしたユーザーもいるが……
Eyeballパティオは、カナダのビデオソフト開発メーカーEyeball Networkの技術をベースに、ニフティとプロハウスが共同開発したもの。月額料金は300円で、ユーザーはあらかじめ「パティオネーム」と呼ばれるログインネームを登録し、チャットに参加する。
本特集で既に紹介したYahoo!チャットと同様、ユーザーはチャットルームに入って、見知らぬユーザーと会話を楽しめる。
「中には(個性が)“濃い”ユーザーもいて、『何日の何時にみんなで仮装大会をやろう!』などと自発的にイベントを仕掛けている。見ると、参加者はバカ殿など、思い思いの格好をしている」(谷津氏)。
ほかにも、声帯の手術を行ったユーザーが見知らぬ人間とのコミュニケーションを楽しんだりと、多様な楽しみ方をされている様子。谷津氏は、「使っているユーザーからは、『楽しい』『便利』との声をよく聞く」と、胸をはる。
もっとも、やはり一番多い利用は「家族での会話」。ユーザーの利用形態を見ると、複数人で申し合わせて一度にIDを取得し、特定の相手同士で話すケースが目に付くという。
「アンケートの結果を見ても、家族での利用が一番多い。もう少し見知らぬ人との会話も楽しむかと思ったが……」。やはり、掲示板などに顔をさらして「誰かしゃべってください」と積極的にコミュニケーションを図るユーザーは、「長続きしない」(同)傾向があるそうだ。(関連記事→韓国の場合参照)。
アイドルで盛り上げろ
こうした状況下で、ニフティはビデオチャットの楽しさを知ってもらうべく、さまざまな取り組みを行っている。たとえば、アイドルとチャットを行うイベントなども、その1つ。
同社は6月から、レースクイーンやアイドル、タレントとテレビ電話を楽しめるイベントを展開している(記事参照)。同種の試みはほかの事業者も行っているが、ニフティの場合は頻度が高い。
谷津氏は、妙に名前の売れたアイドルを呼ぶより、トークができる女性を用意したほうがユーザーに受けがいいと話す。
「慣れた子になると、ハイ、あなたは十分しゃべったから、次はあなたね、と上手にしきってくれている」。ちなみに、この時ばかりはユーザーもみな“顔出し”で臨むのだそうだ。
似たサービスでは8月10日に、サーバ型通信タイプのEyballパティオで、アイドルと花火を見るサービスも提供する。ユーザーは、画面上に複数開いたウィンドウのうち、1画面で花火を、別の画面で現場にいるアイドルを視聴できるという趣向。単純に花火を楽しみたいユーザーにとっては、やや画質が劣る側面もあるが、ゲストと一体となってライブ中継を楽しめるわけだ。
サーバ型のサービスも追加した(画面はイメージ図)
そのほか、いろいろ狙ってます
同社はほかにも、コンテンツプロバイダと提携してビデオチャット関連サービスを提供する予定。谷津氏によれば、有望なのは英会話だという。
「弊社のコンテンツで、成功したのがイングリッシュタウンだ。具体的な額はいえないが、売上はほかと桁違いにいい」。同サービスは、ボイスチャットで外国人講師との英会話を体験できるというもの。ビデオチャットでも、同様の成功をぜひ、というのは自然な流れだろう。
また、同氏が期待するジャンルとして挙げたのが、「占い」や「お見合い」など。後者は、いわゆる出会い系サービスではなく、厳密な身分照会を経た上での男女の付き合いをサポートするサービスだという。現在、こうしたサービスを実現すべく、コンテンツプロバイダと話し合いを進めている段階のようだ。
ビデオチャットは、それだけで収益性の高いビジネスになれば一番いいが、現状ではなかなか難しい。これは、事業者としても認めざるをえないところだろう。しかしそれならばと、「一攫千金を狙って、あれこれやっている(笑)」――というのが、ニフティの基本姿勢。次世代のブロードバンドコミュニケーションは、こうした中から誕生してくるのかもしれない。
関連記事
ニフティ、P2P型のビデオチャットサービス開始
毎週火・水はEyeballパティオでレースクイーンやアイドルとTV電話
今度の日曜は「東京湾大花火祭」〜@niftyが完全ライブ中継
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Eyeballパティオ
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魅惑のビデオチャット・ワールド 3/4 |
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[杉浦正武,ITmedia]