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2003/09/11 23:55:00 更新 |
松下がΣBookで考える“ホームネットワーク戦略”とは
ΣBookは、ある意味“割り切った端末”だ。イーブックコンテンツを表示させるだけで、PIM機能も、通信機能も持たない。だが、ネットワーク家電と連動させることで、可能性を広げることができるようだ。
ΣBookは、ある意味“割り切った端末”だ。機能といえば、イーブックコンテンツを表示させるだけ。PIM機能も、通信機能も持たず、ユーザーの操作はページ送りと「しおりを挟む」ぐらいに限られている(記事参照)。だが、同端末をネットワーク家電と連動させることで、その可能性はさらに広がるようだ。
9月11日、インプレス主催の「電子書籍ビジネスセミナー」で、松下電器産業のパナソニックシステムソリューションズ社、eソリューション本部 eシステム開発グループの早川佳宏グループマネージャーが登場。同社の考える「イーブックの未来像」を語った。
イーサネットポート付きテレビと連動
ΣBookは、SDカード経由でコンテンツデータの入出力を行う端末。ユーザーはまず、ネットワーク経由でPCにコンテンツを落とし込み、それをSDカードにムーブ(コピーではない)する。
早川氏は、その利用シーンとしてやはり「通勤電車の中」を挙げる。ユーザーはあらかじめ、自宅でPCにコンテンツを落とし、ΣBookに移してから翌朝出社する、といった使い方を想定しているようだ。
もっとも、今後の展開ということになると、早川氏の頭には既にイメージができあがっているようす。それはたとえば、以下のようなものだ。
「今後パナソニックのTVは、イーサネットポートとSDカードスロットを備えるようになる。そうすると、毎朝ネットワーク経由で、テレビに挿したSDカードに(ΣBook向けの)“新聞”が届く」(同)。
ユーザーは朝、テレビからSDカードを取り出し、ΣBookに挿してから電車に乗り込む。車内では、見開きの2枚の液晶で新聞を閲覧できる……と、いうわけだ。これなら、わざわざPCを起動することもなく、ネットワーク家電だけで毎日の情報取得が可能になる。
街頭ダウンロード販売も
ΣBookは、本屋とも連動する。松下電器は、コンテンツの販売場所として、Webのほかに通常の書店も考えている。ユーザーは、店内に設置されたマルチメディア端末からデータをダウンロード、決済することになる。早川氏は、そもそもΣBookのハードウェア自体、「量販店ではなく、書店で売る」と明言している。
もちろん、マルチメディア端末を設置する場所は、街中の書店に限らない。多くの利用が見込まれるのが、たとえば新幹線の駅や、空港内にある売店。これから長時間を車中/機内で過ごすというユーザーが、SDカードにコンテンツを落としてから出かけると予想できる。
早川氏はまた、ΣBookはDVDレコーダーとも連動すると話す。「パナソニックのDVDレコーダーは、SDカードスロットがついている。SDカードの中身(イーブックコンテンツ)を保存すれば、そこが“書庫”になる」。
同氏は、こうした利用が実現するのは“近未来”の話としか、言えないと話す。とはいえ、「既にいくつか手を打っている」とも。既に、事業者と交渉が始まっていることをにおわせた。
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松下電器産業
[杉浦正武,ITmedia]