特集:発進した「カーテレマティクス」の前途とは
特集第2回は、国内の大手カーエレクトロニクスメーカー、パイオニアに話を聞く。同社の「Air Navi」は、auのCDMA2000 1x通信モジュールを内蔵したクライアント/サーバ型カーナビゲーションだ。
カーテレマティクスの現状と未来を探る特集「発進した『カーテレマティクス』の前途とは」、第2回は国内の大手カーエレクトロニクスメーカーである、パイオニアに話を聞く。同社の「Air Navi」は、auのCDMA2000 1x通信モジュールを内蔵したカーナビゲーションだ。 パイオニアのAir Navi(WPC EXPO 2003会場で撮影) Air Naviは、通信により地図・渋滞情報などをダウンロードする、クライアント/サーバ型カーナビ。メールなどのコミュニケーション機能も備えるほか、各種コンテンツプロバイダとの提携により、運転中に周辺のレストラン情報、エンターテインメント情報を取得できる。 パイオニアのモーバイルエンタテインメントカンパニー、アフターマーケット企画部課長の三好忠広氏は、昨年11月以来のAir Naviの出荷台数は「数千台」と話す。手ごたえとしては、「苦労している」と苦笑する。 「(通信料込みの)月々のランニングコストを払うだけの価値が、ユーザーに認知されていない。商品像を説明すると、納得してくれるのだが……」。 パイオニア、モーバイルエンタテインメントカンパニーの三好課長 テレマティクスというより“ナビ”のアプローチ三好氏はAir Naviを、カーテレマティクスというより“Navi”のアプローチで開発したと話す。通信機能は、基本的にナビゲーションに活かしたい考えだ。 Air Naviは、シンクライアントの構成をとる。128Mバイトのフラッシュメモリを搭載しているが、大容量のデータはローカルに置かない。 電源がオンになると、自動的にバックグラウンドで専用サーバへ認証、接続を行う。この際、自宅周辺40キロ四方の地図情報を、自動更新する。また移動に伴い、25メートルスケールの地図データを、その都度ダウンロードする。 こうした地図情報は、サーバ側で年2回大幅にメジャー更新されるほか、ほぼ毎月比較的小規模な“レギュラー更新”が行われる。ユーザーにすれば、意識せずに地図情報が最新のものにバージョンアップされるわけだ。 この通信を可能にしたのが、コンパクトな地図フォーマット「iフォーマット」(記事参照)だ。従来のカーナビゲーションで利用されていた「KIWI」のようなフォーマットと比較して、3分の1〜5分の1までデータを圧縮できるという。 プッシュ配信は「うるさい」?もう1つ、通信を活用したサービスで目に付くのが「マップライブ」と呼ばれる情報のプッシュ配信だ。事前にユーザーが登録したカテゴリに沿って、任意の地点500メートル以内に近づくと、特定の店舗情報などをプッシュ配信する。 同社の提携するコンテンツプロバイダを見ると、「ガスト/すかいらーく」「アンナミラーズ」「ローソン」「ビッグエコー」など10数社となっている。つまり、ローソン近辺になると「ローソンがあります」と音声ナレーションが入るわけだ。 こう聞くと、いくら事前にカテゴリ登録したとはいえ、「うるさくないか?」という思いが頭をよぎる。この点を素直にぶつけてみると、「ええ、正直しつこいんですよ(苦笑)」。三好氏は、至極あっさりと認めてしまった。 次ページ:プッシュ配信は発展途上?[杉浦正武,ITmedia] ![]() モバイルショップ
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