リビング+:ニュース 2003/09/10 23:59:00 更新


「電子書籍ビジネスコンソーシアム」設立――離陸するか? イーブック

ΣBookの登場で、イーブック業界も活気を帯びてきた。9月10日、出版、印刷業界など19社の代表が発起人となって、「電子書籍ビジネスコンソーシアム」の設立が発表された。

 イーブック市場の発展を目指す団体、「電子書籍ビジネスコンソーシアム」の設立が、9月10日に発表された。テーマごとに部会を設け、コンテンツの拡充、サービスの普及を目指す。

 出版、印刷業界や、端末メーカーなど19社の代表が発起人となっており、発起人代表はイーブックイニシアティブジャパン、松下電器産業、東芝、勁草書房の各代表者が務める。10月1日に設立総会を行う予定で、現在は会員の申し込み申請を受け付けている段階(コンソーシアムのサイト参照)。設立時には、大手出版社も含め100〜200社の参加を見込むという。

 コンソーシアムの狙いは、ブロードバンドネットワーク社会で、イーブックビジネスをどう展開すべきか検討すること。具体的には、多様なコンテンツが活用できるプラットフォームの整備、デジタル編集・圧縮技術の調査、配信/課金方法を含めた流通経路の研究などを行う。

“ΣBook”を中核に

 書籍をデジタルデータ化してアーカイブし、ネットワーク経由で転送、販売する――という、イーブックの発想は、さほど新しいものではない。実際、PDAなどでは既にイーブックコンテンツの商用展開が進んでいる(記事参照)。

 しかし、各社が改めて“業界の立ち上がり”を期待し始めた背景には、読書専用端末がいよいよ商品化できるようになったことがある。特に、松下電器産業が今秋から販売する「ΣBook」(記事参照)は、イーブックビジネスの“核”となる旨、コンソーシアムの発表で明言されている。

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サイズは“A5サイズ”の154.5×205×25.4ミリ。重さは、乾電池を抜いた状態で約520グラム

 同端末は現在、一般モニターによるテストを行っている段階(記事参照)。これが終了次第、販売に移行する見込みだ。価格は、3万円台を予定している。

 特徴となるのは、“記憶型液晶”(コレステリック液晶)を搭載している点。電力供給なしでもディスプレイに表示が残るため、低消費電力を実現している。また、SD-CPRMによる著作権保護機能を備え、コピー回数の制限、閲覧期間の設定なども行える(スペックの詳細はニュースリリース参照)。

 会場では、同端末がフォントを利用せず、“イメージ画像として表示を行う”点もアピールされた。これにより、たとえばフォントが用意されていない、海外の書籍もコンテンツ化できるという。

 「海外の動向を調査し、国際化も検討する。日本発、世界標準の電子書籍文化を発展させたい」(コンソーシアム)。中国では、政府主導で教科書のイーブック化が推進されているが、端末の採用も働きかけているようだ。

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左から、モンゴルの教科書、コーラン。こうしたコンテンツも電子化できるという

東芝も端末を商品化する見込みだが……

 イーブックイニシアティブジャパンの鈴木雄介社長は、コンソーシアムはあらゆる企業が参加できる、オープンなものだと強調する。たとえば端末も、ΣBookのみがコンソーシアムの検討対象になる、というわけではない。

 「携帯電話にしても、活用しない手はない。表示端末になるのか、決済端末になるのかは、分からないが……」(同)。

 また東芝も、読書専用端末を開発している。こちらは、ΣBookと同様に液晶2枚を使った、見開き型のデバイスになる見込みだ。

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「コンテンツベンチャープラザ2002」では、東芝とイーブックイニシアティブジャパン、NTT-MEが共同開発したとされるコンセプトモデルが展示されていた

 ただし、東芝側は「(開発中のデバイスは)重さ、厚さ、電池の寿命など、相当ブラッシュアップしなければならない」と話しており、商品化はまだ先のようす。デバイス候補は多いが、当面は、ΣBookをコンソーシアムで扱う……というスタンスのようだ。

フォーマットには何を?

 もう1つ気になるのは、コンテンツのフォーマットを統一するのか、という点。鈴木氏は、「ユーザーにとってどんなフォーマットがいいか、検討していきたい」と話す。

 同氏はまた、端末メーカーの考え方次第と断りつつも、「機器側でさまざまなフォーマットに対応するのでは」とコメント。メーカーの開発努力に期待する姿勢を見せた。

 ちなみに、ΣBookでは複数のビューワを搭載できる仕様になっている。このため、マルチフォーマットに対応することは可能だ。「現在はイーブックイニシアティブジャパンと、松下電器の2種類の仕様に対応しているが、今後T-TimeやXMDF(用語参照)に対応させることも可能」(松下電器)とのことだった。

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関連リンク
▼電子書籍ビジネスコンソーシアムのサイト

[杉浦正武,ITmedia]



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